ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

スウェーデン政府核諮問員を務めるベトナム人教授

2006/11/19 07:12 JST配信

 ストックホルムに住む友人を通じてディン・チュック・ナム教授にインタビューする機会を得た。彼の原子力に関する多くの精力的な活動や安全理解の深さは世界の科学界から高い評価を得ている。にもかかわらず、ベトナム報道界からの注目度は高いとはいえない。

 スウェーデン国家技術院の物理棟は静かな森に囲まれて建っていた。学生に頼んで研究室まで連れて行ってもらい、ガラス越しに中をのぞくと彼はパソコンに向かっているところだった。ドアをノックすると、目の前に現れたベトナムの知識人はめがねの奥に輝く目を持つ青年だった。服装も堅苦しいスーツではなくカジュアルで、部屋の中も極々シンプルだ。

 彼は自分の功績についてはあまり語ろうとしないが、核安全対策の話となった途端に饒舌になる。現在彼はこの分野の最高諮問委員を務めていて、スウェーデンの核安全技術について、毎週国家上層部との会議を重ねているという。政府代表団の海外視察や情報交換プログラムにも参加していて、去年末には中国を訪れ、北京の大学で200人の研究生に講義を行った。また彼は、国際原子力機関(IAEA)の代表団にも参加している。

 彼はパソコンの画面を使いながら、温度や圧力の上昇による反応炉の事故によって引き起こされる状況について説明してくれた。そこにたまたま置いてあった原発の責任者からの手紙に興味を示すと、事故によってその原発が1ヶ月間の閉鎖を余儀なくされ、電力が不足し1億クローネもの損害が出ていると教えてくれた。彼は国営テレビ局から依頼を受け、事故の環境に対する影響について特集番組での解説も担当した。

 現在彼はスウェーデン政府や他のヨーロッパ核テクノロジー研究機関から年間約200万ドルの研究費を得ている。この額は彼への評価や期待に付随するものだ。今の彼の仕事の7割は研究で、残りの3割は研究生たちへの講義や指導だという。彼によるとアジアの学生は聡明だが創造力と問題追求の意志に欠け、一方で欧米の学生は基本の学習から発展的に膨らませる力があるため、学問において成功しやすいとのことだ。

 1964年ハノイ生まれ。父親はハノイ総合大学で教鞭をとった後、ベトナム労働院の院長をしていたという。彼はキムリエン高校からハノイ総合大学へと進み、成績が優秀だったため大学から奨学金を得てモスクワ核技術院に留学。卒業後もそこにとどまり研究を続けた後、旧ソ連核エネルギー省の安全研究室長に任命される。外国人で初の就任だった。

 1991年から1993年まではスウェーデン国家技術院の核安全科のマスターコース実習生となり、2001年から2005年まではカリフォルニア大学の安全研究センター次長を務める。そして2005年、現職の欠員募集に応募し、厳しい試験をくぐりぬけ就任に至った。

[2006年10月5日 Tuoi Tre電子版].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
韓国NCソフト、地場ゲームメーカーを買収 海外市場開拓へ (13:36)

 韓国のオンラインゲーム運営大手NCソフト(NCSOFT)はこのほど、ベトナムに所在するシンガポール系モバイルゲームメーカーのリフフゲームズ(LIHUHU GAMES)を買収した。  NCソフトは19日、リフフゲームズ株を1...

ベトナムの「人口ボーナス期」は2036年に終了、統計局予測 (6:38)

 財政省傘下統計局(NSO)は23日、中間国勢調査の結果に基づいて作成した詳細な研究結果を発表した。報告書「ベトナム人口予測2024~2074年」では、15~64歳の生産年齢人口がそれ以外の人口(従属人口)より多い「人...

間もなく迎える26年の新暦正月、内務省が4連休を提案 (6:09)

 内務省は、間もなく迎える2026年の新暦正月について、2026年1月1日(木)から4日(日)までの4連休とすることを提案した。  4連休とする場合、1月2日(木)が振替休日、1月10日(土)が振替出勤日となる。  当...

