ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

第16回 ホーチミン市民を守る【サイレントヒーローたち】

2020/12/14 10:05 JST配信

みなさん、こんにちは!ホーチミン在住のベトナム人 ICONIC のHanです。コラム 「【日本人が知らない】ディープなベトナム案内」 では、ベトナムでの旅行やグルメ・文化・ショッピング・その他おもしろ情報を発信していきます。

みなさんは出張や旅行で東南アジアを訪れる際、 現地の治安 について調べていますか。治安の良し悪しをどう捉えるかは人それぞれですが、ご自身が訪れる国でどんなトラブルが起きているのか、そしてどう対処しているのかをチェックする必要があるでしょう。

近年ホーチミンでは、外国人をターゲットにしたひったくり事件が発生しています。そうした事態を踏まえ、ホーチミン市警察は一般市民から成る 「ひったくり取り締まり隊(Doi san bat cuop Sai Gon)」 を発足し、対処に当たっています。そこで今回は、私たちの街を守ってくれる「ひったくり取り締まり隊(以下SBC)」について、大きな功績を持つ2つのチームに焦点を当てながら紹介します。また、「サイゴンSOSチーム(Biet doi SOS Sai Gon)」というグループの活動についても取り上げます。

自ら泥棒を捕まえた、志高い若者がリーダー!

まずは、SBCのチームの1つである、グエン・バン・シン(Nguyen Van Sin)さんをリーダーとしたグループについてです。シンさんは20代で若く、少しふくよかで優しい顔立ちの男性です。外見は穏やかですが、芯が強く、ひったくりの取り締まりに熱心なのだそう。彼は以前、仕事帰りに目の前でひったくりが発生し、自ら追いかけて捕まえたという功績の持ち主です。それをきっかけにもっと多くの人を助けたいと考え、 同じ意思を持つメンバーを集めてチームを結成 しました。

引用: VNEXPRESS

メンバーは全員が運転手やセールス、販売業といった自身の仕事があるため、平日はあまり活動できません。休日に集まってミーティングや市内のパトロールをしています。また、 ホットラインやフェイスブック経由で相談を受けて、被害者のもとへ駆けつける こともあります。そうして、彼らは年に数百件のトラブルを解決しました。

しかし、彼らの活動は危険と隣り合わせでもあります。傷害事件に巻き込まれたり、逆恨みをされて追い回されたりすることもあるからです。シンさんは過去にバイクを壊されたり、注射針を刺される被害に遭いました。メンバーのブーさんは、ナイフで刺されて入院する事態に至っています。彼らの身に何か起きた際は、医療部のサポートを無償で受けられることになっています。

強盗・ひったくりを阻止!

次はラム・ヒエウ・ロン(Lam Hieu Long)さんのチームです。ロンさんはタンフー区に住む男性です。彼のチームは23~26歳のメンバー6人で構成されており、SBCの2つのフェイスブックページ Trình Báo M?t C?p Tài S?n – Đ?i Săn B?t C??p TPHCM および Đ?i Săn B?t C??p TPHCM を管理しています。詳しい活動の様子はこのページから見ることができます。SBCは強盗やひったくり等の事件を200件以上解決している頼もしいチームです。

引用: Canhsat TOANCAU

ロンさんもシンさんのチームと同じく、危険なトラブルに見舞われることがあります。何事もなく解決してほしいと願うばかりです。

夜間の様々なトラブルを解決!サイゴンSOSチーム

そしてもう1つ、みなさんに知っていただきたいのが「サイゴンSOSチーム」です。トゥアン・サン(Tuan Sang)さん、バン・サック(Van Sac)さんが2017年3月に結成し、20人のメンバーで構成されるグループです。彼らは午後10時~午前2時にかけて活動しています。このチームは、主に 夜間走行者のためのバイクの修理、交通事故に遭った被害者の搬送、泥酔した人の介抱など、夜間に発生するトラブルへの対処 にあたっています。

引用: THANH NIEN

必要な工具やガソリン、応急処置の道具等はすべてメンバー自身が用意しており、修理や救護スキルも自ら学んで身に着けたそうです。結成当初、彼らの存在はまだ信用されておらず、泥棒と間違われることもあったのだとか。それでも諦めずに続けた結果、多くの市民に認められる存在となりました。

メンバーの安全確保が課題

我々にとって誇らしい存在であるSBC、SOSチームですが、 安全性や費用面における課題 があります。SBCに関しては、危険を伴う活動を不安視する声もあります。彼らはひったくり犯の取り押さえに必要な訓練を受けていますが、武器を持っているわけではありません。犯人がナイフを持っていた場合、警察の応援が必要になります。最近では、彼らに電気鞭などのサポート器具を給付してはどうか…という声もあり、どのように危険を回避していくかが課題となっています。

引用: Zing news

また、SOSチームが自ら活動に必要なものを用意しているように、金銭的なサポートも十分とは言えません。事件や事故に巻き込まれてバイクが壊れてしまっても修理代は自己負担なのです。「援助がなくても大丈夫」と言うメンバーもいますが、何らかのサポートが必要なのではないでしょうか。彼らの存在に憧れて、グループに参加する若者はたくさんいます。これまで以上にスキルを磨ける環境を整えれば、彼らはホーチミンの安全を守る大きな組織となることでしょう。

著者紹介
ICONICベトナム
ベトナムで転職実績No.1を誇るICONICです。ベトナムでの転職支援・求人紹介を行っています。ベトナムの生活情報をお届けするブログも運営しており、ベトナム旅行、ベトナム料理、文化、ショッピング、その他おもしろ情報を発信中!生活に役立つ情報を現地からお届けします。

>> ベトナムでの転職・求人ならiconicJob

>> 海外転職・アジア生活ブログ
【日本人が知らない】ディープなベトナム案内
その他の記事はこちら>
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
クアンチ省:故レ・ズアン書記長の記念館が完成 (6:34)

 北中部地方クアンチ省チエウフォン郡チエウタイン村で4月28日、南部解放・南北統一50周年(1975年4月30日~2025年4月30日)を記念して、故レ・ズアン書記長記念館の竣工式が開催された。  同省の重要革命史跡...

ホーチミン:空港新ターミナル行き電気バス路線を運行開始 (5:42)

 ホーチミン市交通公共事業局傘下の公共交通管理センターは4月28日、ホーチミン市1区サイゴンバスターミナル(ben xe buyt Sai Gon)とタンソンニャット国際空港を結ぶ「109番」の路線バスについて、このほど開業...

ベトジェットエア、5月5日限定で運賃55%割引キャンペーン (4:48)

 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は、5月5日(月)の午前0時から23時までの1日限定で、ベトナム国内線と国際線のエコクラス運賃が55%割引(税など含まず)

1975年4月30日、統一会堂でベトコンの旗を振った兵士の記憶 (4/27)

 1975年4月30日、特殊部隊の兵士だったファム・ズイ・ドー上尉(男性・75歳)は、南ベトナム大統領官邸(現在のホーチミン市の「統一会堂」)の2階に駆け上がり、南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)の旗を何度も振っ...

4月のベトジョー記事10選:トランプ関税、石破首相訪越など (1日)

 4月は、ドナルド・トランプ米大統領が、世界各国からの輸入品に対し「相互関税」を課すと発表しました。180以上の国・地域に一律10%の関税を課した上で、国・地域ごとに異なる税率を上乗せし、ベトナムに対し...

4月のベトジョー記事アクセス数ランキング (1日)

 VIETJOベトナムニュースが4月に配信した記事のアクセス数ランキングをご紹介します。 1位:200年の歴史を有する毒ヘビ養殖村、高収入も危険と隣り合わせ

4月30日の南部解放記念日と5月1日のメーデーに読みたい記事8選 (4/30)

 今から50年前の1975年4月30日、サイゴンの南ベトナム大統領官邸(現在のホーチミン市の「統一会堂」)の正門に2台の戦車が突入し、サイゴンが陥落しました。これにより、長く続いたベトナム戦争が終結しました。 ...

ベトナム軍事歴史博物館、南部解放記念日に伴う5連休は入館無料 (4/30)

 ハノイ市ナムトゥーリエム区にあるベトナム軍事歴史博物館は、4月30日(南部解放記念日)と5月1日(メーデー)に伴う4月30日(水)から5月4日(日)までの5連休中の入館料を無料とすることを決めた。  今回の決定は...

世銀、ベトナムの25年GDP成長率予想を+5.8%に下方修正 (4/29)

 世界銀行(WB)は先般発表した最新レポートの中で、ベトナムの2025年における国内総生産(GDP)成長率予想を前回レポートの+6.8%から+5.8%へと▲1.0%pt下方修正した。理由として、世界的な貿易政策の不確実性や経...

ハイテク・GX・半導体分野の高付加価値化で日越協力フォーラム開催 (4/29)

 石破茂内閣総理大臣は28日午後、ファム・ミン・チン首相とともに、日越企業が会するハイテク・グリーントランスフォーメーション(GX)・半導体分野における高付加価値産業創出に向けた日越協力フォーラムに参加...

ラムドン省:国会民族評議会議長が党委書記に転任 (4/29)

 ベトナム共産党政治局は、国会民族評議会議長のイー・タイン・ハー・ニエ・クダム氏を、南中部高原地方ラムドン省共産党委員会書記(2020~2025年任期)に任命した。  同省で28日に開催された任命式には、政...

ホーチミン:ビンタン区にブックストリートが新たにオープン (4/29)

 「第4回ベトナム書籍・読書文化の日」開幕に合わせて25日、ホーチミン市ビンタン区にブックストリートが新たにオープンした。  ビンタン区ビンチドンB街区の高技術医療区内に設置され、広さ約2000m2に12の...

石破首相、クオン国家主席とマン国会議長と会談 (4/29)

 ベトナムを訪問している石破茂内閣総理大臣とルオン・クオン国家主席は現地時間28日午前11時20分から約45分間にわたり、国家主席府で会談を行った。その後、現地時間同日午後2時20分から約40分間にわたり、国会...

THグループ、ビンズオン省に新工場建設へ 投資総額334億円 (4/29)

 THミルク(TH Milk)などを展開する乳業大手THグループ(TH Group)は、東南部地方ビンズオン省の第3ソンタン工業団地内に牛乳・乳製品加工工場「THビンズオン(TH Binh Duong)」を建設する計画だ。  同工場は敷...

統計局、戸籍登録・統計に関する国家レポートを初公表 (4/29)

 財政省傘下の統計局は25日、「2021~2024年度の戸籍登録・統計に関する国家レポート」を発表した。同レポートが発表されるのは今回が初めて。  同レポートでは、出生・死亡・婚姻の登録データに加え、出生...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved