ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

ベトナムのセキュリティ事情(5):工場のセキュリティ~対策その2~

2015/08/15 06:00 JST配信

 皆さん、こんにちは。ALSOKベトナムの安立です。

 前回(工場のセキュリティ~対策その1~)で、「抑止」および「証拠保存」という観点から監視カメラをご紹介したところ、コラムを読んだ工場経営者の方から質問がありましたので、この場をお借りして回答します。読者の方からのフィードバックは、大変貴重ですので、出来る限りコラム内に反映させていきたいと思っています。

工場の監視カメラ、何が映っていますか?

 その工場は、6年ほど前にホーチミン市近郊の工業団地に進出した製造業で、約1000人のワーカーが働いています。

 質問をそのまま掲載すると「コラムを読んで、気になったので工場の監視カメラの映像を見てみたら、所々歯抜けになっていたり、壁のようなものが映っていたりしている。大丈夫だろうか?」でした。

 実際の現場を見ていないので、あくまで想像ですが、その工場では複数台の監視カメラの画像を1台のディスプレイに映しているのだと思われます。そして「歯抜けになっている」という状態は、監視カメラのいくつかが故障している状態、「壁のようなものが映っている」という状態は、何者かによって監視カメラの方向が変えられたか、単純にボルト等が緩んでカメラが壁や床の方向を向いている状態と思われます。

監視カメラの機能を有効に活用するための確認ポイント

 折角、監視カメラを導入したのに、正常に機能していないと意味がありません。当然のことですが、故障している監視カメラは修理か交換してもらい、正常な方向を向いていない監視カメラは方向調整をする必要があります。監視カメラおよび録画装置については、本来の機能を有効に活用するために、上記の他にも次のポイントを確認することをお勧めします。

1.録画装置の時刻にズレは無いか?
折角、証拠画像として使おうとした際に時刻がズレていては話になりません。
2.画像の乱れは無いか?
これは、機器やケーブルの劣化、電波などの外部要因で発生します。
3.レンズ汚れによる不明瞭な画像
鳥などの小動物の糞やホコリなどを記録し続けても意味がありませんね。

IPカメラの利点とアナログカメラとの違い

 特に、劣化した機材はリニューアルされることをお勧めしています。前回ご説明した通り、ベトナムでも、ここ1~2年の間に最新式の監視カメラが入手できるようになってきました。もちろん費用対効果を考慮する必要はありますが、可能であれば監視カメラは、従来のアナログ方式からIP方式へリニューアルされることをお勧めしています。

 まず、第一に画像の解像度が違います。

 中央に掛かっているカレンダーの日付を見ていただくと違いがハッキリすると思います。これは、例えば製造工程や現金を扱うような場面で、手先の動きを正確に記録しておきたい時に有効ですね。

 第二に、従来のアナログカメラの場合、画像用のケーブルと電源ケーブルの両方を敷設する必要がありましたが、IPカメラであれば、LANケーブル一本で画像データと電源供給の両方を可能にします。

 配線がシンプルであるということは、導入コストもメンテナンスコストも安く済みます。また、ベトナムで頻発する停電についても、ネットワーク上の機器(ハブなど)にUPS(無停電電源装置)を付設することで、数時間程度の停電であれば対応できるようになってきました。停電の間は窃盗などの事件が発生しやすい条件が揃いますが、従来は対策が困難でした。

 第三に、IPカメラの映像は、容易にお手元のスマホやタブレットから画像を確認することが出来ます。従来のアナログカメラも、機器やネットワーク構成を工夫すれば可能でしたが、IPカメラは、さらに容易になりました。

 この機能を有効活用している例として、ある食品工場では、日本の本社からベトナム工場内の製造工程を全てIPカメラで画像確認・保存されています。なお、本機能を利用する際は、外部から社内ネットワークにアクセスするためネットワークセキュリティ(ファイアウォールなど)面での考慮が必要であることを付け加えておきます。

 今回は、監視カメラについての補足説明をしました。書きたいことは、まだまだありますが、この辺で止めておきます。次回は、「防止」の観点から、出入り管理システムを使った人間の出入り・動きをコントロールする方法を説明します。

著者紹介
安立 光孝 (あだち みつたか)

ALSOK (VIET NAM) CO.,LTD  代表取締役社長

コンピュータメーカーで17年間システムエンジニアとして従事。製造業における生産管理システムやファクトリオートメーションシステムの構築を担当。1998年から4年間、米国シリコンバレーに駐在し、ITセキュリティのベンチャー企業を発掘、日本市場への参入を支援。2007年に綜合警備保障株式会社(ALSOK)入社。新規事業の「情報警備」事業を立ち上げ、2014年4月より現職。

ウェブサイト:https://www.alsok.com.vn/

ベトナムにおけるセキュリティー事情
その他の記事はこちら>
[2015年8月15日 ベトジョーコラム A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
ビングループ、ハティン省でEV部品産業向け賃貸工場を建設へ (17:20)

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)は、北中部地方ハティン省ブンアン経済区で計画されている電気自動車(EV)部品産業向け賃貸工場の投資方針の承認を得た

ビングループ、ヒューマノイドロボット子会社を設立 (17:10)

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)の取締役会はこのほど、ヒューマノイドロボットの研究開発、製造、技術移転を手掛ける子会社「ビンダイナミクス(VinD

電子送金の報告義務、国内5億VND・国際1000USD以上が対象 (15:16)

 ベトナム国家銀行(中央銀行)は、マネーロンダリング防止法の一部条項を具体化する通達第27号/2025/TT-NHNNを発出した。同通達は11月1日に施行される。  通達によると、金融機関や関連する非金融業種の事業...

「我が家」を夢見る18歳の少女 (21日)

 南部メコンデルタ地方ドンタップ省に住むファン・ゴ・ジエム・フオンさん(女性・18歳)には「我が家」がない。フオンさん一家は「自宅」を持ったことがなく、フオンさんはこの18年間、母方の祖父母や叔母の家な...

ホーチミン:学校の休み時間、携帯電話使用を制限 (14:59)

 ホーチミン市教育訓練局はこのほど開いたセミナーで、市内の普通教育機関での休み時間中に携帯電話や電子機器の使用を制限する計画案を明らかにした。  2段階で実施し、第1段階は、2025年10月から2025~202...

ベトナム航空、総額100億USDで大型機30機を追加導入へ (14:26)

 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は、長距離国際線の拡大を視野に、100億USD(約1兆4800億円)を投じて最大30機の大型機を導入する計画を明らかにした。  機材の

FPTとハノイ医大、街区・村の診療所にAED設置 国内初の取り組み (13:15)

 公共の場に自動体外式除細動器(AED)を設置するベトナム初の取り組みが始まった。心停止後の初動対応力を高め、救命率を向上させることが目的だ。ベトナムIT最大手FPT情報通信[FPT](

ベトナムのインターネット通信速度、初の世界トップ10入り (6:50)

 インターネット接続の性能を評価するウェブサイト「スピードテスト(Speedtest)」を運営する米国のオークラ(Ookla)社の2025年8月報告によると、ベトナムの固定回線インターネットの平均速度は261.8Mbpsとなり、...

ベトジェットエア、初のボーイング機を受領 (6:25)

 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は、米ボーイング社(Boeing)との間で締結した総額320億USD(約4兆7000億円)規模の200機の発注の一環として、初号機とな

電子マネー「MoMo」、チャブ・ライフと提携で健康保険事業参入 (5:38)

 ベトナムの決済アプリ大手「モモ(MoMo)」は、世界的保険グループであるチャブグループ(Chubb Group)傘下のチャブ・ライフ・ベトナム(Chubb Life Vietnam)との提携を発表し、健康保険商品「モモケア(MoMoCare)」...

ホーチミン:マイチート通りに市内初の自転車専用レーン設置へ (5:03)

 ホーチミン市当局は10月、ビンチュン街区(旧トゥードゥック市)のマイチート(Mai Chi Tho)通りに全長約5.8kmの自転車専用レーンの建設を開始する予定だ。投資総額は140億VND(約7800万円)余りとなっている。 ...

KDDI、VNPTとデジタルサービス推進で協業 (4:53)

 KDDI株式会社(東京都港区)は11日、ベトナム郵便通信グループ(Vietnam Posts and Telecommunications Group=VNPT)との間で、ベトナムにおけるデジタルサービスの推進を目的とした戦略的パートナーシップを締結...

多摩川電子ベトナム、フンイエン省の新工場が間もなく完成 (4:12)

 株式会社多摩川ホールディングス(東京都港区)の孫会社である多摩川電子ベトナム(TAMAGAWA ELECTRONICS VIETNAM)は、移転用地として取得した用地で新工場の建設工事を進めており、9月末に新工場が完成し、10月29...

中尾製作所、ハノイにベトナム現地法人を設立 (3:36)

 家具・建築用金物製造販売を手掛ける株式会社中尾製作所(三重県津市)は4日、東南アジア地域における販売体制の強化を目的として、ベトナム現地法人をハノイ市に設立した。  ベトナム現地法人「中尾ベトナム...

ベトナム家具・建設展示会、ホーチミンで10月1日から開催 (2:56)

 ホーチミン市タンミー街区(旧7区)のサイゴンエキシビション&コンベンションセンター(SECC:799 Nguyen Van Linh, phuong Tan My, TP. Ho Chi Minh)で、10月1日(水)から4日(土)まで、「第2回ベトナム家具・建設...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved