ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

見ず知らずの若者たちを支援する麺屋の主人、夢叶える一助に

2020/12/13 05:34 JST配信
(C) vnexpress
(C) vnexpress

 次の年にはタン・フンさんの弟のグエン・タン・タインさんも大学生になり、兄弟2人で10年近くフンさんの家に居候した。「フンさんはたくさんの学生を受け入れていました。合計すると50人以上になると思います。卒業後も時々、世代を超えて集まり、フンさんを訪ねています。フンさんは私たちにとって家族のような存在で、お互いに冠婚葬祭にも出席しているんです」とタン・フンさん。

 北中部地方ハティン省出身のチュオン・テー・リックさん(男性・28歳)は、半年前に大阪で正社員として働き始めた。リックさんは、4年前の自分と同じように苦しい環境にいる学生を支援するための資金として、毎月の給与の一部をフンさんに仕送りしている。貧しい学生だったリックさんは、フンさんのおかげで留学の夢を叶えることができたのだ。

 リックさんは4年前、ホーチミン市人文社会科学大学の教育心理学科を卒業したものの、日本に留学することを夢見ていた。しかし、家族の経済状況は厳しく、農業を営む両親には4年間の学費だけでも苦労をかけたため、リックさんは日本への留学費用を自分で貯めたいと考えていた。

 2016年のテト(旧正月)には故郷に帰らずホーチミン市でアルバイトをし、いつもよりも多く稼いで貯金に充てようと考えた。リックさんは節約をし、必要な額が貯まれば日本語学校に通い、その後にお金を借りて日本に渡航するつもりだった。

 当初はホーチミン市内の娯楽施設で働く予定だったが、知人からビエンホア市のフンさんの店を紹介してもらった。最初は普通のアルバイトの面接として賃金などについて話し合っていたが、リックさんが留学の夢を叶えるためにテトも故郷に帰らず働こうとしていることを知り、フンさんはリックさんを雇うことに決めた。1か月ほど働くと、テト休みに入った。

 「テトが明けて店を再開する日、フンさんは私に電話をかけてきて、まだ留学したいかとたずねました。そして、日本語学校の学費や渡航にかかる初期費用を支援すると言ってくれました」とリックさん。フンさんの家の住人たちから、フンさんがいかに親切か聞いてはいたものの、日本に行くには数億VND(1億VND=約45万5000円)という大金が必要で、知り合って1か月しか経っていない、いわば「見ず知らず」の自分を支援してくれるなどという話をすぐには信じることができなかった。

前へ   1   2   3   4   次へ
[VnExpress 05:05 10/11/2020, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
故ホー主席の元護衛、タイプライターなど遺品2点を寄贈 (10:44)

 故ホー・チ・ミン主席がかつて居住・執務していたハノイ市の主席府内にある故ホー・チ・ミン主席遺跡区はこのほど、ホー主席の元護衛で、同遺跡区の元所長でもあるチャン・ビエット・ホアン氏より、ホー主席の...

ハノイ:古都を巡る2階建て豪華観光列車をお披露目、9月運行開始 (9:28)

 ベトナム鉄道総公社(Vietnam Railways=VNR)は19日、ハノイ市のハノイ駅(Ga Ha Noi)で、2階建て観光列車「ザ・ハノイ・トレイン(The Hanoi Train)」と、生体認証技術を用いたチケット管理システムをお披露目し...

ホーチミン:9月2日に建国80周年を祝う打ち上げ花火を実施 (8:16)

 ホーチミン市人民委員会は、8月革命記念日80周年(1945年8月19日~2025年8月19日)および建国記念日80周年(1945年9月2日~2025年9月2日)を祝う記念事業の一環として、9月2日(火)の午後9時から15分間にわたり、打...

