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ハノイで初のメトロ運行開始、着工10年の軌跡

2021/12/26 10:47 JST配信
(C) zingnews
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 タインさんは走行する電車の窓から通りをじっと眺めていた。タインさんは、今まで一度も海外に足を踏み入れたことがない。メトロ2A号線と比較できる唯一のものといえば、今から60年も前の25歳のときに乗った路面電車だ。

 「当時はおこわ一握りが1.5xu(スー:通貨ベトナムドンの補助貨幣で1VND=100xu)、フォーが3xu、路面電車は全区間で2xuでした。毎朝、路面電車に乗って湖畔からロンビエンまで通勤したものです」と振り返った。

 メトロ2A号線の運賃は、全区間で1万5000VND(約75円)。タインさんは「昔と同じで、フォーより安くておこわより高いですね」と笑った。

 タインさんは、新聞を読んだりラジオを聞いたりするのが趣味だ。悲しい気持ちのときは路線バスに乗ってハノイ市内を散策する。タインさんは高齢者向けの路線バス無料乗車券を持っている。自宅からハドン区のイエンギアバスターミナルまでは路線バスで40分。渋滞のときはもっとかかる。

 電車が終点のイエンギア駅に到着し、タインさんは腕時計に目をやった。時刻は9時40分。自宅からイエンギアまで路線バスなら40分かかるところ、電車なら25分で、15分も早く着いた。しかも、渋滞の心配もない。

10年の軌跡

 メトロ2A号線は、2008年に交通運輸省と中国のゼネコンがEPC(設計・調達・建設)契約を締結し、プロジェクトが始動した。そして2011年11月に着工し、2015年の運行開始に向けて本格的に動き始めた。当初、案件の投資総額は5億5200億USD(約630億円)だった。

 工事が始まり、近隣の民家は取り壊され、街路樹は伐採され、建設現場の周囲は交通渋滞が頻発した。市民は2015年になれば日本やヨーロッパ、米国に劣らない、近代的なメトロの恩恵を享受できると期待していた。

 しかし、土地収用や工事、検収の遅れなどにより、運行開始が何度も延期された。

 また、高架橋や駅の建設中に発生した事故は、市民の心に深く刻まれた。最も悲劇的な事故は、2014年11月6日に発生した。この日、タインスアン区グエンチャイ通りの高架駅の工事現場で建設資材の鉄筋が高所から道路に落下し、道路を走行中だったバイク3台が鉄筋の下敷きとなり、1人が即死、4人が重軽傷を負った。

 その1か月後の12月28日には、チャンフー通りハドンバスターミナル付近のコンクリート柱工事現場で全長約10mの足場が6mの高さから崩落する事故が発生した。道路を通りかかったタクシーが崩落した足場や鉄筋の下敷きとなり、タクシーの前部が完全に潰れたが、奇跡的にも運転手と乗客3人は軽傷を負っただけで命に別状はなかった。

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