ホーチミンの路上のライター修理店、愛好家の駆け込み寺 (21日)

 ある日の午後、60代と思われる男性が、壊れたデュポン(Dupont)製のライターを手に、ホーチミン市チョロン街区グエンチーフオン通りを訪れた。男性は、ファム・バン・コーさん(男性・72歳)の店である、古びて傾...

世界長者番付、ビンG会長が71位に浮上 アリババ創業者超える (5:59)

 米経済誌フォーブス(Forbes)のリアルタイム世界長者番付によると、地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)の創業者 兼 会長であるファム・ニャット・ブオン氏

ニンビン省:ニンコー経済区計画を策定へ、新たな成長エンジンに (5:45)

 チャン・ホン・ハー副首相は22日、北部紅河デルタ地方ニンビン省(旧ナムディン省)ニンコー経済区の2050年までのマスタープラン策定任務を承認する首相決定第2771号/QD-TTgに代行署名した。  決定によると、...

海上幕僚長が訪越、クオン人民軍参謀総長らと懇談 (4:59)

 齋藤聡海上幕僚長は、10日から13日にかけてベトナムのハノイ市と北部紅河デルタ地方ハイフォン市を訪問し、グエン・タン・クオン国防次官 兼 人民軍参謀総長およびチャン・タイン・ギエム人民海軍司令官と懇談...

イーレックス、ビナコミンと石炭火力2基目でバイオマス混焼試験 (3:51)

 再生可能エネルギー事業を手掛けるイーレックス株式会社(東京都中央区)は、国営ベトナム石炭鉱産グループ(ビナコミン=TKV)傘下のビナコミン電力[DTK](Vinacomin - Power Holding C

ハノイ:大晦日に市内6か所で打ち上げ花火 (2:52)

 ハノイ市は、2026年の新暦正月の1月1日(木)および旧暦元日に当たる2月17日(火)を祝う打ち上げ花火の実施を計画している。  まずは新暦正月の打ち上げ花火として、2025年12月31日(水)の午後11時45分から15分...

ベトナムの25年EC市場規模、成長率で世界トップ10入り (24日)

 商工省によると、2025年の電子商取引(eコマース=EC)市場規模は前年比+25%増の約310億USD(約4兆9000億円)となる見通しだ。小売売上高に占める比率は約11%で、デジタル経済全体の約3分の2を占めるなど、ベトナ...

ベトナム企業、ピエール・カルダンのカナダ事業を買収 (24日)

 イーモール・ベトナム(Emall Vietnam)はこのほど、フランス発祥のファッションブランド「ピエール・カルダン」のシューズ部門「ピエール・カルダン・シューズ(Pierre Cardin Shoes)」のカナダ事業を買収した。 ...

ブラジル、ベトナムと特恵貿易協定(PTA)交渉開始 (24日)

 ブラジル政府は20日、同国のフォス・ド・イグアスで開催されたメルコスール(南米南部共同市場)首脳会合で、ベトナムとの間で特恵貿易協定(PTA)交渉を開始したと発表した。議長国を務めるブラジルのマウロ・ヴィ...

ホーチミン:顔面の巨大腫瘍切除手術に成功、チョーライ病院 (24日)

 ホーチミン市チョーライ病院は18日、男性患者の顔面にできた重さ950gの腫瘍の切除手術に成功したと発表した。腫瘍は顔面と耳の外見に深刻な影響を与え、圧迫による難聴も引き起こしていた。術後の患者の健康状...

ハノイ:無人航空機で医薬品輸送、試験飛行を実施 国内初 (24日)

 ハノイ市のドゥックザン総合病院は20日、直線距離で約8km離れたザーラム総合病院まで無人航空機(UAV)を使って医薬品を輸送する試験飛行を実施した。  ドゥックザン病院は、ハノイ市人民委員会から医療目的...

ホーチミン:メトロ2号線、約200m延伸 メトロ1号線と接続 (24日)

 ホーチミン市人民委員会は、同市都市鉄道(メトロ)2号線(ベンタイン~タムルオン間)について、路線計画および関連施設の位置の調整方針を承認した。調整後のメトロ2号線は、ベンタイン駅側に約200m延伸し、メト...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved