ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

2人のマルティーヌ、アフリカに渡り王女となったベトナム人少女たちの運命

2019/09/15 05:06 JST配信
(C) VnExpress
(C) VnExpress

 吉報を受けたボカサ大統領はすぐにベトナムから中央アフリカ共和国の首都バンギに行く片道切符を買い、2500フラン(現在のレートで27万3000円)と併せてマルティーヌに送るようフランス政府に要請した。

 1970年11月26日午前3時にマルティーヌがバンギに到着すると、賑やかな楽器演奏のなかボカサ大統領と高官らが出迎え、ボカサ大統領はマルティーヌを力強く抱きしめた。ベトナム語しか知らず現地のダンスも踊れず戸惑いを隠せないマルティーヌに、ボカサ大統領はベトナム語で継母やマルティーヌの兄弟を紹介した。

 父娘の再会はハッピーエンドで終わったかのように見えた。ところが奇跡の再会から1か月も経たないうちに、サイゴンの日刊紙が「バンギにいるマルティーヌはボカサ大統領の本物の娘ではなく、フランス政府がボカサ大統領を辱めようと故意に仕立てた偽者だ」と報じたのだ。

 事実、当時はベトナム人とアフリカ人の間に生まれた子どもは少なくなく、フランス映画の人気女優だったマルティーヌ・キャロルから取ってマルティーヌと名付けられた少女が多くいた。

 この報道を受けて、ボカサ大統領との間に「マルティーヌ」という名の娘を儲けたベトナム人女性のグエン・ティ・フエ本人が声をあげた。フエは友人の新聞記者を介してボカサ大統領に電話で連絡を取り、自分とボカサ大統領が一緒に写った写真とマルティーヌの出生証明書を公開し、自分がボカサ大統領と夫婦のような関係にあったこと、そして自分の娘こそがボカサ大統領の本物の娘のマルティーヌであることを訴えた。

 フエのアピールにより、ベトナムで工員をしていたマルティーヌがフエとボカサ大統領の間に生まれた本物の娘だと認められ、無事にベトナムからバンギに渡ることとなった。一方で、ボカサ大統領は先にバンギに渡っていた偽マルティーヌを国外追放に処すつもりで一度は投獄したものの、50歳の誕生日を機に偽マルティーヌに対する慈悲として正式に養女として迎え入れることにした。

 その後、本物のマルティーヌは「大きなマルティーヌ」、偽マルティーヌは「小さなマルティーヌ」と呼ばれるようになった。2人のマルティーヌは一緒に暮らし、同じ服を与えられた。大きなマルティーヌは商才に長け、1972年に中央アフリカ共和国でベトナム食品を販売する商店を開業し成功した。

前へ   1   2   3   次へ
[VnExpress 09:53 22/8/2019, T].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
ベトナムの25年EC市場規模、成長率で世界トップ10入り (15:16)

 商工省によると、2025年の電子商取引(eコマース=EC)市場規模は前年比+25%増の約310億USD(約4兆9000億円)となる見通しだ。小売売上高に占める比率は約11%で、デジタル経済全体の約3分の2を占めるなど、ベトナ...

ベトナム企業、ピエール・カルダンのカナダ事業を買収 (14:40)

 イーモール・ベトナム(Emall Vietnam)はこのほど、フランス発祥のファッションブランド「ピエール・カルダン」のシューズ部門「ピエール・カルダン・シューズ(Pierre Cardin Shoes)」のカナダ事業を買収した。 ...

ブラジル、ベトナムと特恵貿易協定(PTA)交渉開始 (14:27)

 ブラジル政府は20日、同国のフォス・ド・イグアスで開催されたメルコスール(南米南部共同市場)首脳会合で、ベトナムとの間で特恵貿易協定(PTA)交渉を開始したと発表した。議長国を務めるブラジルのマウロ・ヴィ...

