現在、国際協力機構(JICA)と遺産文化局、国家建築院が共同で、クアンナム省ホイアン町に今も残る、古い木造家屋の遺跡登録作業を進めている。しかし、登録に家屋の住人がなかなか応じようとしないという困難に直面している。
これは、家屋が遺跡登録されると、家屋の修理や売買などの決定権が政府に委ねられることになり、何をするにも政府の許可が必要になるためだ。そのため老朽化し続ける家屋を前に住人は、「遺跡登録などしてしまわずに、いつでも自分の修理したいときに家屋を修理して、修理するお金がなければ家屋ごと売ってしまえばいい。」と考えている。
一方、このような状況を逆手に取り、老朽化した歴史的家屋を専門に買取り、きれいに改装し高値で転売するという新ビジネスも生まれており、これも古い伝統的家屋を減らしている原因となっている。歴史的家屋を保護するはずの遺跡登録が逆に歴史的家屋を消滅の危機に追いやっている。2003年には350棟あった古い木造家屋は、現在200棟にまで減ってしまった。