ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

フォンニャ・ケバン国立公園の洞窟に暮らして90年の老夫婦

2025/03/02 10:37 JST配信
(C) VnExpress
(C) VnExpress 写真の拡大
(C) VnExpress
(C) VnExpress 写真の拡大

 「そのとき、私と彼らの孫たちは米を頭に載せて、水の流れが速くなった小川を渡って物資を支給しなければなりませんでした」と、アレム族で初めて大学の学位を取得した、タンチャック村人民委員会のディン・チャイ副主席は話す。

 チャイ副主席によれば、ネーさん夫婦は山や森を心から愛しているが、他のアレム族も同じように森での暮らしを好んでいる。夏には家族が集まり、かつて暮らしていた森の中に小屋を建てる。

 そして、小川のほとりで思い思いに水浴びをしたり洗濯をしたり、魚を捕まえたり、果物を採ったりする。夜になると家族皆で小川のそばで焚き火を囲み、お酒を飲んだり歌を歌ったりする。

 タンチャック村のアレム族のコミュニティは、1956年に人口18人の民族として発見されたが、現在は66世帯の188人に増えた。家に直結するコンクリート舗装の道路や、電気やインターネットは、アレム族の人々に大きな変化をもたらした。

 しかし、タンチャック村共産党委員会のダイ書記によれば、アレム族の人々の暮らしは依然としてかなり厳しい。彼らの住まいはフォンニャ・ケバン国立公園の核心地域(コアゾーン)に位置しているため、生産に使える土地が少なく、拡張することもできない。さらに、完全な自然栽培で、農具も原始的であるほか、多くの野生動物が畑を破壊してしまうため、経済効率性が低いのだ。

 近年、政府や団体・組織、企業などが、アレム族の人々の生活をケアしている。各世帯には森林保護の任務が与えられ、平均して1世帯あたり年間2500万VND(約14万5000円)の報酬が支払われる。

 「基本的な支援額は9~10か月分の生活費を賄うのに十分な額ですが、まだ意識が高くないため、彼らは貯蓄や生計の立て方がわからず、結局生活が厳しくなってしまうんです」とダイ書記は語る。村の世帯の80%は依然として貧困層だという。

 現代的な生活がどの家庭にも浸透しているにもかかわらず、ネーさんにとっては今でも森がすべてだ。村の家には古びた衣服のほかに、冷めきった鍋がある。食べかけのご飯が入った鍋のそばには、前日にネーさんが採ってきたタケノコが入った鍋と、いつ茹でたのかもはやわからない、石のように固くなったキャッサバが入った鍋が置かれている。

 「私はもう年老いて脚も痛いので、森には行けません。でも夫はまだまだ行くでしょうね」と、ルーさんは夫のほうを見て話した。

 しかしネーさんは、子供たちが行かせてくれない、と長いため息をつく。「万一のことがあっても子供たちに残せるお金もありません」とネーさんは語った。

前へ   1   2   3   次へ
[VnExpress 06:00 18/02/2025, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
ベトナム航空、ホーチミン~コペンハーゲン線を就航 初の北欧線 (5:19)

 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は15日、ホーチミン市とデンマークの首都コペンハーゲンを結ぶ直行便を就航した。ベトナムと北欧を結ぶ直行便はこれが初めて。

25年1~11月期の訪日ベトナム人63.5万人、24年通年超え (4:44)

 日本政府観光局(JNTO)が発表した統計によると、2025年11月の訪日ベトナム人の数は前年同月比+3.2%増の5万1800人で、11月として過去最高を記録するとともに、8か月連続で単月の過去最高を更新した。  1~11...

ホーチミン:外国人の滞在状況を抜き打ち検査、新政令施行で (4:16)

 家庭内暴力の防止や社会秩序の維持に関する行政罰を定めた政令第282号/2025/ND-CPが15日に施行されたことを機に、ホーチミン市タンディン街区(旧1区の一部)警察は15日夜から16日未明にかけて、賃貸住宅やホテル...

湖の上の「越僑集落」、カンボジアから帰国した人々の暮らし (14日)

 東南部地方ドンナイ省ディンクアン村のスオイコー地区に面するチアン湖では、カンボジアから帰国した越僑(在外ベトナム人)150世帯以上が、電気も上水道もない水上家屋で暮らし、網漁で日々の生計を立てている。...

山洋電気、フンイエン省に子会社を設立へ 新工場を法人化 (3:47)

 クーリングシステム製品やパワーシステム製品、サーボシステム製品を手掛ける山洋電気株式会社(東京都豊島区)は、北部紅河デルタ地方フンイエン省に同社100%出資の連結子会社を設立する。  子会社「山洋電...

25年11月の対日貿易収支、1349億円の黒字 +15.5%増 (2:13)

 日本の財務省が発表した2025年11月の貿易統計(速報)によると、ベトナムの対日貿易収支は前年同月比+15.5%増の1348億5800万円の黒字だった。  日本からベトナムへの輸入額は前年同月比+14.0%増の2499億780...

ビンEVタクシー、フィリピンのダバオでサービス開始 (17日)

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下のビンファスト(VinFast)製電気自動車(EV)・電動バイクのレンタカー・タクシー会社で、配車サービス「サインSM(X

改正民間航空法、低空域の航空輸送を初めて制度化 無人機活用へ (17日)

 国会でこのほど可決された改正民間航空法(2026年7月1日施行)では、「低空域の航空輸送」という概念が法制度に初めて導入された。  これは、無人航空機(UAV)や新世代の飛行体を活用した次世代航空輸送モデル...

韓国アリエックス、地場投資大手VIGなどと合弁会社設立 (17日)

 ベトナムを中心に国際決済・データインフラ事業を展開する韓国系アリエックス・ベトナム(Alliex Vietnam)は、グローバルデジタル金融グループのゴータイム(GoTyme)および地場ベトナム・インベストメンツ・グル...

改正投資法、条件付き事業を削減 電子たばこの製造販売も禁止 (17日)

 国会でこのほど可決された改正投資法では、行政手続きの簡素化や条件付き事業分野の削減など、投資環境の改善を目的とする多くの改革が盛り込まれている。  同法は7章52条と4つの付録から構成される。2026...

越系米国人のスタートアップ、「AIグラス」で660万USD調達 (17日)

 米国ハーバード大学の卒業生で、ベトナム系米国人のアインフー・グエン(AnhPhu Nguyen)氏と友人のケイン・アルデイフィオ(Caine Ardayfio)氏が設立したスタートアップ企業「ミラ(Mira)」は、新型人工知能(AI)グ...

オートリブ、クアンニン省にエアバッグクッション生産工場を開設 (17日)

 自動車安全システムを提供するスウェーデンのオートリブ(Autoliv)はこのほど、東北部地方クアンニン省のアマタシティ・ハロン工業団地の新事業所でオープニングセレモニーを開催した。  式典には、在ベトナ...

ベトナム、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)に加盟 (17日)

 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は15日、ベトナムが11月7日付けで所定の手続きを完了し、IRENAに加盟したと発表した。  IRENAへの加盟は、再生可能エネルギーの拡大やエネルギー転換、グリーン成長を重...

ベトナムとキプロス、二重課税防止協定を締結 (17日)

 キプロスの首都ニコシアで15日、ベトナム財政省とキプロス財務省が、所得に対する二重課税防止・租税回避防止に関する協定を締結した。  同協定は、両国間における課税権の合理的な配分を確保し、国際基準...

ハノイ:旗艦映画館「ギャラクシー・シネX」がオープン (17日)

 ギャラクシー・スタジオ(Galaxy Studio)は15日、北部市場への進出戦略の一環として、同社にとってハノイ市初となる旗艦映画館「ギャラクシー・シネX・ハノイセンター(Galaxy CineX - Hanoi Centre)」をオープン...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved