ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

フォンニャ・ケバン国立公園の洞窟に暮らして90年の老夫婦

2025/03/02 10:37 JST配信
(C) VnExpress
(C) VnExpress 写真の拡大
(C) VnExpress
(C) VnExpress 写真の拡大

夫婦は森を流れる小川に沿って何十軒もの小屋を建てた。毎日、ネーさんは小川に魚を獲りに行き、ルーさんは畑を見張ってイノシシから守る。「森には美味しい食べ物があります。魚やエビも獲れますし、タケノコもたくさん生えます。家に常備してある食材は、米と、唐辛子を混ぜた塩だけです」とルーさんは話す。

 夫婦は生涯ずっと森で暮らしてきたため、森での生活のほうが快適で安全だと感じている。夫婦はたくさんの種類の薬草や、でんぷんを含んだ食用植物を知っている。また、魚を獲るときには網や罠を使うほかに、木の葉を細かく砕いて小川に撒き、毒を吸った魚を浮かせてすくい上げることもある。

 ネーさんはもともと、ルーさんの義理の弟だった。2人はもうずっと前に、妻と夫をそれぞれ亡くした。そして、「縁結び」の風習に従って2人は夫婦として一緒に暮らすようになった。

 ルーさんによれば、この冬は脚が痛んで歩くのも大変だったが、毎朝目が覚めると夫に森に戻ろうと誘われていたのだという。

 「彼は今でも若者が追い付くのも大変なくらいのスピードで山を登り、険しい岩場も越えていくんですよ。若いころは150kgの重さの木だってかつげるくらい屈強で有名だったんですから」とルーさん。

 タンチャック村共産党委員会のグエン・バン・ダイ書記によれば、ネーさんは洞窟の中に家を、小川沿いに小屋を、何十軒も建ててきた。日中は小川沿いの小屋で食べ物を探し、夜になったり、雨が降って洪水になったり、食べ物がたくさん見つかったりすると、洞窟の中の家に戻る。

 「数年前、我々は若者たちを森に送り込み、ようやくネーさんを捜し出して村に連れ戻し、身分証明書を作ってもらったんです」とダイ書記は語る。

 ネーさんの息子であるディン・ホエさんによれば、子供たちも孫たちも、身体が弱くなった両親をもう森には行かせたくないのだという。

 2024年7月、ネーさんは関節が腫れ、森の薬草を貼っても効かなかった。いつまで経っても父親が村の家に戻ってこないため、子供たちや孫たちは森に入って父親を捜し出し、担架を使って村に連れ戻したのだった。しかし、診療所で治療を受けてから数日後、ネーさんの脚は再び森が恋しくなった。

 9月には、洪水で小川の水位が山のふもとまで上昇し、ネーさんの家がある洞窟は完全に孤立してしまった。数日間、ネーさんは洞窟の中にただ座り、キャッサバを食べてしのいだ。

前へ   1   2   3   次へ
[VnExpress 06:00 18/02/2025, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
クオン国家主席、越訪のリトアニア大統領と会談 (6:09)

 ルオン・クオン国家主席は12日、リトアニアのギターナス・ナウセーダ大統領と会談した。1992年の外交関係樹立以来、同国大統領がベトナムを公式訪問したのは今回が初めて。  両首脳は会談で、今回の公式訪...

7月1日施行の社会保険法、加入対象者を拡大 外国人関連規定も (6:01)

 2024年社会保険法(法律第41号/2024/QH15)が、2025年7月1日に施行される。これは2014年社会保険法(法律第58号/2014/QH13)に置き換わるもので、社会保険の加入対象者が拡大される。  2024年社会保険法では、...

個人事業主への電子請求書義務化、飲食店が便乗で一斉値上げ (5:41)

 6月以降、ホーチミン市やハノイ市にある多くの飲食店で、ブン、フォー、バインミーなどの価格が一斉に引き上げられている。店主らは値上げの主な理由として、「納税義務の発生」を挙げている。  店主らは、...

