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帰郷、そして家族との対面……「異形」のベトナム男児と米国女性の物語

2022/09/04 10:33 JST配信
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 サミュエルの情報を実の両親に伝えた人物は、ビンフオック省出身の女性ザンさんだ。彼女はたまたま、米国に住む孫がシェアしたサミュエルの家族探しの情報に触れ、自分と同じ会社で働く人に、家族に長年消息が分からなくなっている子供がいる女性がいることに気づいた。それが、サミュエルの叔母ティエンさんだった。「子供が生きている、実の両親を探していると知らせても、はじめティエンさんは信じませんでした。ですが腫瘍に覆われた顔をした子供の写真を見ると、『あの子だわ』と泣きだしました」とザンさん。

 リエンさんはその日のうちに、ホープさんの友人に、自分が母親だと名乗り出た。情報を交換し、サミュエルの小さいころの写真をやり取りしてホープさんは、リエンさんが実の母親であり、DNA検査をする必要はないと感じた。

 6月、サミュエルは米国の自宅のパソコンで、地球の裏側からのビデオコールを受ける。画面に映る女性は、手を振ったかと思うと、嗚咽を漏らした。「嬉しくて何も言葉が出ませんでした。画面の我が子の顔を見つめるしかなくて、用意していた『ごめんね』も言えませんでした」とリエンさんは思い出す。

 それから何度もの電話が始まったが、通訳の労を考えて、リエンさんは自分でメッセージを送るようにした。子供が生きていると知ってから、想いは募るばかり。電話の通話ボタンを押そうとして、言葉の通じない子供に何と話せばよいのかわからず、そのまま画面を切り替えたことも、何度もあった。「画面を見つめて、ボタンを押して、やっぱりやめて、『おやすみ』とだけメッセージを送って…。どうやって気持ちを伝えればいいか分からなくて…」とリエンさん。

 こうして息子と実の家族とを結びつけることができたホープさんはサミュエルに、8月にベトナムに一緒に帰ろう、と約束した。

 「これが、私からこの子への18歳の誕生日プレゼントです」。

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