ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

破れた紙幣を買い取る仕事

2023/09/24 10:23 JST配信
(C) VnExpress
(C) VnExpress

 例えば紙幣の3分の1が焼けて変形してしまっていたり、真っ二つに破れそうだったりして銀行が引き換えてくれるか確かでない場合、ラムさんは信用を得るために客に自分の身分証明書を預けて、その場で買い取らずに銀行に行くようにしている。

 「だから、私のIDカードや運転免許証はいつもあちこちにあるんです」とラムさんはユーモアたっぷりに話す。もし、銀行で引き換えられれば、手間賃として客から3万~5万VND(約182~303円)を受け取っている。また、遠方の客には、自宅に紙幣を受け取りに行く分のガソリン代を援助してもらっている。

 この副業でラムさんは月に300万~500万VND(約1万8200~3万0300円)の収入を得ている。その代わり、その日に買い取った紙幣を整理するのに毎晩20~40分ほどかかっている。

 同じく破損した紙幣の買い取り業をして10年近く経つレ・グエン・トゥアン・アインさん(男性・34歳)は、過去に、けんかをして紙幣を真っ二つに破ってしまったという夫婦から、その紙幣を買い取ってほしいと懇願されたことがある。その時は額面の80%の金額で買い取り、破れた部分をテープで貼って難を逃れた。「もし、記番号がなくなっていたらお断りするしかなかったので、助かりました」とアインさん。

 アインさんは、今から8年前にホーチミン市1区で起きた火災により、多くの人の財産が焼けてしまったときのことを今でも覚えている。もちろん、火災で紙幣も焼けてしまった。そこで市当局は、焼けた紙幣を銀行に持って行くよう被災者に通知する公文書を出した。小額紙幣については、被災者は少しでも価値を取り戻すために、アインさんたちのような買い取り業者のところへ持って行った。

 この10年ほどは、オンライン取引が普及したことで、破損した紙幣の買い取りという仕事はブームが去ってしまった。現在の客といえば、古銭の売買をする人たちなどほんの一部にすぎない。

 アインさんによると、オンライン取引が生活の隅々まで浸透しつつある中、破損した紙幣の買い取りの需要は特にこの5年で急激に減少しているという。しかし、流通しなくなった紙幣でも、その珍しさや希少さから高値がつくこともある。そのため、アインさんはそういった紙幣も買い取っている。「ボロボロの紙幣でも、その紙幣にしかない価値があるんです」とアインさんは語った。

前へ   1   2   3   次へ
[VnExpress 06:00 13/09/2023, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
ビングループ、ハティン省でEV部品産業向け賃貸工場を建設へ (17:20)

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)は、北中部地方ハティン省ブンアン経済区で計画されている電気自動車(EV)部品産業向け賃貸工場の投資方針の承認を得た

ビングループ、ヒューマノイドロボット子会社を設立 (17:10)

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)の取締役会はこのほど、ヒューマノイドロボットの研究開発、製造、技術移転を手掛ける子会社「ビンダイナミクス(VinD

電子送金の報告義務、国内5億VND・国際1000USD以上が対象 (15:16)

 ベトナム国家銀行(中央銀行)は、マネーロンダリング防止法の一部条項を具体化する通達第27号/2025/TT-NHNNを発出した。同通達は11月1日に施行される。  通達によると、金融機関や関連する非金融業種の事業...

「我が家」を夢見る18歳の少女 (21日)

 南部メコンデルタ地方ドンタップ省に住むファン・ゴ・ジエム・フオンさん(女性・18歳)には「我が家」がない。フオンさん一家は「自宅」を持ったことがなく、フオンさんはこの18年間、母方の祖父母や叔母の家な...

ホーチミン:学校の休み時間、携帯電話使用を制限 (14:59)

 ホーチミン市教育訓練局はこのほど開いたセミナーで、市内の普通教育機関での休み時間中に携帯電話や電子機器の使用を制限する計画案を明らかにした。  2段階で実施し、第1段階は、2025年10月から2025~202...

ベトナム航空、総額100億USDで大型機30機を追加導入へ (14:26)

 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は、長距離国際線の拡大を視野に、100億USD(約1兆4800億円)を投じて最大30機の大型機を導入する計画を明らかにした。  機材の

FPTとハノイ医大、街区・村の診療所にAED設置 国内初の取り組み (13:15)

 公共の場に自動体外式除細動器(AED)を設置するベトナム初の取り組みが始まった。心停止後の初動対応力を高め、救命率を向上させることが目的だ。ベトナムIT最大手FPT情報通信[FPT](

ベトナムのインターネット通信速度、初の世界トップ10入り (6:50)

 インターネット接続の性能を評価するウェブサイト「スピードテスト(Speedtest)」を運営する米国のオークラ(Ookla)社の2025年8月報告によると、ベトナムの固定回線インターネットの平均速度は261.8Mbpsとなり、...

ベトジェットエア、初のボーイング機を受領 (6:25)

 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は、米ボーイング社(Boeing)との間で締結した総額320億USD(約4兆7000億円)規模の200機の発注の一環として、初号機とな

電子マネー「MoMo」、チャブ・ライフと提携で健康保険事業参入 (5:38)

 ベトナムの決済アプリ大手「モモ(MoMo)」は、世界的保険グループであるチャブグループ(Chubb Group)傘下のチャブ・ライフ・ベトナム(Chubb Life Vietnam)との提携を発表し、健康保険商品「モモケア(MoMoCare)」...

ホーチミン:マイチート通りに市内初の自転車専用レーン設置へ (5:03)

 ホーチミン市当局は10月、ビンチュン街区(旧トゥードゥック市)のマイチート(Mai Chi Tho)通りに全長約5.8kmの自転車専用レーンの建設を開始する予定だ。投資総額は140億VND(約7800万円)余りとなっている。 ...

KDDI、VNPTとデジタルサービス推進で協業 (4:53)

 KDDI株式会社(東京都港区)は11日、ベトナム郵便通信グループ(Vietnam Posts and Telecommunications Group=VNPT)との間で、ベトナムにおけるデジタルサービスの推進を目的とした戦略的パートナーシップを締結...

多摩川電子ベトナム、フンイエン省の新工場が間もなく完成 (4:12)

 株式会社多摩川ホールディングス(東京都港区)の孫会社である多摩川電子ベトナム(TAMAGAWA ELECTRONICS VIETNAM)は、移転用地として取得した用地で新工場の建設工事を進めており、9月末に新工場が完成し、10月29...

中尾製作所、ハノイにベトナム現地法人を設立 (3:36)

 家具・建築用金物製造販売を手掛ける株式会社中尾製作所(三重県津市)は4日、東南アジア地域における販売体制の強化を目的として、ベトナム現地法人をハノイ市に設立した。  ベトナム現地法人「中尾ベトナム...

ベトナム家具・建設展示会、ホーチミンで10月1日から開催 (2:56)

 ホーチミン市タンミー街区(旧7区)のサイゴンエキシビション&コンベンションセンター(SECC:799 Nguyen Van Linh, phuong Tan My, TP. Ho Chi Minh)で、10月1日(水)から4日(土)まで、「第2回ベトナム家具・建設...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved