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視覚障がい者の音楽バンド「ナンモイ(新しい光)」、それぞれの夢

2020/09/13 05:50 JST配信
(C) vnexpress
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 スアンさんは社交的でよく笑い、多くの20代の女性と同じようなことが好きで、メイク道具も一式持っている。ステージに立つときはいつも人に頼んで化粧をしてもらっている。将来は外国語大学に合格し、教員になって両親を安心させたいという夢があるが、音楽に対する情熱も抱いている。スアンさんは民謡からポピュラーミュージック、ボレロ(ベトナムで1975年以前に流行した歌曲)に至るまで、様々なジャンルの楽曲を歌うことができる。

 長身のティエンさんは、バンドリーダーを務めている。彼の母親は、妊娠中に井戸の近くで足を滑らせたことでティエンさんが早産でしかも視覚障がいを持って生まれてきたのだ、といつも自分自身を責めていた。一方でティエンさんは母親と父方の祖父に励まされ、小さなころから音楽の才能を発揮していた。7歳からグエンディエンチエウ学校の寄宿舎に入り、早くから自立していたため、20歳にしては落ち着いた外見や話し方をしている。

 ティエンさんは現在、ベトナム国立音楽院(VNAM)の竹笛(サオチュック=sao truc)科で学んでいる。専攻は民族楽器だが、キーボード演奏と編曲もできる。ティエンさんは、同じく視覚障がいを持ちながらも音楽家として活躍しているグエン・タイン・ビンさんに憧れており、ビンさんのような音楽家になりたいという夢がある。

 「私は真っ暗な人生に悲しみ、行き詰まったこともありますが、音楽が私と家族に喜びと温もりを運んでくれました。先の道のりは長いですが、情熱を追求していれば、遅かれ早かれきっと成功が訪れるだろうと信じています」とティエンさんは語る。

 フイさんは小柄で口数が少ない。ギターの演奏ができて歌も歌え、2016年には「ベトナムズゴットタレント(Vietnam’s Got Talent)」というテレビ番組に出演したこともある。フイさんの母親は、5年前に息子の演奏を初めて見て、感動の涙を堪えることができなかったという。「音楽と出会ってから、息子の悲しみは減り、喜びが増えました。以前は1人で座ってふさぎ込み、物憂げに考え事をしていることが多かったんです」とフイさんの母親は話す。

 チュンさんは1993年生まれの最年長だ。北部紅河デルタ地方バクニン省生まれのチュンさんは、幼いころから母親に民謡を教わっていた。チュンさんはハノイ市を離れて1年近く故郷のバクニンで暮らしていたが、音楽の仕事が忘れられず、またハノイ市に戻ってきた。チュンさんには故郷に恋人がいて、彼女もまた視覚障がいがあり、そして音楽好きだ。

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