ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

障害者の作る竹のトンボ、日本の空に舞う

2010/11/21 08:45 JST配信
(C) Lao dong, Doan Tat Thao
(C) Lao dong, Doan Tat Thao 写真の拡大

 紅河デルタ地方タイビン省クインフ郡アンビン村在住の男性ブイ・バン・ハオは1960年生まれ。生まれたときはほかの子供と変わらなかったが、10歳の時から体に痛みを覚えるようになった。13歳になると痛みは日増しに激しくなり、自分の足で立つことができなくなった。病院の医師はハオを多発性関節炎と診断した。注射を打つと、ハオは自分で歩けるようになった。「子供だったけれど、自分はいつ死ぬか分からないと思った。この病気は発病してから長くても7年ぐらいしか生きられないと言われていた」。彼は当時を振り返ってこう語った。

 18歳になったとき、彼は死を免れたものの両足がまったく使えなくなった。ひどく落ち込んだという。「友人らは学校に通うことができるのに、成績なら引けをとらない自分はベッドに寝ていなければならない。悲しみのあまり自殺も考えた」。しかし時の経過は悲しみを徐々に和らげ、彼はベッドで本を読むのを楽しみにするようになった。その後の約30年間、彼は本を読んでは、竹でつまようじを作る生活を続けてきた。

 ハオはある日車いすで近所を散策していたとき、竹で作ったトンボのおもちゃを紹介しているテレビ番組を見た。自分でも作れるのではないかと思い興味を持ったが、作り方を教えてもらうにも連絡先さえ分からなかった。しかし昨年6月、身体障害者向けにトンボのおもちゃを作る教室が町で開かれると教えてもらった。ハオは急いで連絡し、教室の開講に間に合った。

 教室は2か月間開かれるが、始めの数日を過ぎた時点で参加者から、「あなたの体では無理じゃないか」と言われてしまった。ハオは「自分は役立たずなのか。身体障害を持つ同じ境遇なのだから励まし合うべきじゃないのか」と感じたという。教室主催者の非政府団体(NGO)の取り成しで、ハオは勉強を続けることができたが、家から教室に通うのが大変で7日間参加するのがやっとだった。しかし彼が作ったトンボのおもちゃはNGOの定めた基準に達するものだった。

 トンボのおもちゃは日本のNGOが買い取って販売している。ハオは毎月30万~40万ドン(約1200~1600円)を工賃として受け取っている。自分の作ったトンボが日本のあちこちで舞っているのを想像するのは楽しいし、自分が役に立っていると感じることができてうれしいと語った。ハオは取材の間中、自分の今があるのは、結婚をあきらめて自分の世話を見続けてくれている1歳上の姉のおかげだと何度も繰り返した。

[Lao dong online, 16.11.2010 | 08:37 (GMT + 7), O].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
ビンG、米タイム誌「25年世界ベスト企業」にランクイン 国内初 (6:50)

 米国のニュース雑誌「タイム(TIME)」が発表した「2025年の世界ベスト企業(World’s Best Companies of 2025)」で、地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)が

海外で働くベトナム人労働者に支援金、首相決定 (5:42)

 ホー・ドゥック・フォク副首相はこのほど、海外就労支援基金に関する首相決定第34号/2025/QD-TTgに代行署名した。  決定は、契約に基づいて海外で働くベトナム人労働者に対する特別なケースにおける支援の...

ビンF、アラブ自動車協会と提携 中東6か国でロードサービス (5:32)

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下のビンファスト(VinFast)は18日、アラブ自動車協会(AAA)との業務提携を発表した。これにより、中東市場における

「我が家」を夢見る18歳の少女 (21日)

 南部メコンデルタ地方ドンタップ省に住むファン・ゴ・ジエム・フオンさん(女性・18歳)には「我が家」がない。フオンさん一家は「自宅」を持ったことがなく、フオンさんはこの18年間、母方の祖父母や叔母の家な...

駐在員が住みやすい海外居住地、ベトナムが世界5位 日本は33位 (5:07)

 ドイツの調査会社インターネーションズ(InterNations)が発表した、駐在員が住みやすい・働きやすい海外居住地のランキング「エクスパット・インサイダー(Expat Insider)」2025年版によると

ライチャウ省:ガン筆頭副書記が党委書記に昇格 (4:26)

 西北部地方ライチャウ省共産党委員会は19日に開いた会議で、レ・ミン・ガン党委筆頭副書記が党委書記に選出されたと明らかにした。任期は2025~2030年となっている。  ガン氏は1969年生まれの56歳。出身地...

山洋電気、フンイエン省に新工場を設立へ (3:59)

 クーリングシステム製品やパワーシステム製品、サーボシステム製品を手掛ける山洋電気株式会社(東京都豊島区)は、同社製品の競争力をさらに高めるべく、北部紅河デルタ地方フンイエン省の第2タンロン工業団地内...

公務員・労働者向けにハイズオン~ハイフォン間の通勤列車運行 (3:30)

 ベトナム鉄道総公社(Vietnam Railways=VNR)によると、北部紅河デルタ地方ハイフォン市で働く幹部、公務員、労働者ら約300人は9月22日から毎日の通勤に列車を利用する。VNRが試験的に通勤用の車両を運行すると...

ハノイ:ベトナム国際イノベーション展示会、10月1日から開催 (2:13)

 ハノイ市で10月1日(水)から3日(金)まで、同市ホアラックハイテクパーク(HHTP)の国家イノベーションセンター・ホアラック拠点(NICホアラック)で、「ベトナム国際イノベーション展示会2025(VIIE 2025)」が開催さ...

展覧会「ベトナム、記憶の風景」、福岡アジア美術館で開催中 (20日)

 ベトナム戦争終結50周年を記念する特別展「ベトナム、記憶の風景」が、9月13日(土)から11月9日(日)まで福岡アジア美術館(福岡県福岡市博多区下川端町3-1リバレインセンタービル7・8階)企画ギャラリーで開催され...

第1回ハノイ世界文化デー、10月4日から開催 (20日)

 文化スポーツ観光省は外務省およびハノイ市人民委員会と協力して、10月4日(土)と5日(日)の両日に、タンロン城王宮跡(タンロン遺跡)で「第1回ハノイ世界文化デー」を開催する。  同イベントを通して創造性を...

企業データベース構築計画を正式承認 (19日)

 グエン・チー・ズン副首相は17日、企業データベース構築計画を承認する首相決定第2074号/QD-TTgに代行署名した。  計画では、◇登録情報、◇税務、◇輸出入、◇社会保険、◇信用、◇労働・雇用の6つの主要データ...

ベトジェットエア、121機目の機材を受領 (19日)

 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)はこのほど、同社にとってタイ・ベトジェットエア(Thai Vietjet Air)とベトジェット・カザフスタン(Vietjet Qazaqstan)

ハノイ:セラフィン廃棄物発電所が稼働開始、1日2250t処理 (19日)

 地場系コングロマリット(複合企業)であるアマッカオグループ(Amaccao Group)は18日、ハノイ市トゥンティエン村(xa Tung Thien、旧ソンタイ町)でセラフィン(Seraphin)廃棄物発電所の稼働を開始した。  同発...

ホーチミン:遠方通勤の労働者に社会住宅支援へ (19日)

 ホーチミン市人民委員会は、所有する自宅が職場から遠く離れている労働者に対し、社会住宅の購入を支援することを認める内容の決定第17号/2025/QD-UBNDを公布した。決定は2025年10月1日から2030年5月31日まで有...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved