ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

フエ市皇帝陵地区への観光開発で物議

2004/12/23 07:08 JST配信

 フエ市のVong Canh丘陵(※市内中心部から約7キロに位置する風光明媚な丘陵で眼下にフォン川全域が見渡せ、付近にはグエン朝歴代の御陵が点在している)にリゾート施設を建設する計画が物議を醸し出している。

 これはThua Thien Hue省(フエ省)の観光発展計画の一環で地元Huong Giangツーリスト社とオランダ系Vietnam Hotel Project B.V社が計画しているもので、フエ省は今年(2004年)11月8日に同計画に投資許可を発給しており、現在建設工事に着手する段階にある。

 この計画を知った地元フエ市民のみならず、ホーチミン、ハノイでも「神聖な土地にホテルが必要なのか?」、「環境を犠牲にしてまで観光開発するべきなのか?」といった様々な意見が出ている。

 このVong Canh丘陵の頂上はフエ市内で最も風光明媚な場所として知られており、ここからフエ市を流れるフォン川の眺めは有名で数々の風景画、写真などはこの場所から撮影されている。

 また、フエ市民からは多くの寺院、御陵がある神聖な土地として崇められており、フエ研究家のHo Tan Phan氏によるとVong Canh丘陵はTu Duc(グエン朝第4代皇帝)御陵と一体となっており決して切り離して考えることはできないものだといい、他のGia Long御陵、Minh Mang御陵も同様だという。同丘陵下の川を流れる小船もこの場所を通過する時には厳かに自分自身の心を静めるとさえ言われていることからどのような場所か想像できるであろう。

 さらに物議を醸しているのはここが歴史的遺産、グエン朝の聖地だからという理由だけではない。Vong Canh丘陵は軍事的にも重要な場所で、フォン側の流れを一望できるこの場所にはアメリカ軍の軍事施設が今もここに残っていることからみてもその軍事的な重要度が窺い知れるというものである。

 フエ省建設局のNguyen Viet Tien局長はこの計画に対し、「同計画は2003年末にHuong Giangツーリストと外国側企業との間で計画調査が開始され、調査結果の審議段階には景観、環境問題が指摘されていた。その後建設局は省人民委員会に計画の修正や同計画に関する意見参加を求められ、建設局ではホテル計画は景観問題や遺産の保存・環境保護計画に相反すると判断したが、どういうわけか省人民委員では同計画を承認してしまった」と話す。

 また、フエ省建築協会のNguyen The Truyen会長はこの計画に対し、「通常開発計画を行う場合、まず先に建設予定地を申請し、承認された後設計に入るが、同ホテル計画の場合は計画案を作成しそのまま設計も行った後、申請を行った」と述べ、通常とは異なる手続き方法を指摘している。

 さらに、フエ研究家のNguyen Dac Xuan氏は「Vong Canh丘陵には仏領時代に建設された取水施設もあるが、フランス人設計家は付近にある皇帝稜を模し、環境に合った施設を設計したにもかかわらず、今回のホテル建設は全く環境を考慮していない」と語気を強めた。

---Vong Canh丘陵ホテル建設計画の詳細---

 Vong Canh観光区は丘陵とその周辺を合わせた総面積7ヘクタール。主要施設は2棟の5階建て4つ星ホテル(合計100室)からなり、敷地は新たに丘陵を破壊しないよう1953年に地すべりにより広がった土地に建設される。

 施設にはレストラン、バー、フラワーパーク、土産物店などが予定されている。

 総投資額は第1工期で500万米ドルを予定しており、Huong Giangツーリストが30%、オランダ系Vietnam Hotel Project B.V.が70%を出資する。

[Tuoi Tre].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
大阪万博のベトナムパビリオン、南部解放記念日にオープン (15:45)

 2025年大阪・関西万博のベトナムパビリオンが、南部解放・南北統一50周年(1975年4月30日~2025年4月30日)記念日に当たる4月30日にオープンし、5000人余りが来館した。  屋外LEDスクリーンでは、ダン・レ・...

ベトナム政治局、民間経済の発展を促進する決議を採択 (15:18)

 ベトナム共産党トー・ラム書記長は4日、私的経済(民間セクター)の発展を促進する政治局の決議第68号-NQ/TWに署名した。  決議によると、1986年にドイモイ(刷新)政策が導入されてから40年近くを経て、ベトナ...

ビンズオン省:国内初となる国産技術の半導体工場が着工 (14:40)

 地場CTグループ(CT Group)傘下のCTセミコンダクター(CT Semiconductor)はこのほど、東南部地方ビンズオン省で国内初となる国産技術による半導体チップ組立・テスト・梱包(ATP)工場の第2期を着工した。  同...

世界のベトナム人街を訪ねて【ロンドン編】 (4日)

(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) ロンドン:歌謡曲でムードたっぷり、街角カフェでベトナムコーヒーを1杯  国外に住むベトナム人、いわゆる越僑は、2024年

FPT、独IT企業を買収 欧州エネルギー分野の事業強化で (14:18)

 ベトナムIT最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)は5日、ドイツのエネルギー分野に特化したITコンサルティング企業「デイビッド・ラム・コンサルティング(David Lamm Consulting

ハティン省:ラオス・ベトナム国際港の第3埠頭が完成 (13:04)

 ラオス・ベトナム国際港(Lao Viet International Port)はこのほど、北中部地方ハティン省キーアイン郡のブンアン経済区内でラオス・ベトナム国際港の第3埠頭の完成式典を開催した。  式典には、ベトナムの...

ビンファスト、都市型・スクールバス仕様の電動バスをお披露目 (13:04)

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電気自動車(EV)メーカーであるビンファスト(VinFast)は、電動ミニバス「ビンファストEB 6」を発表した。

ハイブリッドテクノロジーズ、地場を子会社化へ 合弁設立は中止 (12:46)

 日本とベトナムのリソースを活用したハイブリッドなシステム開発を行う株式会社ハイブリッドテクノロジーズ(東京都中央区)は4月30日、ITコンサルティングやIT開発及びシステム導入支援を手掛ける地場NGSコンサ...

トランプ関税協議、ベトナムは7日に初の交渉セッション開始 (6:38)

 ファム・ミン・チン首相は5日に開催された第15期(2021年~2026年任期)国会第9回会議の開幕式で、ベトナムが米国と相互関税問題に関する優先交渉対象6か国の1つとなっており、初の交渉セッションが7日に行われる...

ベトナム首脳ら、訪越のスリランカ大統領と会談 (6:10)

 ルオン・クオン国家主席はハノイ市の国家主席府で5日、ベトナムを公式訪問中のスリランカのアヌラ・クマーラ・ディサナヤケ(Anura Kumara Dissanayaka)大統領と会談した。  今回の公式訪問は、ベトナム南部...

5連休中の交通事故件数268件、128人死亡・203人負傷 (5:42)

 国家交通安全委員会によると、4月30日の南部解放記念日と5月1日のメーデーに伴う4月30日から5月4日までの5連休中に全国で発生した交通事故件数は前年比▲22.7%減(▲79件)の268件、死亡者数は同▲7.2%減(▲10人)の...

5連休の観光客数1050万人、ホーチミンが観光収入と訪問者数で首位 (5:00)

 ベトナム国家観光局のデータ(速報)によると、4月30日の南部解放記念日と5月1日のメーデーに伴う4月30日から5月4日までの5連休中における全国の観光客数は、前年同期比+31.2%増の約1050万人となった。  連...

住友商事、子会社バンフォン・パワーの出資持分50%譲渡へ (4:23)

 住友商事株式会社(東京都千代田区)は、同社100%子会社のバンフォン・パワー(Van Phong Power)の出資持分50%を第三者企業に譲渡することを決定した。譲渡の実行日は2026年度以降を予定している。  住友商...

西鉄、ロンアン省で約6000戸の分譲マンション開発に着手へ (3:43)

 西日本鉄道株式会社(福岡県福岡市)は、地場不動産大手のナムロン投資[NLG](Nam Long Investment)及び株式会社海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN、東京都千代田区)と共同で進めて

4月製造業景況感PMI、再び50割れ (2:00)

 米国のS&Pグローバル(S&P Global)が先般発表した2025年4月のベトナム・PMI(製造業購買担当者指数)は45.6となり、前月の50.5から▲4.9ポイント低下した。これは、2023年5月以来最も深刻な業況悪化を示している。 ...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved