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とある店の前の軒下に複数吊り下げてあったTシャツを見ていたところ、店の人が「それは一般客に売らないものなんですよ」と申し訳なさそうに言ってきた。日用雑貨類や衣類を中心に、卸売りが目立つ点がサパ・プラハの一つの特徴だ。特に屋外市場では、造花や文具、おもちゃなどを扱っている卸売店が多くを占めていた。ベトナム人、チェコ人問わずバイヤーと思える人たちとベトナム系商人が商談する姿や、大量の商品を配送するトラックが行き交う様子、荷台に箱を積み上げ出荷している光景なども見られ、大口の取引も頻繁な市場であることが分かった。
もちろん屋内・屋外市場ともに小売りにも対応していて、品ぞろえが豊富なうえ価格も決して高くははない。例えば屋内市場では、部屋着に最適なウエストゴム入りのパンツが250チェコ・コルナ(約1650円)、麦わら帽子が300チェコ・コルナ(約2000円)で売っていた。現地でも知られた場所なのだろう。複数の店を回り、服をまとめ買いしているベトナム人やチェコ人が多かった。
サパ・プラハ中央にある、ドンスアン市場のような屋内市場
屋内市場の帽子店。ノンラー(Non La、円錐形の葉笠)から冬用・夏用帽子まで取りそろえる
現地の商習慣なのか、屋内・屋外市場にある店舗ではいずれも、店員による来店客への売り込みはきつくない。価格を聞けば答えてくれる程度。店員によるプレッシャーに負担を感じることなく、思う存分商品選びが楽しめた。
後編に続く:商人たちのコミュニティが根付く/陸路でベルリンへ
【Text & Photo by T.Sasaki】