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- ベトナムのマクロ経済最新レポート発表
- 4月の前回予想から+6.1%に下方修正
- 短期的に一部経済指標が鈍化する可能性
英スタンダードチャータード銀行(Standard Chartered Bank)は先般発表したベトナムのマクロ経済に関する最新レポートの中で、2025年におけるベトナムの国内総生産(GDP)成長率予想を+6.7%から+6.1%に下方修正した。特に下半期(7~12月)の成長率は、上半期(1~6月期)の+7.5%から+4.9%に鈍化する見通し。
短期的には、貿易の勢いに陰りが見られるものの、ベトナムのマクロ経済の基盤は引き続き安定している。上半期の輸出は持ち直しており、適度な貿易黒字を維持している。輸入も増加しているが、その多くは生産用の原材料や機械・部品に集中している。
また、同行は2025年のインフレ率予測を+3.8%から+3.5%に下方修正した。インフレ率は直近11か月連続で前年同月比+4%未満に抑えられており、物価上昇圧力は落ち着いている。
この傾向により、今後の金融緩和の余地は限定的となり、政策金利は現状維持となる可能性が高いと見られる。一方で、需要面からのインフレリスクや、通貨ドンの下落傾向が引き続き懸念材料となっている。
為替見通しについて、同行は通貨ドンの対米ドル為替レートの年末予測を1USD=2万6300VNDに引き上げた。第3四半期(7~9月)末時点でも同水準になると予測している。
同行のベトナム・タイ担当上級エコノミストであるティム・リラーパン氏は、「輸出や観光業の回復により、ベトナムの貿易見通しは依然として有望だ。短期的に一部経済指標が鈍化する可能性はあるが、それは外貨準備高の再構築に向けた好機でもある。全体として、ベトナムは今後の課題に十分対応できる堅固な経済基盤を持っており、持続的な成長が期待できる」と述べた。