ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

17世紀のチャンパ施釉四耳壺が日本初出土、堺の環濠都市遺跡

2015/03/19 08:57 JST配信
(C) 堺市
(C) 堺市 写真の拡大.

 大阪府堺市堺区の堺環濠都市遺跡で、17世紀ごろにベトナム南中部で作られたと見られるチャンパ王国の陶磁器「施釉四耳壺(せゆうしじこ)」の破片が日本で初めて出土していたことが明らかになった。

 今回確認された施釉四耳壺片は、釉薬の一種である灰釉が施されたもの。堺市博物館で開催される企画展の準備中に過去の出土遺物の中から確認された。破片は17点で、壺の口縁部から底部まで残存しており、復元すると口径約17cm、器高約34cmになるという。

 日本では、これまでに福岡県大宰府で南中部沿岸地方ビンディン省ゴーサイン窯のものと見られる15世紀代のチャンパ陶磁(皿)が出土しているが、17世紀の施釉四耳壺の出土は今回が初めて。

 文献資料によると、慶長年間(1596~1615年)ごろ、チャンパ王国には日本から朱印船が渡航しており、慶長11年(1606年)には徳川家康がチャンパ国王宛に親書を送り、香木を懇求するなどの交流があったとされている。

 堺環濠都市遺跡の施釉四耳壺片は2012年5~6月、慶長20年(1615年)大坂夏の陣前哨戦によって被災した建物跡の焼土層から出土したもの。年代の明らかな層に共伴していたことから、ベトナム陶磁器における年代決定の基準資料となり得るほか、これまでは文献資料でしか知られていなかった当時の日本とベトナム間の貿易や交流を裏付ける貴重な資料となる。

 専門家によると、この種の四耳壺は、チャンパ王国の中心地の1つであるダナン市クアンナム省ホイアン市などの中部地方では発見されていないことから、南中部地方で生産されたものと考えられるという。また、チャンパ王国の最盛期にあたる13~15世紀以降、特に王国が縮小する17世紀ごろの陶磁器についてはほとんど明らかになっておらず、今回の出土資料はベトナムの陶磁器研究において大きな意義を持つものと期待されている。

 なお、チャンパ王国は、2世紀から15世紀後半ごろまでベトナム中部から南中部にかけての沿岸地方に存在したベトナムの初期国家。ダナン市やクアンナム省の中部地方は同王国の初期の中心地であり、聖地ミーソン・港市ホイアン・王都チャーキエウの3か所を中心として栄えたとされる。後に中心地は南中部地方のクアンガイ省及びビンディン省の地域へ移った。

 同出土遺物は、堺市博物館で3月21日から4月19日まで開催される企画展「タイの古陶磁III~アユタヤ王朝とミャンマーの優品~」で展示される。

[2015年3月17日 堺市報道提供資料 A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
チン首相、「2桁の経済成長率目標は十分実現可能」 (18日)

 ファム・ミン・チン首相は、16日に開かれた「ベトナム経済サミット2025」の全体会議で演説し、「ベトナムの2桁の経済成長率目標にはしっかりとした基盤があり、余地もあり、十分に実現可能だ」と断言した。 ...

故ホー主席の父グエン・シン・サックの墓、特別国家級遺跡に指定 (18日)

 南部メコンデルタ地方ドンタップ省カオライン街区にあるグエン・シン・サック遺跡区で16日、故ホー・チ・ミン主席の父親である故グエン・シン・サック氏の墓を特別国家級遺跡に指定する証明書の交付式と、同遺...

サイゴン川沿いに歩道橋2本建設へ、市民と観光客の安全確保 (18日)

 ホーチミン市人民委員会はこのほど、サイゴン街区(旧1区)トンドゥックタン(Ton Duc Thang)通りを横断する歩道橋2本の建設およびバーソンB埠頭・C埠頭の改修を承認した。サイゴン川沿いエリアの都市空間整備と歩...

