ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

<明日は明日の試合がある>フィリップ・トルシエ(元サッカー日本代表監督) ベトナムで育成世代にサッカー全力指導中【後編】

2019/08/18 05:00 JST配信
(C) Miwa.A
(C) Miwa.A 写真の拡大

(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。)

前編 → <明日は明日の試合がある>フィリップ・トルシエ(元サッカー日本代表監督) ベトナムで育成世代にサッカー全力指導中【前編】
中編 → <明日は明日の試合がある>フィリップ・トルシエ(元サッカー日本代表監督) ベトナムで育成世代にサッカー全力指導中【中編】


 

勝負の世界とサッカー監督、これから

(C) Miwa.A

―――試合に負けたりPKに失敗したりといった結果の後、選手たちはどうやって立ち直るのですか。

サッカーの勝敗は、大概ごくわずかなディテールの差で決まります。しかしプロの世界では監督や選手は、その差で解雇さえされかねない。スポーツには“双方頑張った良い試合なので両方勝ち”では終われないルールがあり、必ず勝者と同じ数の敗者がいる。大会だったら、優勝者以外は全員が敗者です。

負けた時にするべきは、後悔でも犯人探しでもなく、“修正”です。負けるときにはどこかに必ず修正可能なエラーがある。それを探し出してその過ちを修正し、補強して進化する。負けないと学ぶチャンスがない。サッカーに限らず全ての分野において、成功者には必ず、過去の失敗で負った無数の傷跡があるはずです。勝ち続けていたらそれ以上先には進めませんが、負けの痛みと引き換えに、修正のチャンスを手に入れる。失敗の足し算の先にしか、成功はないのです。

―――ご自身はどうでしたか。

実際私は監督として試合に負けると、全ては自分のせいとしか思えず、ものすごく苦しみます。眠れなくなるし、ひどい顔つきになる。外に出れば、通る人皆が自分を責めているような気がして顔を上げられない。いろいろ分析をして冷静になろうとしても、慰められても、どうしようもない。これは言葉では説明できない位にひどい苦痛です。立ち直るための処方箋はなく、自分一人だけで考えるしかない。年を取るとますますきつくなってきました。若いころは、がむしゃらな無謀さがそれを和らげたのですが、負ける痛みに関しては、年齢は全く助けになっていません。

―――定期的に精神的に追い込まれるその仕事を、やめたいと思ったことはないのですか。

サッカーの監督という仕事は、ある意味、世界で最もきつい職業の一つだと思います。誰もが監督目線で試合を観ますから。この頃のネット社会では、批判はすぐに発信され拡散し、矛先は監督です。国によっては、勝敗は監督や選手の生死にさえ関わってくる。

それでも続けられるのは、次の試合があるからです。サッカーは、勝っても負けてもその日に終わる。今日の真実が、明日の真実にならない。今日の結果がどうあれ3日後にはまた別の試合が来る。世界中のどんなスポーツでもそうですが、絶対的に強い相手に対してでも「今日自分は100%負ける」と思って試合に向かう選手や監督はいない。「勝てるかも」という気持ちはわずかでも必ずあって、全力で勝とうとする。

そして、勝った時のあの喜び、これは日常生活では味わえないとても強い達成感です。一度でも経験すると、どうしてもまたそこに行きたくなる。また挑戦したくなる。負けの苦しみと勝つ喜びの差が両極端なのですが、明日また試合がある限り希望が消えない。だからやめられないのです。

前へ   1   2   3   4   次へ
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
25年10月新車販売台数統計、ビンファスト12か月連続首位 (14:42)

 ベトナム自動車工業会(VAMA)の発表によると、2025年10月におけるVAMA加盟企業とVAMA非加盟企業を合わせた新車販売台数(TCモーターおよびビンファスト=VinFast含まず)は前月比+24%増、前年同月比では▲2%減の3...

バクニン省など4省、新人民委主席が就任 (14:32)

 各地方自治体での人事異動により、◇北部紅河デルタ地方バクニン省、◇西北部地方ライチャウ省、◇北中部地方クアンチ省、◇南部メコンデルタ地方カマウ省の人民委員会主席が交代となった。  新主席に就任した4...

ホーチミンとドンナイ省を結ぶ橋3本、28年完成目指す (14:17)

 東南部地方ドンナイ省人民評議会は、ホーチミン市と同省を結ぶ橋3本の建設計画について、担当当局を決定する決議を承認した。第2フーミー橋はホーチミン市人民委員会が、カットライ橋とロンフン橋(第2ドンナイ...

