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オランダのアムステルダム大学で東西の文化干渉問題について教えている女性教員グエン・フオン・マイは現在34歳、ばりばりの独身だ。彼女は8カ月の休みを取って、アフリカと中米を単独で旅行し帰ってきたばかり。そのドキュメント映像は欧州のテレビで放映されたという。独身生活を謳歌するフオン・マイのインタビューをお届けする。
――今回の旅行について少しお聞かせください。
23カ国を旅してきたので少しという訳にはいかない。体験したことを本にまとめるつもりだ。今度の旅は特に目的もなく「行きたくなったから行った」というものだったけれど、大いに収穫はあった。特に、以前だったら悩んでいたようなことに対して、手を振りながら「Whatever!(どうでもいいわ)」と言えるようになったことは自慢できる。
――準備にどのぐらい時間がかかりましたか。資金や帰ってきてからの仕事の心配はありませんでしたか。
準備には3週間かかった。仕事のほうは、帰ってきたら今の仕事を続けることが決まっていたので安心だった。旅から帰ってゆっくりする間もなく、32時間後には仕事に戻っていた。お金はずいぶん使った。オランダに戻ったとき銀行口座には20ユーロ(約2240円)しか残っていなかった。
――ベトナムで暮らしていたとき、考え方の違いで周囲の人と衝突したことはありますか。
衝突しない人なんていないでしょう。それぞれが自分の解決方法を持っているけれど。賢い女性は人とぶつからないようにうまく立ち回る。私のように頭の固い女性は言い返してしまう。その結果、付き合っていた男性から「恋人ならいいが、妻にはどうも」と言われてしまった。
――「独身は素晴らしい」とは、東洋より西洋、特に先進国の女性について言えるのではありませんか。また、女性が独身で生きることは何を体現しているのでしょう。男女平等、それとも女性の見識の向上ですか。
最初の質問はご指摘のとおり。輝く独身でいるためには、経済力とそれにふさわしい独身文化を持つ社会に住む必要がある。2つ目の問いには、女性の見識の向上が男女平等をもたらしたと答えよう。ただ、男女平等は社会や文化によってさまざまな考え方がある。
男性優位文化(東アジア、南欧、南アメリカ)では女性が男性の領域に進出する一方、男性は足踏みする。例えば女性は社長やパイロットや警察官にもなれるが、男性が家事や看護士の仕事をするにはまだ抵抗が大きい。こうした文化では、女性側のみ男女平等の恩恵を受けることになる。
一方北欧、西欧、北米では、男女が双方の領域に進出し合う。私が暮らすオランダもそうだ。男性上司の多くが家事をこなすために、週3~4日の仕事をすることを選んでいる。
――あなたの個人的な結婚観は。
私の考えは一貫しているが、実際の生き方は住む場所によって異なることを強調しておきたい。「家族を作る」と「結婚する」は目的が違うと思う。ある人は、結婚して子供を持って家族を作ることが幸福だと考える。ある人は結婚こそが重要で、子供ができるかどうかは愛情の結果だと考える。私は後者の考えに属する。
――独身を満喫した女性がいつの日か後悔するときが来ると思いますか。
賢い女性と自分勝手な女性は異なる。賢い女性であれば、将来起きることを十分に想像したうえで独身の道を選んだはずなので、後悔することはないでしょう。そうは言っても、東洋の社会では独身の道を選ぶことは大変だと思う。ベトナムでこの道を選ぼうとする女性を心から尊敬する。
――最後に、同世代の独身女性と母親世代の女性に一言どうぞ。
同じ船に乗っている女性たちには「自らの心に忠実に、全力で生きること」。母親世代には「私は楽しくやってるってば!」