![]() イメージ写真 ![]() |
- 改正法人税法、科学技術イノベーション法
- 金地金生産の国家独占が廃止に
- グローバル・ミニマム課税に関する政令
10月に施行される新規定6本をまとめて紹介する。
1. 改正法人税法
10月1日施行の同法では、企業が複数の異なる優遇措置の対象となる場合、「最も有利な優遇措置」を適用することを原則とする規定が補足された。また、デジタル技術産業法や化学品法、国防・安全保障産業法などを踏まえた上で新たな優遇対象分野を更新した。対象となるのは、重要化学工業製品、電子機器、国防製品、重要機械などとなっている。
2. 科学技術イノベーション法
10月1日施行の同法では、科学・技術・イノベーション、イノベーションエコシステム、デジタルプラットフォーム、国家データベースの基本概念を明確に定義し、その調整範囲と適用対象を規定する。技術取引所の整備や、研究成果の移転・商業化の促進、行政手続きの簡素化、知的財産権の保護強化といった活動の後押しを目的とする。運用における基本原則としては、持続可能な発展の方向性を確保しつつ、研究の自由を尊重し、科学的誠実性を重視して、国際的な連携を推進する方針を掲げる。
3. 独身女性も体外受精が可能に
生殖補助医療(ART)による出産と人道的目的による代理出産の条件に関する政令第207号/2025/ND-CP(10月1日施行)により、独身女性は、医師の診断がなくても希望すれば生殖補助医療を利用できるようになる。不妊に悩んでいる夫婦、および希望する独身女性が対象となる。これにより、ベトナムで初めて、独身女性が体外受精を含む生殖補助医療を利用する権利を持つことになる。
4. 金地金生産の国家独占を廃止
金販売活動の管理に関する政令第24号/2012/ND-CPの一部を改正・補足する政令第232号/2025/ND-CP(10月10日施行)によると、一定の条件を満たす企業や銀行に対して金の生産や輸入を認め、独占体制を見直す。同政令の3つの柱は以下の通り。ただし、金地金の生産自体は国家管理の下に置かれる。
・金地金生産の国家独占を廃止し、条件を満たす企業や銀行にライセンスを付与する。
・金地金および原材料の輸出入を解禁し、市場供給を拡大、国内外価格差の縮小を図る。
・監督責任を省庁・地方自治体に明確化し、連携・管理を強化する。
5. 金融機関法の一部を改正・補足する法律
10月15日施行の同法の新たな内容として、年利0%・無担保の特別融資に関する決定権限が、従来の首相からベトナム国家銀行(中央銀行)へと移管される。今回の改正により、特別融資に関する意思決定の分権が進み、政策実行における機動性と効率性の向上が期待される。
6. グローバル・ミニマム課税に関する政令
グローバル・ミニマム課税に関する詳細を定めた政令第236号/2025/ND-CP(10月15日施行)によると、2024年度分から課税が適用される。課税対象は、直近4年間のうち少なくとも2年間の売上高(連結)が7億5000万EUR(約1300億円)以上となる多国籍企業グループの構成事業体とされている。
設立から4年未満のグループでも、売上高の条件を満たす場合は課税対象となる。一方、資産保有や投資のみを目的とする事業体、補助的業務のみを行う事業体、投資ファンドや不動産投資法人が所有する事業体、非営利組織に属する事業体などは、一定条件の下で課税対象から除外される。