「音」で熟度を見極める、ドリアン収穫のプロ (17日)

 南部メコンデルタ地方ドンタップ省(旧ティエンザン省)在住のグエン・チョン・タンさん(男性・26歳)は、ドリアンを収穫する職人チームの主力の「ドリアンカッター」を務めている。タンさんの的確な判断力のおか...

ベトナム人のAI満足度、国産「AI Hay」がGemini上回る (22日)

 地場市場コンサルタント会社デシジョンラボ(Decision Lab)が全国600人の利用者を対象に実施した「ベトナム人消費者の人工知能(AI)利用状況レポート」2025年版によると、国内で開発されたAIプラットフォーム「AI...

軍事パレードのリハーサル中に暴走バイク侵入、警官1人が重傷 (22日)

 21日夜、ハノイ市で発生した暴走バイクによる事件が国内で大きな波紋を呼んでいる。この事件では、バイクに乗った2人組の男が建国80周年軍事パレードのリハーサルで通行禁止となった道路に侵入し、警備中の警察...

ロンソン石油化学コンプレックス、1年ぶりに再稼働 (22日)

 タイのサイアムセメントグループ(SCG)傘下のロンソン・ペトロケミカルズ(Long Son Petrochemicals=LSP)は20日、約1年間の稼働停止を経て、ホーチミン市(旧バリア・ブンタウ省)のロンソン石油化学コンプレック...

ハノイ:日本からベトナムに荷物を違法輸送、4人起訴 (22日)

 ハノイ市人民検察院は、日本からベトナムへの荷物の違法輸送事件について起訴状を発行した。事件は2023年12月にハノイ市ノイバイ国際空港で発覚し、関与したベトナム人被告4人が起訴された。  起訴されたの...

CMC技術、AI分野の新会社を設立 国産AIを世界展開へ (22日)

 地場テクノロジー企業のCMC技術グループ[CMG](CMC Corporation)は21日、人工知能(AI)分野の新会社「CMCオープンAI(CMC OpenAI=C-OpenAI)」を正式に設立した。  こ

ホーチミン:観光客向け「グルメパスポート」展開、食の街アピール (22日)

 ホーチミン市観光局は19日、2025年の観光客誘致と需要刺激策に関する会議を開き、観光客を惹きつけ、特別な体験を提供するための新たなプログラムを多数紹介した。  注目されるのが、フーディ(Foody)が展開...

FPT、国内最大のラック数を誇るデータセンターを稼働開始 (22日)

 国内IT最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)は20日、ホーチミン市のサイゴンハイテクパーク(SHTP)でデータセンター「FPT Fornix HCM02」の稼働を開始した。  

韓越のレアアースメーカー、ベトナムに合弁会社を設立へ (22日)

 韓国のレアアース磁石メーカーであるノバテック(Novatech)はこのほど、ベトナムのコングロマリット(複合企業)スアンカウ・ホールディングス(Xuan Cau Holdings)の子会社であるレアアースメーカーのカインアン・...

松屋、ベトナム料理「コムタム風ポークライス」を日本全国で発売 (22日)

 株式会社松屋フーズホールディングス(東京都武蔵野市)は8月26日午前10時から、牛めし・カレー・定食・その他丼の「松屋」で、「外交メニューベトナム編」としてベトナムの伝統料理を松屋流にアレンジした「コム...

ベトナムのエドテック市場、急成長ランキングで世界トップ10入り (22日)

 ベトナムは、エドテック(EdTech=ITを活用した教育サービス)市場が最も急速に成長している国のランキングでトップ10に入っており、東南アジアではシンガポールやインドネシアと並んで最も潜在成長力のある市場...

ハノイ:大規模コンサートのチケット無料配布に徹夜で長蛇の列 (22日)

 ハノイ市で開催予定の大規模コンサート「ベトナム・イン・マイ・ハート(Viet Nam Trong Toi)」のチケットの無料配布を巡り、多くの市民が徹夜で長蛇の列を成し、配布初日の20日には会場周辺が大混乱となった。 ...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved