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【第18回】遊びの要素

2022/10/19 15:00 JST配信

年少組3歳児、毎日がドラマです。

何度も繰り返す

 今週、女児のA子とB子が、2枚の布を腰と肩にまとい姫ブームになっています。A子は私に、魔女になってと頼みにきました。そして急に白雪姫のお話を始めました。「おきさきさまは、どくりんごをたべさせる。」「かがみにきくんだよ。」と鏡に向かっていう言葉はA子の覚えているセリフを言わされ、りんごに見立てた積み木を姫たちに渡します。なりきった子どもたちはリンゴをかじった真似をすると、あっという間に倒れました。それを魔女と小人の二役の私が助けに回るという設定です。子どもたちの劇ごっこには、小道具が必要です。なりきるためと、イメージに近付き、動きを出すためにです。今回は、すぐさまリンゴを作ることにしました。毒リンゴを1個作れば間に合うと思っていたら、役になりきっている人が全員欲しいことになり、急遽、大量のリンゴ作りが始まりました。作った丸いリンゴをかじって倒れるシーンが今回の劇ごっこの山場です。好きな場面は何度でも繰り返します。この「何度でも繰り返す」が子どもたちの遊びには重要で、大切な「学びの時」となります。繰り返せば繰り返すほど、役が体に浸透していきます。

 その週は白雪姫とリンゴごっこが毎日展開されていましたので、壁面にリンゴの木を作った後、子どもたちに絵の具で木に実のなるものを想像して、タンポでポンポン絵の具を叩いて絵を描きました。私が想像する以上の実のなる木ができました。C男は自分のイメージがあり、描きながら描いているものの説明をしながら仕上げていきます。D子は、絵の具が混ざって偶然できた新しい色を使って、タンポをひたすら細かく動かしながら桜の木のように作りあげました。E男は初めポンポンと叩いて色をのせていましたが、そのうち木の幹にぐるぐる腕を回しながら円を描きました。まさに一人一人、十人十色です。子ども達の描く風景を見ながら一人一人それぞれだということをいつも実感させられます。

再現する

 子どもたちは、絵本の「しろくまちゃんのホーットケーキ」「ぐりとぐら」を普段から大好きなこともあり、自分たちでホットケーキを作って、でき立てを食べることに憧れを持っています。ついに待ちに待ったホットケーキ作りがやってきました。エプロンをつけ、個人用のボールに粉を混ぜ、フライパンに投入。その瞬間、ICコンロが故障しました。待つ時間は長くなりましたがその間、文句も出ず、ずっと粉を混ぜていましたから、練り具合はバッチリになっていました。好きなことをやっている間、子どもたちはどこまでも待てるということが新しい発見になりました。

 焼いてもらったホットケーキを、お皿に乗せて、でき立てを口に入れるその瞬間が至福の時です。その満足感が子どもたちを次の遊びへと導きます。部屋に戻ると早速、紙でホットケーキ作りです。保育者も手伝って、丸く紙を2枚切り、膨らみを出すため間にくしゃくしゃと別の紙を丸めて挟んで留めます。お部屋のままごとコーナーで、それをフライパンで焼く真似をして届けます。記憶に残った体験を遊びですぐさま再現していくことができる子どもの力には目に見張るものがあります。

 『遊び』の中には、子どもたちの色々な力を引き出す、色々な要素が入っています。

著者紹介
多々内三恵子
おおぞら日本人幼稚園理事長・園長。

タオディエン日本人幼稚園園長。

静岡大学教育学部附属幼稚園・青山学院幼稚園教諭を経てホーチミンで日系幼稚園を開園。

日本の保育を真摯に、かつユニークに展開中。

子どもの世界の面白さを語ったら止まらない。

>> おおぞら日本人幼稚園ウェブサイト

>> タオディエン日本人幼稚園フェイスブックページ
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