ホーチミンの路上のライター修理店、愛好家の駆け込み寺 (21日)

 ある日の午後、60代と思われる男性が、壊れたデュポン(Dupont)製のライターを手に、ホーチミン市チョロン街区グエンチーフオン通りを訪れた。男性は、ファム・バン・コーさん(男性・72歳)の店である、古びて傾...

ホーチミン:顔面の巨大腫瘍切除手術に成功、チョーライ病院 (13:33)

 ホーチミン市チョーライ病院は18日、男性患者の顔面にできた重さ950gの腫瘍の切除手術に成功したと発表した。腫瘍は顔面と耳の外見に深刻な影響を与え、圧迫による難聴も引き起こしていた。術後の患者の健康状...

ハノイ:無人航空機で医薬品輸送、試験飛行を実施 国内初 (13:14)

 ハノイ市のドゥックザン総合病院は20日、直線距離で約8km離れたザーラム総合病院まで無人航空機(UAV)を使って医薬品を輸送する試験飛行を実施した。  ドゥックザン病院は、ハノイ市人民委員会から医療目的...

ホーチミン:メトロ2号線、約200m延伸 メトロ1号線と接続 (6:58)

 ホーチミン市人民委員会は、同市都市鉄道(メトロ)2号線(ベンタイン~タムルオン間)について、路線計画および関連施設の位置の調整方針を承認した。調整後のメトロ2号線は、ベンタイン駅側に約200m延伸し、メト...

商工省、トレーサビリティ管理システム運用開始 (6:18)

 商工省は23日、製品情報の透明化や消費者保護、企業の持続的発展の支援を目的として、公式ウェブサイト<www.verigoods.vn>でトレーサビリティ管理システムの運用を開始した。  同システムは

ホーチミン:豚肉を化学薬品で「牛肉」に偽装、7人逮捕 (5:54)

 ホーチミン市警察は、豚肉を化学薬品で加工し、「牛肉」として販売していた大規模な偽装食肉の製造・流通ルートを摘発したと発表した。  同ルートの7人が食品の偽装・販売容疑で逮捕された。このうち、レ・...

VIETJOベトナムニュース、2026年ベトナム祝祭日カレンダー公開 (5:40)

 VIETJOベトナムニュースは、毎年ご好評をいただいております「ベトナム祝祭日カレンダー」の2026年版を公開いたしました。  このカレンダーは、ベトナム

ゲアン省:絶滅危惧種のアジアゴールデンキャットを初めて撮影 (4:29)

 北中部地方ゲアン省のプーホアット自然保護区の責任者であるグエン・バン・シン氏は17日、生きた野生のアジアゴールデンキャット(ベトナム語名:ベオルア=Beo lua、学名:Catopuma temminckii)の姿をカメラト...

地場PC1グループ、日本ハイフォン工業団地の第2期を着工 (4:22)

 北部紅河デルタ地方ハイフォン市で19日、日本ハイフォン工業団地(旧称:野村ハイフォン工業団地)の第2期の起工式が行われた。  同プロジェクトは、第1期の拡張事業にあたり、国内トップブランドの電力工事業者

進和、ベトナム現地法人をハノイに設立へ (3:12)

 金属接合・産業機械関連商品・製品の販売などを手掛ける株式会社進和(愛知県名古屋市)は、ベトナム現地法人をハノイ市に設立する。  進和は、2000年に設立したタイ子会社の進和インテック(SHINWA-INTEC)と...

ハノイ:ホアンキエム湖周辺でカウントダウンイベントを開催 (2:09)

 ハノイ市人民委員会はこのほど、2026年のカウントダウンイベント開催を承認した。カウントダウンイベントは、2025年12月31日(水)午後7時から2026年1月1日(木)午前0時まで、ホアンキエム街区ドンキンギアトゥッ...

25年GRDP成長率、ホーチミン+8.3% ハノイ+8.5% (23日)

 2025年におけるホーチミン市の域内総生産(GRDP)成長率は+8.3%と推定され、ベトナム経済の牽引役としての地位を引き続き示した。これは先般開かれた同市共産党委員会の会議で発表されたレポートの中で明らかに...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved