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- フエ市のティエンム寺に自動車展示
- 「オースチンA95ウェストミンスター」
- ドゥック氏を焼身自殺の現場まで乗せた車
北中部地方フエ市のティエンム寺には、英国の自動車メーカーであるオースチン(Austin)の水色の自動車「オースチンA95ウェストミンスター(Austin A95 Westminster)」が展示されている。
ベトナム戦争中の1963年6月11日に、当時の南ベトナムのゴ・ディン・ジエム政権が行っていた仏教徒弾圧に抗議して焼身自殺した僧侶ティック・クアン・ドゥック氏を、焼身自殺の現場まで乗せた車として知られている。
自動車とともに、ドゥック氏の生涯と焼身自殺した様子を伝える資料や写真も展示されている。燃え盛る炎の中で瞑想するドゥック氏と、その背後のボンネットの開いたオースチンが写っている写真は、世界に衝撃を与えた。
仏教史研究者のチャン・ディン・ソン氏によると、当時車を所有していたのは、ティエンム寺の住職ティック・ドン・ハウ氏の弟子に当たる僧侶チャン・クアン・トゥアン氏だった。トゥアン氏は1960年代初頭に留学先の英国から帰国した際に車をベトナムに持ち込んだ。トゥアン氏はドゥック氏の焼身自殺の決意を知り、車に乗せたという。
この車はサイゴン政権の警察に保管されていたが、政権崩壊後にトゥアン氏が取り戻してティエンム寺に寄贈した。その後、1965年ごろにサイゴンからティエンム寺に移された。
なお、米国人ジャーナリストのマルコム・ブラウン氏は、1963年に撮影したドゥック氏の焼身自殺の写真により、同年の世界報道写真大賞と翌1964年のピューリッツァー賞を受賞した。