湖の上の「越僑集落」、カンボジアから帰国した人々の暮らし (14日)

 東南部地方ドンナイ省ディンクアン村のスオイコー地区に面するチアン湖では、カンボジアから帰国した越僑(在外ベトナム人)150世帯以上が、電気も上水道もない水上家屋で暮らし、網漁で日々の生計を立てている。...

「人材競争力に関する国際調査(GTCI)」、越は135か国中76位 (18日)

 インシアード(INSEAD)は、世界135か国の「人財を獲得・育成・維持する能力」を調査・ランク付けした「人材競争力に関する国際調査(Global Talent Competitiveness Index=GTCI)2025」を発表した。  GTCIで...

韓国の造船用資材メーカー、カインホア省に新工場を設立へ (18日)

 造船用資材などを生産する韓国のセジン重工業(Sejin Heavy Industries)は、南中部地方カインホア省にあるニントゥイ工業団地に新工場を設立する。  セジン重工業は2011年、カインホア省に現地工場のセジン...

12月19日、全国で234案件を一斉に着工・竣工 総額20兆円 (18日)

 12月19日、全国各地で計234件のプロジェクトに関する着工・竣工・開通の記念式典が開催される。2016年1月に開幕する第14回共産党全国大会を祝う行事の一環として行われ、投資総額は約3400兆VND(約20兆円)に上る...

「イオンモール・ダナン・タインケー」、26年夏オープン (18日)

 イオンモール株式会社(千葉県千葉市)は、南中部地方ダナン市で開発中の「イオンモール・ダナン・タインケー(AEON MALL Da Nang Thanh Khe)」について、2026年夏のオープンを目指して準備を進めている。  同...

ベトナム映画、アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート逃す (18日)

 アカデミー賞を主催する米映画芸術科学アカデミー(AMPAS)は米国現地時間16日、第98回アカデミー賞「国際長編映画賞」のノミネート候補作品のショートリストに選出した15作品を発表した。  ベトナム代表とし...

ベトナム航空、ホーチミン~コペンハーゲン線を就航 初の北欧線 (18日)

 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は15日、ホーチミン市とデンマークの首都コペンハーゲンを結ぶ直行便を就航した。ベトナムと北欧を結ぶ直行便はこれが初めて。

25年1~11月期の訪日ベトナム人63.5万人、24年通年超え (18日)

 日本政府観光局(JNTO)が発表した統計によると、2025年11月の訪日ベトナム人の数は前年同月比+3.2%増の5万1800人で、11月として過去最高を記録するとともに、8か月連続で単月の過去最高を更新した。  1~11...

ホーチミン:外国人の滞在状況を抜き打ち検査、新政令施行で (18日)

 家庭内暴力の防止や社会秩序の維持に関する行政罰を定めた政令第282号/2025/ND-CPが15日に施行されたことを機に、ホーチミン市タンディン街区(旧1区の一部)警察は15日夜から16日未明にかけて、賃貸住宅やホテル...

山洋電気、フンイエン省に子会社を設立へ 新工場を法人化 (18日)

 クーリングシステム製品やパワーシステム製品、サーボシステム製品を手掛ける山洋電気株式会社(東京都豊島区)は、北部紅河デルタ地方フンイエン省に同社100%出資の連結子会社を設立する。  子会社「山洋電...

25年11月の対日貿易収支、1349億円の黒字 +15.5%増 (18日)

 日本の財務省が発表した2025年11月の貿易統計(速報)によると、ベトナムの対日貿易収支は前年同月比+15.5%増の1348億5800万円の黒字だった。  日本からベトナムへの輸入額は前年同月比+14.0%増の2499億780...

ビンEVタクシー、フィリピンのダバオでサービス開始 (17日)

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下のビンファスト(VinFast)製電気自動車(EV)・電動バイクのレンタカー・タクシー会社で、配車サービス「サインSM(X

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved