ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

自宅は共同便所の上、8平米の小屋に住む老夫婦―悪臭に耐えて44年

2019/09/28 06:41 JST配信
(C) vnexpress
(C) vnexpress

 灼熱のハノイ市の昼時、ホアンキエム区ハンバック(Hang Bac)通りの路地に住むグエン・フン・ハイさん(80歳)と妻のグエン・ティ・サムさん(70歳)が昼食の支度をする室内には、共同便所のアンモニア臭が満ちている。この路地には6世帯が暮らすが、ハイさん夫妻は26歳の娘と路地の共同便所の真上に住んでいる。

 モルタル造りの共同便所の上で、トタン板や段ボールを屋根や壁として使い、家にしている。面積は8m2、外付けの階段で家まで上り下りする。床に縦1m、横1.5mの薄い合板とゴザを敷いたところが寝床だ。雨の日は家の中に流れ込んでくる雨水をホウキで外へ掃き出す。大雨の時は床上(公衆便所の屋根上にあたる部分)が20cmも浸水したことすらある。夜通し雨水を掃き続けることもあるという。

 1975年に家族の元を離れたハイさんは、この路地の共同便所の上が住処にちょうどいいと思い、木材や紙材を使ってバラック小屋を作り移り住んだ。その当時の家の面積は3m2だったが、1989年に人の仲介でサムさんと結婚すると、現在の広さに拡張した。ハイさん49歳、サムさん39歳のことだった。

 サムさんは結婚式当日に初めてハイさんの家が共同便所の真上だと知り驚愕、初夜はどうしても我慢できず、他人の家に身を寄せた。しかし、どんなに貧しくても夫は夫だと思い直し、翌日から同居を始めたという。サムさんも娘や息子も、一度として友人や知人を家に招いたことはない。

 真夏は室内が高温に蒸され鼻をつく悪臭が充満する。ハイさん夫妻は少しでも臭いを軽減するために交代でこまめに共同便所を一掃し、壁に水をまき涼を取る。

 ハイさん夫妻の収入源は独立した息子の仕送りとハイさんが路上で営むバイクの空気入れで稼ぐ小銭だけだ。サムさんは屋台を切り盛りしていたが関節痛が酷くなり、4年前に店を畳んだ。息子がローンを組んでマンションを買って夫妻を呼び寄せようとしている話もあるが、「それも確約はないし、子供や孫の迷惑にもなりたくない」と話す。

 現在の家は違法建設ではあるが、起訴されることは心配していないと言うハイさん。「こんな共同便所の上に住んでいる人を訴えようとする人なんていますか?」と笑う。

[VnExpress 14:19 21/9/2019, T].  © Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
時代とともに消えゆくビンロウジ、商売上がったり (6:40)

 「最近じゃビンロウジ(檳榔子、ヤシ科植物ビンロウ(檳榔)の種子)に関心を持つ人はほとんどいなくなった。結婚式用に買う人も少なくなって、嗜む人はほとんどいなくなった。好きで仕事を続けているけれど、商売...

メトロ1号線、元兵士や外交機関の代表者を乗せて試運転 (5:44)

 ホーチミン市都市鉄道(メトロ)管理委員会(MAUR)は、間もなく南部解放記念日(4月30日)とディエンビエンフー戦勝記念日(5月7日)を迎えるにあたり、4月26日に、同市都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~スオイティ...

プラ製品の天馬、新工場建設でクアンニン省から投資登録証明書取得 (4:23)

 プラスチック製品の製造・販売を手掛ける天馬株式会社(東京都北区)は、同社連結子会社である天馬ベトナム(TENMA VIETNAM)が東北部地方クアンニン省に第2工場を建設する件で、15日付けでクアンニン省から投資登...

ホーチミンの街並みに残る路上床屋の文化 (28日)

 ホーチミン市には、人生の半分以上の時間を他人の顔や頭髪を美しく整えることに費やしてきた人々がいる。路上床屋には、看板もなければ最新の備品もなく、使い古された革張りの肘掛け椅子と、古びた鏡、そして...

中古車・建機の解体業で豊かになった村 (27日)

 北部紅河デルタ地方ビンフック省イエンラック郡テーロー村(xa Te Lo, huyen Yen Lac)は、自動車や建設機械の解体業で豊かになった村として知られる。  この村で、中古の自動車やバイク、建機などを買い取り...

フエ:故チン・コン・ソンの名前を冠した学校が開校 (27日)

 北中部地方トゥアティエン・フエ省ナムドン郡人民委員会は24日、国民的音楽家である故チン・コン・ソン(Trinh Cong Son)氏の名前を冠した学校の開校式を開催した。式典にはソン氏の遺族や友人らが参加した。 ...

ホーチミン:市内初の「電子街」が10区に誕生 (27日)

 ホーチミン市10区7街区人民委員会は25日、市内初となる「ニャットタオ電子街(pho chuyen doanh dien tu Nhat Tao)」のお披露目式典を開催した。  電子街は、ニャットタオ(Nhat Tao)通り、ビンビエン(Vinh V...

ベトナム共産党、序列4位の国会議長を解任 首脳部解任相次ぎ異例の事態 (26日)

 ベトナム共産党中央執行委員会は26日に臨時会議を開き、本人からの希望を受けて、ブオン・ディン・フエ氏の政治局員・党中央執行委員・国会議長としての職を解任することを決定した。  中央執行委員会は解...

アップル製品の生産拠点数、ベトナムが世界4位 東南ア最多 (26日)

 米アップル社(Apple)がサプライチェーンの多様化に注力している中、依然として中国が同社最大の生産拠点となっているが、ベトナムでも生産拠点数が大幅に増えており、主要生産拠点の1つになっていることが同社...

中国、南シナ海で3か月間の漁獲禁止を発表 ベトナム外務省が抗議 (26日)

 中国は、5月1日から約3か月間にわたり南シナ海での漁獲を禁止すると発表した。漁獲禁止が適用される範囲には、ベトナムが領有権を主張する南シナ海のホアンサ諸島(英名:パラセル諸島、中国名:西沙諸島)周辺海...

ハノイ:行政区再編計画を承認、ホアンキエム区の合併なし (26日)

 ハノイ市人民委員会は25日、2023~2025年の行政区再編計画を承認した。これにより、ホアンキエム区の合併はせず、郡レベル(郡・区・町=thi xa)の行政区の数を現在の30で据え置くことで一致した。  計画に...

授業料返還渋る英語学校エーパックス運営会社に56万円の罰金処分 (26日)

 国家証券委員会(SSC)は、情報公開規定に違反したとして、英語学校「エーパックス・リーダーズ(Apax Leaders)」を運営するエーパックス投資ホールディングス[IBC](Apax Holdings)に9

双日、地場SaaS企業のフィンベトに出資 (26日)

 双日株式会社(東京都千代田区)は、ベトナムで主流となっている家族経営を中心とした小規模小売店の受発注管理やキャッシュレス決済用のスマートフォンアプリなどを手掛けるSaaS企業のフィンベトテクノロジー(Fi...

三菱重工、ベトナム現地法人を設立 駐在員事務所の機能を大幅強化 (26日)

 三菱重工業株式会社(東京都千代田区)は、ベトナム現地法人「ベトナム三菱重工業(MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES VIETNAM)」を設立し、このほど本格活動を開始した。ハノイ市バーディン区に本社、ホーチミン市1区...

南北高速道路、カムラム~ビンハオ区間が開通 投資総額540億円 (26日)

 南北高速道路の東側路線建設工事の一部である南中部沿岸地方カインホア省カムラム~南中部沿岸地方ビントゥアン省ビンハオ(Cam Lam~Vinh Hao)区間が26日午前に開通した。  同区間は全長78kmで、官民パート...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2024 All Rights Reserved