世界のベトナム人街を訪ねて【プラハ編・後編】 (15日)

(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) 【ロンドン編】はこちら 【パリ編】は

ベトコムバンク、東南アジアの有力ブランドトップ30に初選出 (5:17)

 英市場調査会社カンター(Kantar)が発表した「東南アジアのブランド価値トップ30ランキング」2024年版で、ベトコムバンク[VCB](Vietcombank)がベトナム企業として唯一ランクインを果

畜産大手CPベトナムの「病畜の肉」流通疑惑、違反の3店舗に罰金 (5:00)

 タイ系畜産大手CPベトナム(CP Viet Nam)が病気の豚や鶏の肉を販売していたとソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で告発されたことを受け、南部メコンデルタ地方ソクチャン省農業環境局は11日、検査...

ベトナム航空、スカンジナビア航空と提携 北欧路線の接続強化 (4:47)

 全日空ANAが出資するベトナムのフラッグキャリアであるベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は13日、スカンジナビア航空との間で、ベトナムと北欧(デンマーク、ノルウェー、スウェ

ダナン:半導体研究開発ラボ建設を承認、投資総額98億円 (3:07)

 南中部沿岸地方ダナン市人民委員会は、半導体向け先端パッケージング技術の研究開発(R&D)を目的とした実験施設プロジェクトへの投資方針を承認した。  プロジェクトの投資主は、半導体や人工知能(AI)分野の...

ハノイ:錯視展by杉原厚吉、ベトナム初開催 6月28日から (14日)

 国際交流基金ベトナム日本文化交流センターは、6月28日(土)から8月24日(日)まで、展覧会「錯視展」をベトナムで初開催する。同展覧会では、視覚認知と数学的創造性が融合した全く新しいアート体験を提供し、「...

ハノイ:建国80周年、9月2日に花火打ち上げ 市内5か所で (14日)

 ハノイ市は、9月2日(火)の建国記念日に打ち上げ花火を実施する計画を明らかにした。  これは、8月革命80周年(1945年8月19日~2025年8月19日)と建国80周年(1945年9月2日~2025年9月2日)を祝う記念事業の一環...

ホーチミン:マスタープラン調整案承認、多中心モデルで開発 (13日)

 チャン・ホン・ハー副首相はこのほど、「2060年までを視野に入れた2040年までのホーチミン市都市設計マスタープラン」の調整案を承認する首相決定第1125号/QD-TTgに署名した。  ホーチミン市は、2060年まで...

5月の新車販売台数統計、1~5月期の販売台数上位20ブランド (13日)

 ベトナム自動車工業会(VAMA)の発表によると、2025年5月におけるVAMA加盟企業とVAMA非加盟企業を合わせた新車販売台数(TCモーターおよびビンファスト=VinFast含まず)は前月比▲1%減、前年同月比では+13%増の2万...

台風1号、中部の広範囲で大雨 フエではミスコンステージが水没 (13日)

 11日午前に南シナ海で発生した台風1号(アジア名:ウーティップ、日本でも台風1号)の影響により、ベトナム北中部から南中部沿岸地方にかけての広い範囲で大雨が降り、各地で洪水や土砂崩れなどの被害が出ている...

国際美男子コンテストでベトナム代表がトップ5入り (13日)

 世界的な美男子コンテスト「マンハント・インターナショナル(Manhunt International)」の2025年大会が10日夜にタイで開催され、各国・地域から37人のモデルが出場した。今大会ではベトナム代表のブー・リンさん...

ホーチミン:グリーン企業協会が発足 (13日)

 ホーチミン市グリーン企業協会(HGBA)が10日、正式に発足した。  HGBAは、加盟企業の競争力強化、技術革新、グリーンファイナンスへのアクセス、国際基準への適応に向けた取り組みを支援するほか、企業のグ...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved