ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

<明日は明日の試合がある>フィリップ・トルシエ(元サッカー日本代表監督) ベトナムで育成世代にサッカー全力指導中【前編】

2019/08/04 05:00 JST配信
(C) Miwa.A
(C) Miwa.A

(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。)

(C) Miwa.A


2019年6月のハノイ市郊外サッカー場。少年たちが炎天の下ボールを追っている。その中で見覚えのある眼鏡にヘアスタイルの外国人が、大きなジェスチャーで声を張り上げている。

 2002年6月、アジア初のサッカーのワールドカップ(以降W杯と表記)が、日本と韓国で開催された。歴史的な初勝利で、日本中を青い熱狂の渦に包みこんだ日本代表チームの監督は、フランス人フィリップ・トルシエだった。あの6月から17年が経ち、64歳になるトルシエ氏は今日、ベトナムで子供たちと共にピッチの中を走っていた。

 W杯ベスト16という史上初の結果は、世界とサッカーで戦っていける自信を日本にもたらした。トルシエ監督の手腕は高く評価されたが、1998年の就任から任期終了までの4年の間には、その斬新な戦術、指導法、人選、ストレートな発言や、感情の表し方などは、周囲から激しい批判を受けることもしばしばだった。

 トルシエ氏は、34歳の時にフランスを後にし、コートジボワールへ渡ってから今日まで30年の間、アフリカ、日本を含めたアジア、中東の異文化の中で生活し、サッカー監督の仕事をしてきた。自らを“地球を旅する人”(globe trotter)と称する彼は、どんな人なのだろう。ベトナムや、これまで見てきた国々、そして4年間指揮をとった日本で感じたこと、監督という仕事、サッカー、数年前から始めたワイン造りやこれからのことなど、ハノイ市で話を伺った。

 

ベトナム、日本、アフリカ、フランス

―――ベトナムではどんな仕事を。

PVF(ベトナムサッカー才能育成基金/Promotion fund of Vietnamese football talents)(*1)という育成機関の技術統括ディレクターをしています。ワールドクラスの立派な施設ですが、ベトナムサッカーはこれからですので、ビル建築で言えば、ビルの土台を創っているようなものです。選手だけでなく、指導者の人材、マネージメントや国際サッカー業界の仕組みの理解なども含めての育成です。なので専門スタッフをフランスから呼び、チームで多方面から指導しています。毎日グラウンドに出て、子供たちに直接動き方を教えたり動きを見たりするので、一日二回着替えています。



PVF グラウンド   (C) P.Troussier


PVF就任式   (C) P.Troussier
 

―――ほぼゼロからなのですね。体力的にも大変そうですがなぜこの仕事を。

ベトナムには今、サポーターにも選手にも、“ワールドカップに出たい”という大きな夢があります。そのために何でも吸収し努力していこうと、やる気も溢れています。サッカーに限らず、この国全体がそういう時期なのでしょう。あらゆる産業が世界を目指して動いている強いエネルギーを感じたからです。

 

*1:PVF
PVF(Promotion fund of Vietnamese football talents / ベトナムサッカー才能育成基金)ベトナム最大の複合企業ビングループが投資する育成プロジェクト。
ハノイ市郊外の22ヘクタールの広大な敷地の最新式の施設には、スタジアムと、練習用サッカーグラウンドが6面あり、プールやジムも整備されている。ここでベトナム全国から選抜された10歳から18歳のサッカー少年たち約200人が寝起きし、学校へ通い、授業が終わると、サッカーの英才教育を受けている。トルシエ氏は就任と同時に13人の外国人精鋭指導チームを組織しここに招いた。海外サッカークラブとの提携や国際試合への参加も積極的に進めている。
http://www.pvf.com.vn/en/

【関連記事】

元日本代表監督トルシエ氏(現U-19ベトナム代表監督)、日本サッカー殿堂入り (2020/09/16)
越サッカー連盟、日本人技術統括が就任 元横浜FC監督の足達勇輔氏 (2020/09/11)
第2回「ベトナム日本国際ユースカップ U-13」開催記念、トルシエ監督&井尻監督によるスペシャル対談 (2019/12/14)
AFC U-19選手権予選がホーチミンで開催、影山ジャパンがトルシエベトナムと激突 (2019/10/28)
ベトナムサッカー連盟とビングループが提携、W杯と五輪出場を目指す (2019/10/24)
U-16日越国際交流サッカー大会、ベトナムPVFの壮行会を日本大使館で開催 (2019/08/24)
<明日は明日の試合がある>フィリップ・トルシエ(元サッカー日本代表監督) ベトナムで育成世代にサッカー全力指導中【後編】 (2019/08/18)
U-16日越国際交流サッカー大会が奈良で8月末開催、PVFやG大阪が出場 (2019/08/12)

前へ   1   2   3   次へ
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
第28回日ASEAN首脳会議開催、経済関係強化へ (4:54)

 マレーシアの首都クアラルンプールで26日午後、第28回日ASEAN首脳会議が開催され、ベトナムからはファム・ミン・チン首相、日本からは高市早苗内閣総理大臣が出席した。  日・ASEAN協力について、高市首相...

