ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
RSS
Login
 ようこそ ゲスト様 
VietJo ID

ビントゥアン省:結婚式のない土地 フークイ島

2007/02/04 07:15 JST配信

 東南部地方ビントゥアン省のフークイ島には、古くから結婚式をしないという慣習がある。私たちは2006年の末に島を訪れ、グエン・ティエン・タムとチャン・ティ・ミーの若い夫婦にインタビューした。仲の良い2人に結婚式はいつしたのかと尋ねたところ、夫のタムが突然笑い出し、「島では結婚式はしないんだ。この島でそんなことを聞いたら笑われるよ」という。私たちが驚いていると彼はこう言った。「これは島の慣習なんだ。信じられないようなら年長者に会わせてあげよう」

 タムは年配の夫婦のところに連れて行ってくれた。フーアン村に住む56歳の男性グエン・ヴァン・ヴァンさん夫妻だ。この島では普通、男は海の仕事、女は浜の仕事をする。2人の結婚の意志が固まったら両親に報告する。男性側の両親は仲人を立てて女性側の両親に結婚の申し入れを行う(これは「結納」に相当する)。女性の両親が承諾し結納が成立すると、その日から2人は正式な夫婦と認められる。その晩は男性が女性の家に泊まり(島では成人した女性は一人部屋を与えられる)、いわゆる「初夜」を迎えることになる。その後は、それぞれ昼間は自分の両親の仕事を手伝い、夜になると夫が妻の家に泊まりに行く。お互いの家で何か用事(宴会や家の建築など)があるときには、妻の家は夫を、夫の家は妻を「借りる」ことができる。そして夫側の両親が妻を家に迎え入れたいと感じた時、妻の家にそのことを告げに行き、良い日を選んで妻を家に連れて帰り、その後はずっと一緒に暮らすという。

 こうした慣習の由来を尋ねると、ヴァンさんはさらにこう教えてくれた。「恐らく人々がこの島に住み始めたころは生活が苦しかったため、結婚式を挙げなくても愛し合うもの同士が一緒に住んで子どもを作っていいことにしたのだろう。やがてそれが慣習になった。しかし式をしないことは、今の時流にも合っている。そんなに裕福でもないのに式にお金をつぎ込むより、式は行わなくても祝福を受けられる島の若者の方がよほど幸せだろう」

 このようなわけで、島で結婚式を挙げればかなり奇妙な目で見られることになる。今では島外との交流も以前よりたやすくなっているので、外の人と結婚するカップルがまれに結婚式をすることがある。しかし、島の人は招かれても式に参加しない。「そんなのは本土の連中をまねしただけで、お金ばかりかかって何の意味もない」からだ。会社の上役などが時々式を催すこともあるが、参加するのは同僚や親しい友人だけで、地域の人は誰も参加しない。島では毎日新しい夫婦が誕生しているというのに、婚礼用品や衣装のレンタルは年に一度あるかないかだという。

 インタビューした若い夫妻も、最新の携帯電話を持ち毎日ネットサーフィンを楽しむような現代的な生活をしながらも、結婚式はしなかったという。夫はこう語る。「最近の若い人たちの中には結婚式をしたがる人もいる。でも小さいころから島で生活してきて慣れてしまっているので、式を行わないことがぼくらにとっては自然なんだ。外の人に島の生活が時代遅れだとか女性を軽んじているとかいった誤解を与えないために言っておくけど、そういう決まりなんだ」

 式をしないということは、結婚したことを周りの人が知らないこともあるのではないか。そのために夫がもし浮気したら? そう妻の方にたずねると、明快な答えが返ってきた。「島はある程度の大きさがあるとはいっても、ここの人にとっては島中が近い存在なの。島の人口は2万4500人、他の村の人でもみんな良く知っているわ。つまり式をしなくても夫婦になったことを島中の人が知っている。だから例えば不幸にして離婚したとしても、みんながそのことを知っているからその人は再婚することが難しいの。浮気についても同じよ」

 地元人民委員会の副主席グエン・ティ・トゥイエット・ハン女史はこう語る。「今の時勢、若い人たちには式をしないことが時代遅れと映るようです。委員会としてもできるだけ式を挙げるよう勧めています。大勢を呼んで盛大にしなくても、両家の家族で2人の結婚を祝うものでいいと。でも島の人は親族というと100人以上にものぼることが多く、そうなると先ほどのような勧めも実際は難しいということになってしまう。結局、慣習に従った方がお金もかからないし楽だということです。要は若い夫婦が入籍の手続きをして、幸せに暮らしていればいいのです」

[2007年1月15日 Thanh Nien紙 電子版].  © Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
アニメ映画「この本を盗む者は」、ベトナムで3月6日公開 (2/28)

 深緑野分の人気小説が原作で、日本では2025年12月26日に公開されたアニメ映画「この本を盗む者は(越題:Loi Nguyen Thu Vien Mikura)」が、3月6日にベトナム全国の映画館で公開される。ベトナムでのレイティン...

ダナンのゴールデンブリッジ、世界の美しい橋ランキングで4位 (2/28)

 英国タイムアウト誌(Time Out)はこのほど、「世界で最も美しい橋トップ19」を発表し、南中部地方ダナン市にある「ゴールデンブリッジ」を第4位に選出した。巨大な手が支えるゴールデンブリッジは、強烈なインパ...

光海底ケーブルでトラブル発生、海外への通信容量が約10%減少 (2/27)

 科学技術省傘下の通信局によると、ベトナムと海外を結ぶ光海底ケーブル「アジア・アフリカ・ユーロ1(AAE-1)」でトラブルが発生しており、海外への通信容量が約10%減少した。ただし、陸上の迂回ルートで通信量...

【特集】2025年ベトジョー記事アクセス数ランキング (2/22)

 VIETJOベトナムニュースが2025年に配信した「特集」カテゴリの記事のアクセス数ランキングをご紹介します。 1位:200年の歴史を有する毒ヘビ養殖村、高収入も危険と隣り合わせ

失業保険に関する新政令、障害者雇用の保険料免除など (2/27)

 雇用法における失業保険の詳細を規定する政令第374号/2025/ND-CP(2026年1月1日施行)には、障害者を雇用する雇用主に対する保険料の減免や、国家予算からの失業保険基金への支援メカニズムなど、多くの新しい規...

文化分野に国家予算の2%配分、ゲーム人材5000人育成へ (2/27)

 グエン・ホア・ビン副首相は25日に開催された全国会議で、決議第79号-NQ/TWおよび決議第80号-NQ/TWの実施方針を示し、政府が計230項目の行動計画を策定したと明らかにした。重点施策として、歴史教育ゲームを開...

ベトナム南中部と南部で季節外れの大雨、落雷や強風に注意 (2/27)

 国立水文気象予報センターによると、2月27日の昼から夜にかけて、ベトナム南中部の沿岸部と山間部および南部の広い範囲で、にわか雨や大雨を伴う雷雨が降ると予想されている。ベトナムは乾季の真っただ中だが、...

サン・フーコック航空、ハノイ/ホーチミン~ダナン線を就航 (2/27)

 観光不動産開発を手掛けるサングループ(Sun Group)傘下のサン・フーコック・エアウェイズ(Sun PhuQuoc Airways=SPA)は25日、ハノイ市およびホーチミン市と南中部地方ダナン市を結ぶ新路線をそれぞれ就航した。...

成人の約87%が銀行口座を保有、非現金決済は年+59%増 (2/27)

 ベトナム国家銀行(中央銀行)によると、18歳以上の成人の約87%が銀行口座を保有しており、2020~2025年の国家金融包摂戦略の最低目標である80%を3~8%pt上回った。また、成人の約71%が信用履歴情報を有して...

「富の神様の日」で宝飾店に徹夜の列、金の自動販売機も登場 (2/27)

 テト(旧正月)明けの旧暦1月10日(2026年は新暦2月26日)は「富の神様の日」にあたり、ハノイ市の宝飾店には、1年の幸運や商売繁盛を願って金を買い求める人々が徹夜で列を作った。また、ホーチミン市では、供え物...

ホーチミン:メトロ7号線、政治・行政センター直結にルート変更 (2/27)

 ホーチミン市人民委員会はこのほど、2040年までの旧トゥードゥック市開発計画の一部を調整し、トゥーティエム新都市区における都市鉄道(メトロ)7号線のルートを見直した。  最大のポイントは、市が整備を進...

海外組織の駐在員事務所設立で新政令、審査期間短縮など (2/27)

 政府はこのほど、海外の協力・研究組織によるベトナムでの駐在員事務所の設立および活動に関する政令第6号/2005/ND-CPを一部改正・補足する政令第62号/2026/ND-CPを公布した。同政令は2026年3月1日に施行される...

公安省傘下企業にも花火の製造許可、従来は国防省傘下企業のみ (2/27)

 政府はこのほど、花火の管理と使用に関する規定を含む複数の政令の一部条項を改正・補足する政令第58号/2026/ND-CPを公布した。同政令は3月15日に施行される。  これにより、これまで国防省傘下の企業にし...

日本政府、ラオカイ省の小・中学校校舎建設計画に13.3万USD供与 (2/27)

 ハノイ市の駐ベトナム日本国大使公邸で25日、日本政府による令和7年度(2025年度)草の根・人間の安全保障無償資金協力1案件の贈与契約署名式が開催された。  同案件の概要は以下の通り。 ラオカイ省バー...

ニイヌマ、フルーツトマトのスマートハウス竣工 スマート農業経営支援 (2/27)

 ニイヌマ株式会社(宮城県石巻市)とベトナム現地法人のニイヌマ・トモファーム(NIINUMA TOMOFARM、南中部地方クアンガイ省(旧コントゥム省))、西北部地方ディエンビエン省人民委員会は6日、令和6年度補正「グロ...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2026 All Rights Reserved