ハノイ郊外の2つのトンネル、軍幹部をかくまった地下要塞 (16日)

 フランス軍との9年間におよぶ抗戦中、ハノイ市の旧ドンアイン郡ナムホン村(現在のフックティン村)と旧タインオアイ郡タムフン村(現在のタムフン村)の住民たちは、戦火から村を守り、また軍幹部をかくまいながら...

バックホアサイン、ニンビン省に食品スーパー開業で北部進出 (13:27)

 携帯電話小売・家電小売の最大手で、ミニスーパー事業も拡大中のテーゾイジードン投資[MWG](Mobile World Investment Corporation)は、11月末に北部紅河デルタ地方ニンビン省に食品

訪越の神奈川県知事、ラム書記長と会談 (13:05)

 神奈川県の黒岩祐治知事は、11日から17日までの日程でベトナムを訪問した。15日には、ハノイ市のベトナム共産党本部でトー・ラム書記長と会談した。  ラム書記長が地方自治体の長と公式の2者会談を行うのは...

湘南鎌倉総合病院、ベトナム国立がん病院と協力覚書を締結 (12:35)

 医療法人徳洲会湘南鎌倉総合病院は14日、ベトナムの国立がん病院(K病院)との間で、医療分野および人材育成に関する協力覚書を締結した。  覚書は、ベトナム最大のがん専門病院であるK病院と、日本最大の民...

トーホー、地場食品卸売会社コメ88の株式取得 ベトナム初進出 (12:27)

 業務用食品の仕入・調達・開発などを手掛ける株式会社トーホー(兵庫県神戸市)は、ベトナムで外食産業・量販店向けに食品卸売を行うコメ88(Kome88、ホーチミン市)の発行済株式を取得し、コメ88を持分法適用関連...

国会、26年国家予算案を採択 財政赤字対GDP比4.2% (6:50)

 国会は13日、2026年の国家予算案に関する決議を賛成多数で採択した。2026年の国家予算の主な指標は以下の通り。 ◇歳入:2529兆4670億VND(約14兆7922億円)     中央政府の歳入:1225兆3560億VND(約7兆16...

ホンダ、ベトナムでの二輪車通年販売台数が20万台減少の見通し (6:47)

 ホンダはこのほど、2026年3月期第2四半期(中間期)の決算関連資料を発表した。2026年3月期第2四半期累計(2025年4〜9月)の連結業績は、売上収益が前年同期比▲1.5%減の10兆6326億円、営業利益は同▲41.0%減の...

ホーチミン:チョーライ病院がUV除菌ロボット導入、公立病院初 (5:27)

 ホーチミン市チョーライ病院は17日、紫外線(UV)照射除菌ロボット2台を導入したと発表した。公立病院としては、国内初の導入となる。手術室や臓器移植室、薬剤室などに設置され、手術前の無菌環境を確保する。 ...

ハノイ:11月末から公共電動自転車を導入、レンタル料1時間200円 (5:14)

 ハノイ市は11月末から、公共電動自転車500台を導入し、既存のシェアサイクル網と併せて運用を開始する。  シェアサイクル事業を手掛けるチーナムグループ(Tri Nam Group)のドー・バー・クアン会長によると...

アルキア航空、イスラエル~ベトナム間を結ぶ初の直行便を就航へ (4:29)

 アルキア・イスラエル航空(Arkia Israeli Airlines)は、2026年1月にイスラエル最大都市のテルアビブとベトナムの首都ハノイ市とを結ぶ初の直行便を就航する計画だ。これにより、両国間の観光、貿易、投資促進に...

パナソニック、ベトナム拠点で洗濯機の累計出荷台数500万台達成 (4:18)

 パナソニック株式会社くらしアプライアンス社(東京都品川区)は、パナソニックAPベトナム(Panasonic Appliances Vietnam=PAPVN、ハノイ市)で洗濯機の生産を開始してから、2025年9月末で累計出荷台数500万台を達...

JBIC、BIDVと覚書締結 ベトナムの脱炭素分野で協業促進 (3:42)

 国際協力銀行(JBIC、東京都千代田区)は14日、ベトナム投資開発銀行[BID](BIDV)との間で、ベトナムにおける脱炭素化の支援に関する覚書を締結した。  ベトナム政府

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved