東南部地方タイニン省人民裁判所で2日、妊娠中の妻と心中を図り、死に切れなかった夫のファム・ヴァン・ド被告に判決が言い渡された。ド被告は昨年12月8日、自宅の寝室で妻のグエン・ホン・ティーさんと自分の身体に油を注いで火を放ち無理心中をはかったが、一人だけ生き残ったため妻に対する殺人罪で起訴されていた。
この心中未遂事件の発端は、ドがティーさんの奇妙な発疹に気付いたことにある。ドが問いただすとティーさんは、過去に麻薬中毒の男と同棲したりレイプの被害にあったりしたことがあるせいでHIVに感染しており、発疹はHIVの症状だと衝撃的な事実を告げた。ティーさんの話を聞いたドは自分も間違いなくHIVに感染していると思い込み、仕事も辞め酒びたりの自暴自棄な生活を送るようになった。
事件当日も酒を飲んで帰ってきたところをティーさんにとがめられたため、カッとなって犯行に及んだと見られている。殺されたティーさんは当時妊娠25週に入っていた。また、皮肉なことに検査の結果、ド被告はHIVに感染していなかった。裁判所はこの事件の特異性や被告の反省ぶりを酌量し、殺人罪では軽い懲役8年という量刑を下した。