第3回アジア・ゼロエミッション共同体首脳会合、協力の進捗に期待 (4:49)

 マレーシアの首都クアラルンプールで26日午後、第3回アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)首脳会合が開催され、ベトナムからファム・ミン・チン首相が出席した。会合は、高市早苗内閣総理大臣とマレーシアのア...

Orient Human Design、ホーチミン市オープン大学と覚書締結 (3:58)

 人材・インターンシップ事業を手掛けるOrient Human Design株式会社(神奈川県横浜市)はホーチミン市オープン大学(HCMOU)で17日、日本における国際インターンシップに関する覚書(MOU)を締結した。  今回の覚...

サイゴン動植物園にそびえ立つ樹齢160年・高さ62mの大木 (26日)

 ホーチミン市サイゴン街区(旧1区)のサイゴン動植物園には、樹齢160年余り、高さ62mの「サークー(xa cu)」の木がそびえ立つ。学名は「カヤ・セネガレンシス(Khaya senegalensis)」で、ムクロジ目センダン科カヤ...

貿易大学傘下VJCCとトヨタベトナム、サプライヤー育成で協力 (3:53)

 ハノイ市の貿易大学(FTU)傘下のベトナム日本人材開発インスティチュート(VJCC)とトヨタ・モーター・ベトナム(TMV)は23日、ベトナムにおける裾野産業の発展に貢献することを目的として、ベトナム企業のサプライ...

「Inno Vietnam-Japan Meetup」、ホーチミンで11月7日開催 (2:10)

 日本貿易振興機構(ジェトロ)ホーチミン事務所は、11月7日(金)のベトナム時間14時00分から17時00分まで(日本時間16時00分から18時00分まで)、「日本の脱炭素化技術」をテーマに、日越企業とエコシステム関係者が...

第14回共産党全国大会、26年1月19日に開幕 (27日)

 ベトナム共産党中央宣伝委員会は、第14回共産党全国大会を2026年1月19日から25日までの7日間にわたって開催すると発表した。共産党全国大会は5年に1度開催される。  党大会では、◇政治報告、◇過去40年間の...

JOGMECとENEOS、ベトナムでCCS事業推進へ 協力覚書締結 (27日)

 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC、東京都港区)とENEOS Xplora株式会社(東京都港区、旧社名:JX石油開発株式会社)は17日、ペトロベトナムグループ(PVN)と第2ギーソンパワー(Nghi Son 2 Power)...

ベトナム・米国、貿易協定に関する共同声明 相互関税率20%維持 (27日)

 ベトナムと米国は26日、相互的で公正かつ均衡の取れた貿易協定の枠組みに関する共同声明を発表した。両国はまた、今後も相互課税に関する交渉を継続し、関税上の障壁を段階的に解消していくことで一致した。...

アンザン省:フーコック都市鉄道案件を承認、投資総額520億円 (27日)

 南部メコンデルタ地方アンザン省人民評議会は24日、同省フーコック島(旧キエンザン省)で計画されているフーコック都市鉄道案件(第1期)の投資方針を承認した。  投資総額は約9兆VND(約520億円)で、うち70%...

ハノイ:タムアイン総合クリニックが開業、市内最大規模 (27日)

 タムアイン総合病院は22日、ハノイ市カウザイ街区で市内最大規模の総合クリニックを開業した。  同クリニックは面積約1万7000m2で、診察室200室余りを備える。1日あたり最大3000人の患者を受け入れることが...

タイ系CPVフード、日本向け鶏肉加工品の輸出1万t突破 (27日)

 タイ系畜産大手CPベトナム(CP Viet Nam)傘下のCPVフード(CPV Food)は22日、日本向け鶏肉加工品の輸出量が累計1万tを突破したと発表した。2022年に日本市場へ正式参入して以来の実績で、ベトナム産鶏肉の品質向...

決済アプリ「MoMo」と「ePass」、デジタル交通促進で提携 (27日)

 ベトナムの決済アプリ大手「モモ(MoMo)」と、国防省傘下の携帯通信大手ベトナム軍隊工業通信グループ(ベトテル=Viettel)の子会社であるデジタル交通ソリューション会社イーパス(ePass)は23日、デジタル交通エ...

国交75周年のベトナムとブルガリア、戦略的パートナーシップ構築 (27日)

 ベトナム共産党のトー・ラム書記長は、ベトナム・ブルガリア外交関係樹立75周年(1950年~2025年)に当たり、22日から24日の日程でブルガリアを公式訪問した。23日には、ルメン・ラデフ大統領との首脳会談に臨み...

ベトナム・南ア首脳会談、年内に戦略的パートナーシップ格上げへ (27日)

 ルオン・クオン国家主席は23日、ベトナムを公式訪問した南アフリカ共和国のマタメラ・シリル・ラマポーザ大統領と会談した。  ラマポーザ大統領はこの席で、南アフリカのみならず、世界が大きな変化の波に...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved