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3月14日のチュオンサ諸島 (中国語:南沙諸島、英語:スプラトリー諸島)海戦記念日に際し、ベトナム政府の対応が例年とは大きく変わっている。今年はテレビ局が海戦に参加した軍人を招いた記念番組を放映し、新聞も一斉にこの海戦を特集した記事を掲載。この海戦で死傷した兵士に対する「恩義」を広める活動やイベントが全国で展開されている。14日付トゥオイチェー紙(電子版)が報じた。
チュオンサ諸島海戦は、1988年3月14日にベトナムと中国の両国が領有権を主張するチュオンサ諸島のガクマ礁(中国語:赤瓜礁)で中国海軍とベトナム海軍が衝突した海戦。中国は赤瓜礁を含むいくつかの岩礁を手に入れたが、中国空軍の支援がなかったため、ベトナム軍はチュオンサ諸島の約6割を維持することができた。この海戦でベトナム側は兵士64人が死亡、11人が重傷を負い、戦艦2隻が沈没した。
ベトナムと中国の外交関係が正常化した1991年から最近まで、ベトナム政府はマスコミに対して中国を「敵」とする表現を使用しないよう指示し、歴史教科書でも1974年のホアンサ諸島海戦や、1979年の中越戦争(第三次インドシナ戦争とも呼ばれる)とともに、1988年のチュオンサ諸島海戦についても数行の記載しかしていなかった。
しかし、領有権問題がまた深刻化し、中国の挑発的な動きがエスカレートしていることを受けて、政府は対中政策を大きく転換したように思われる。昨年から大手新聞をはじめとするマスコミは中国を「侵略敵国」と表記し、中国との過去の戦争を詳細に説明する記事を掲載するようになった。また、中国産商品のボイコット運動や反中デモ、違法に働く中国人労働者の強制送還など、官民ともに反中の動きが高まっている。
在中国ベトナム大使館の武官として長期間中国に駐在し、現在高級軍事学院の中国軍事戦略研究部に在籍するクワック・ハイ・ルオン大佐は対中政策について、「我が国は常に列強の圧力を受ける小国。侵略の危機を封じ込め、領土及び領海を防衛するために国防力を高めなければならないが、中国の挑発的な罠に掛からないよう注意すべきだ」と語った。