ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

遺体の破片を拾い集めて15年、交通事故死の「おくりびと」

2014/12/14 06:01 JST配信
(C)Nguoi Dua Tin, ボー・ニュー・ヒエンさん
(C)Nguoi Dua Tin, ボー・ニュー・ヒエンさん

 彼は報酬欲しさにこの仕事を引き受けているわけではない。「家族は愛する人を失った悲しみで、遺体を運ぶことまで頭がまわらない。自分も経験があるから、遺族の動揺は痛いほどわかるよ」と彼は言う。

 いつの頃からか、この地域で交通事故による死者が出ると、警察が彼に知らせるようになった。数年前に起きたある事故でのこと。大雨の降る中、国道1A号線上でトラックとバイクが衝突してバイクを運転していた男性は即死し、その遺体は見るも無残な状態だった。真夜中に警察から電話を受けたヒエンさんは、雨がっぱを着て現場に駆けつけた。到着するやいなや、懐中電灯で地面を照らしながら、トラックの下に散乱している肉片や髪の毛などを丹念に拾い集め、タンカの上で元の形に組み合わせ、線香を手向けた。朝になって遺族が来るまで、彼は遺体のそばで夜を明かした。

 妊婦が亡くなった痛ましい事故では、遺体を拾い集めて帰宅したヒエンさんは、眠れぬ夜を過ごした後、体調を崩して1週間も寝込んでしまった。周囲の人たちは「死者の霊に取り憑かれた」と噂したが、彼は全く意に介さない。「亡くなった不運な人のことを考えたら眠れなくなってしまって、体調を崩しただけさ」。

 ヒエンさんが住む地域の国道は交通量が多く、悲惨な交通事故が多発している。被害者の中には遠く離れた省からやってきた人も多いため、遺族が遺体を引き取りにくるのに1~2日かかることもある。その間ヒエンさんは、遺体を納棺し、家族が到着するまで供養する。ときには発見が遅れて、遺体が腐敗していることもあるという。「ウジ虫が体をよじ登ってくることもあるけれど、とにかく不運な人のためだと思って作業に集中する。家に帰ったら着ていたものを全て処分するけどね」と彼は打ち明けた。

前へ   1   2   3   次へ
[Dinh Hien - Nham Than, Nguoi Dua Tin, 2014/11/03 06:31].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
QS世界大学ランキング、ベトナムの10大学がランクイン (21日)

 英国の大学評価機関クアクアレリ・シモンズ(Quacquarelli Symonds=QS)が発表した最新の大学ランキング「QS世界大学ランキング(QS World University Rankings)」2026年版で、ベトナムから10校がランクインした...

LGBTに優しい旅行先トップ8、ホーチミンがランクイン (21日)

 世界最大級の宿泊予約サイト「ブッキング・ドットコム(Booking.com)」はこのほど、6月のプライド月間(LGBTプライド月間)を記念して、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーなどの性的マイ...

ベトナムの経営者の95%がAI導入に自信、世界をリード (20日)

 米マイクロソフト(Microsoft)が発表した調査報告書「ワークトレンド指数(Work Trend Index)」2025年版によると、ベトナムの経営者の95%が人工知能(AI)エージェントの導入に自信を示しており、米国(82%)や中国...

世界のベトナム人街を訪ねて【プラハ編・後編】 (15日)

(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) 【ロンドン編】はこちら 【パリ編】は

米国、ベトナム海上警察に3隻目の巡視船引き渡し (20日)

 在ベトナム米国大使館は18日、巡視船「CSB8022」をベトナム海上警察に引き渡したと発表した。越米間の国防協力に関する覚書に基づいて引き渡した3隻目の巡視船で、両国の国防・安全保障協力における重要な節目...

ゴゾ・エクスプレス、ビンファスト製の小型EVバン2000台導入へ (20日)

 宅配を手掛ける地場ゴゾ・エクスプレス(Gozo Express)は18日、地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電気自動車(EV)メーカーであるビンファスト(VinF

アプリ最適化のラウンズ、ベトナムに本格参入 2000万USD投資 (20日)

 最先端の機械学習テクノロジーを活用してモバイル資産を識別・評価・最適化する米国のラウンズ(Rounds)は17日、ベトナム市場に本格参入し、2025年に総額2000万USD(約29億円)を投資すると発表した。  この資...

サイゴンハノイ保険、韓国テラコ車専用自動車保険を提供 (20日)

 サイゴンハノイ保険[BHI](Sai Gon-Ha Noi Insurance Corporation)は、韓国の自動車メーカーであるデハンモーターズ(Daehan Motors)との間で、「テラコ(TERACO)」ブランドの軽トラッ

ホーチミン:自動車部品見本市、6月21日まで開催 (20日)

 ホーチミン市7区のサイゴンエキシビション&コンベンションセンター(SECC:799 Nguyen Van Linh, quan 7, TP. Ho Chi Minh)で、6月19日(木)から21日(土)まで、自動車部品・用品・アフターマーケット見本市「第7...

ベトナム、ライチ生産量で世界2位 25年は前年比+30%増 (20日)

 ベトナムは、ライチの生産量で中国に次ぐ世界2位となっている。  2025年の収穫量は約30万3000tで、前年から+30%増加する見通しだ。ベトナム産ライチは現在、世界30以上の国・地域に輸出されており、日本、...

ビンファスト、米カリフォルニア州に初の正規代理店を開設 (20日)

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電気自動車(EV)メーカーであるビンファスト(VinFast)はこのほど、米国の自動車販売大手サンロード・オートモー

ノイバイ空港で日本円690万円無申告持ち出し、ベトナム人を起訴 (20日)

 ハノイ市ノイバイ国際空港で、ベトナム人乗客による日本円の違法持ち出しが発覚した。税関当局が18日に明らかにした。  これに先立つ8日午後10時20分ごろ、ハノイ発成田行きの

FPT、ビンズオン省で教育複合施設を着工 26年完成 (20日)

 国内IT最大手のFPT情報通信[FPT](FPT Corporation)はこのほど、東南部地方ビンズオン省で最大4000人規模の教育複合施設案件を着工した。  同施設は、ビンズオン省

国会、エネルギー使用効率化法の一部を改正・補足する法律を可決 (20日)

 国会は18日、エネルギー使用効率化法の一部を改正・補足する法律を可決した。同法は2026年1月1日に施行される。  これにより、車両、エネルギー使用機器、建材の製品に対し、エネルギーラベルの表示が義務...

持田製薬とMeiji Seikaファルマ、ベトナムでEPA製剤の承認取得 (20日)

 持田製薬株式会社(東京都新宿区)とMeiji Seikaファルマ株式会社(東京都中央区)は、持田製薬が日本で販売している高純度EPA(イコサペント酸エチル)製剤「エパデールS」について、Meijiの提携パートナーであるテ...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved