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- 約5年の事業展開経てベトナム市場撤退
- 国内外ブランドとの競争激化、採算取れず
- 市場に合わせたローカライズ戦略が欠如
タイのコーヒーチェーン最大手「カフェ・アマゾン(Cafe Amazon)」が、約5年の事業展開を経てベトナム市場から撤退する見通しだ。国内外ブランドとの競争が激化し、採算が取れない状況が続いていた。
タイのセントラル・プラザ・ホテル(Central Plaza Hotel=Centel=センテル)は、ベトナムで「カフェ・アマゾン」を運営するORCコーヒー・パッション・グループ(ORCG)から撤退すると発表した。
ORCGは、センテル子会社のセントラル・レストランツ・グループ(Central Restaurants Group)が40%、タイのPTT子会社のPTTORが60%を出資する合弁会社だ。
センテルはタイ証券取引所への報告で、今回の決定について、事業ポートフォリオの優先順位を見直し、市場環境の変化に対応するためだと説明した。2024年8月31日時点で、同合弁会社への投資額は約5600万THB(約2億6300万円)となっている。
この撤退により、2020年から進めてきた「カフェ・アマゾン」のベトナム事業拡大計画は、事実上終了する。近年はホーチミン市内のグエンタイビン(Nguyen Thai Binh)通り、ディンティエンホアン(Dinh Tien Hoang)通り、スーバンハイン(Su Van Hanh)通りなど、主要な立地の店舗を相次いで閉店したことも確認されている。
飲食業界の専門家は、同ブランドの失敗について「タイでの成功モデルをそのまま持ち込んだことが要因」と指摘した。PTTのガソリンスタンド併設型という囲い込みモデルがベトナムでは通用せず、店舗投資コストが高い一方で客単価は低く、利益率を圧迫したとみられる。
また、商品もラテやモカなど国際的なメニューが中心で、現地の嗜好とかけ離れていたことから、市場に合わせたローカライズ戦略の欠如が致命的だったとしている。