ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

ビンズオン省の木靴職人、工業化の影で消え行く伝統工芸を守って

2014/10/19 06:00 JST配信
(C) baohaiquan
(C) baohaiquan 写真の拡大

 ベトナムの日常生活の中で、独特な文化を象徴するものを3つ選ぶとしたら、おそらく誰もが思い浮かべるのが、「ノンラー(笠帽子)」、「アオザイ」、「木靴(木製サンダル)」だろう。ノンラーとアオザイは現在でもよく見かけるが、木靴が登場する場面はあまりない。東南部ビンズオン省にある「ソムグオック(木靴)通り」という名の付いた、木靴工房が軒を連ねる通りからも、いつしか木靴を作る音が聞こえなくなってしまうのだろうか。

 ビンズオン省は近年、急速に発展している。工業化は同省の姿を日々変化させており、昔の面影は失われつつある。同省は、交通の便の良さで他の地方を圧倒している。中でもトゥーザウモット市を貫くレホンフォン通りは国費で建設されたもので、全長5kmにも及ぶ。この通りの一方の端はビンズオン新都市に、そしてもう一方は昔からある静かな集落に通じており、1本の道の両端には全く違う世界が広がっている。この古い集落に、「ソムグオック通り」と名付けられた小さな通りがある。

 現在のトゥーザウモット市フートー地区(旧フーバン村)にあるソムグオック通りの起源をたどると、旧ソンベー省からビンズオン省が分離した1997年当時のトゥーザウモット村の台帳に、その名が記されている。行政資料に名が現れてからは15年足らずだが、この地で木靴が作られるようになったのは100年以上も前のこと。1901年に書かれた考古資料によると、当時この地で木靴作りを営んでいた家は80世帯を超えていたようだ。その後1世紀が過ぎ、親から子、子から孫へと木靴作りは受け継がれていった。

 職人は、灼熱の日差しの下、汗びっしょりになって木靴を作る。ある木靴工房で働く若い職人のフンさんは、木靴作りという職業を気に入って、メコンデルタ地方ドンタップ省のタインビン郡から10年前に移住してきた。この地で妻を得て、木靴作りと共に暮らしてきた。フンさんは、木材から様々な形の靴を作っては、ホーチミン市へ売りに行く。フンさんのような若い職人で、シンプルな靴1足につき1000VND(約5円)ほどの収入だという。よく売れた月の月収は約300万VND(約1万5000)になるが、売れなかった月は100万VND(約5000円)ほどにしかならない。

前へ   1   2   次へ
[Le Thieu Nhon, Bao Hai Quan, 11/09/2014 08:04 GMT+7, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
「アジアのベストレストラン」、ベトナムから1店舗が97位に選出 (3日)

 イタリアのサンペレグリノ(Sanpellegrino)とアクアパンナ(Acqua Panna)が冠スポンサーを務める「アジアのベスト50レストラン(Asia’s 50 Best Restaurants)」の2025年版と併せて発表された51~100位のレストラン...

訪日ベトナム人の犯罪検挙状況、検挙件数・人員ともに国籍別最多 (3日)

 日本の警察庁組織犯罪対策部はこのほど、令和6年(2024年)における組織犯罪の情勢(確定値版)を発表した。訪日外国人犯罪情勢に関するデータによると、2024年の国籍等別の総検挙件数・人員ともにベトナムと中国の...

クアンチ省:故レ・ズアン書記長の記念館が完成 (2日)

 北中部地方クアンチ省チエウフォン郡チエウタイン村で4月28日、南部解放・南北統一50周年(1975年4月30日~2025年4月30日)を記念して、故レ・ズアン書記長記念館の竣工式が開催された。  同省の重要革命史跡...

1975年4月30日、統一会堂でベトコンの旗を振った兵士の記憶 (4/27)

 1975年4月30日、特殊部隊の兵士だったファム・ズイ・ドー上尉(男性・75歳)は、南ベトナム大統領官邸(現在のホーチミン市の「統一会堂」)の2階に駆け上がり、南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)の旗を何度も振っ...

ホーチミン:空港新ターミナル行き電気バス路線を運行開始 (2日)

 ホーチミン市交通公共事業局傘下の公共交通管理センターは4月28日、ホーチミン市1区サイゴンバスターミナル(ben xe buyt Sai Gon)とタンソンニャット国際空港を結ぶ「109番」の路線バスについて、このほど開業...

ベトジェットエア、5月5日限定で運賃55%割引キャンペーン (2日)

 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は、5月5日(月)の午前0時から23時までの1日限定で、ベトナム国内線と国際線のエコクラス運賃が55%割引(税など含まず)

4月のベトジョー記事10選:トランプ関税、石破首相訪越など (1日)

 4月は、ドナルド・トランプ米大統領が、世界各国からの輸入品に対し「相互関税」を課すと発表しました。180以上の国・地域に一律10%の関税を課した上で、国・地域ごとに異なる税率を上乗せし、ベトナムに対し...

4月のベトジョー記事アクセス数ランキング (1日)

 VIETJOベトナムニュースが4月に配信した記事のアクセス数ランキングをご紹介します。 1位:200年の歴史を有する毒ヘビ養殖村、高収入も危険と隣り合わせ

4月30日の南部解放記念日と5月1日のメーデーに読みたい記事8選 (4/30)

 今から50年前の1975年4月30日、サイゴンの南ベトナム大統領官邸(現在のホーチミン市の「統一会堂」)の正門に2台の戦車が突入し、サイゴンが陥落しました。これにより、長く続いたベトナム戦争が終結しました。 ...

ベトナム軍事歴史博物館、南部解放記念日に伴う5連休は入館無料 (4/30)

 ハノイ市ナムトゥーリエム区にあるベトナム軍事歴史博物館は、4月30日(南部解放記念日)と5月1日(メーデー)に伴う4月30日(水)から5月4日(日)までの5連休中の入館料を無料とすることを決めた。  今回の決定は...

世銀、ベトナムの25年GDP成長率予想を+5.8%に下方修正 (4/29)

 世界銀行(WB)は先般発表した最新レポートの中で、ベトナムの2025年における国内総生産(GDP)成長率予想を前回レポートの+6.8%から+5.8%へと▲1.0%pt下方修正した。理由として、世界的な貿易政策の不確実性や経...

ハイテク・GX・半導体分野の高付加価値化で日越協力フォーラム開催 (4/29)

 石破茂内閣総理大臣は28日午後、ファム・ミン・チン首相とともに、日越企業が会するハイテク・グリーントランスフォーメーション(GX)・半導体分野における高付加価値産業創出に向けた日越協力フォーラムに参加...

ラムドン省:国会民族評議会議長が党委書記に転任 (4/29)

 ベトナム共産党政治局は、国会民族評議会議長のイー・タイン・ハー・ニエ・クダム氏を、南中部高原地方ラムドン省共産党委員会書記(2020~2025年任期)に任命した。  同省で28日に開催された任命式には、政...

ホーチミン:ビンタン区にブックストリートが新たにオープン (4/29)

 「第4回ベトナム書籍・読書文化の日」開幕に合わせて25日、ホーチミン市ビンタン区にブックストリートが新たにオープンした。  ビンタン区ビンチドンB街区の高技術医療区内に設置され、広さ約2000m2に12の...

石破首相、クオン国家主席とマン国会議長と会談 (4/29)

 ベトナムを訪問している石破茂内閣総理大臣とルオン・クオン国家主席は現地時間28日午前11時20分から約45分間にわたり、国家主席府で会談を行った。その後、現地時間同日午後2時20分から約40分間にわたり、国会...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved