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- 銀行口座を持たない中低所得層を主な対象
- デジタル金融サービスの提供を強化
- テクノロジーの力で金融をより身近に
ベトナム最大規模の質屋チェーン「F88」は7月30日、モバイル決済アプリ「ザロペイ(ZaloPay)」との業務提携を発表した。銀行口座を持たない中低所得層を主な対象とし、デジタル金融サービスの提供を強化する。
今回の提携により、F88の融資サービスがザロペイのプラットフォームに統合され、数百万人のユーザーがローン情報の確認から申請までをスマートフォン上で簡単に行えるようになる。申請データはF88が受け取り、自社システムで審査・融資プロセスを最適化することで、迅速な資金提供を実現する。
F88にとって、デジタル化は顧客体験の変革を進めるための中核戦略の一つとなっている。すでに同社は独自アプリ「My F88」を展開しており、質入れローン、返済、再融資といった一連のサービスを非対面で完結できる。なお、同アプリは、シンガポールの金融専門誌「アジアン・バンキング&ファイナンス(Asian Banking & Finance)」により、「モバイルアプリ・オブ・ザ・イヤー」に選出されている。
ザロペイのレ・ラン・チー社長は、「テクノロジーの力で金融をより身近にすることを目指している。F88のような現場に強いパートナーとの連携は、これまで金融サービスにアクセスできなかった層にとって大きな価値をもたらす」とコメントした。
F88は、全国に約900店舗を展開しており、平日夜間や週末も営業している。日雇い労働者、小規模商店主、フリーランスなど、従来の金融機関を利用しにくい人々のニーズに応えている。
ベトナムの金融情報サービス大手フィングループ(FiinGroup)によると、ベトナムでは約2500万人が銀行や金融会社から融資を受けられていないという。また、バイクや自動車の登録証を担保とするローンは、国内の代替金融市場の売上高の約60%を占めている。F88を含む代替金融企業は、2019年から2024年にかけて年平均+53.3%の貸付残高成長を達成しており、今後も成長が期待されている。