ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

チャム族の陶器作り、ユネスコの緊急保護リストに登録

2022/12/08 05:09 JST配信
(C) vnexpress
(C) vnexpress 写真の拡大.

 モロッコでこのほど開催された国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産保護条約第17回政府間委員会で、ベトナムのチャム族の陶器作りが「緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表(緊急保護一覧表)」に登録された。

 チャム族の陶器は、主に家庭用と儀式用、また美術品として作られ、甕、鍋、盆、瓶などの種類がある。制作するのは女性だ。粘土は南中部沿岸地方ニントゥアン省のバウチュック村とスアンクアン村を流れるクアオ川(song Quao)沿いの畑から採取したものを使用する。

 制作時には竹で削って器壁を薄くしたり、貝殻や布などでこすって表面をなめらかにしたりする。また、ろくろを使う代わりに自身が台の周りを移動して成形する。陶器は釉薬をかけて乾燥させ、約800度の温度で7~8時間、薪とわらを使って屋外で焼成する。

 文化スポーツ観光省傘下の文化遺産局の担当者によると、チャム族の陶器作りの知識と技術は家族の中で世代を超えて受け継がれている。また、陶器作りは、チャム族の女性の生産労働や社会生活における交流、子供たちへの職業教育、収入の増加、社会における女性の役割の向上などにも貢献している。遺産を保護することは、ベトナムのチャム族の文化的アイデンティティを維持することにもつながる。

 しかし、陶芸村の職人や跡継ぎの数が減少しているため、陶器作りは消滅の危機に瀕している。ベテランの職人はすでに高齢で、若い世代はあまり関心を示さないからだ。また、都市化が伝統工芸村の空間や原料の入手などにも影響を及ぼしている。

 こうした中、文化遺産局のレ・ティ・トゥー・ヒエン局長は、今後チャム族の陶器作りの価値を保護するための措置を講じると明らかにした。2023年から2026年までの4年間、トレーニングや資料化、原料の入手にかかる問題の解決、職人の持続可能な生計に関する問題の解決などに取り組む計画だ。

 なお、これまでに登録されたベトナムの無形文化遺産は、チャム族の陶器づくりのほか、◇フエ宮廷雅楽、◇ベトナム中央高原におけるゴングの文化的空間、◇北部紅河デルタ地方バクニン省の伝統歌謡「クアンホ(Quan ho)」、◇伝統歌謡「カーチュー(Ca tru)」、◇伝統歌謡「ハット・ソアン(Hat xoan)」、◇フン王信仰、◇タイ(Tay)族、ヌン(Nung)族、タイ(Thai)族の民謡テン(Then)の儀式、◇中部の民俗遊び「バイチョイ(Bai choi)」、◇タイ(Thai)族の民族舞踊「ソエタイ(Xoe Thai)」など計15件となっている。

 このうち「ハット・ソアン」は2011年に緊急保護一覧表に登録されたが、2017年に同リストから削除され、人類の無形文化遺産の代表的な一覧表(代表一覧表)に移行・登録された。

[VnExpress 00:25 30/11/2022, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
ベトナムの通信事業者、eSIM普及を加速 (15:13)

 ベトナムの通信事業者が、物理SIMからeSIMへの転換を強化している。各社はオンライン手続きに対応し、手数料の無料化を進めている。これにより、通信分野におけるデジタル化が一段と加速しつつある。  12月...

2025年の信頼性の高い旅行会社、ベトラベルが3年連続1位 (13:54)

 ベトナム評価レポート社(ベトナムレポート=Vietnam Report)は1日、2025年の信頼性の高い旅行会社トップ10とホテル・リゾート部門トップ5を発表した。  同ランキングは、財務能力やメディアの信頼性、関連...

有料テレビ「K+」、26年1月でベトナム事業終了 (13:17)

 有料テレビ「K+」を運営するオーバー・ザ・トップ(OTT)サービス事業者のベトナム・サテライト・デジタル・テレビジョン(VSTV)は、2026年1月1日付けで「K+」のサービスの提供を終了すると発表した。  イン...

車いすでピックルボールに打ち込む人々 (7日)

 グエン・バン・フアンさん(男性・40歳)は毎週、東北部地方クアンニン省からハノイ市まで100km以上の道のりを三輪バイクで走り、ピックルボールに打ち込んでいる。フアンさんにとって、ピックルボールは障がいへ...

ノイバイ空港、第2旅客ターミナル拡張エリアが12月19日に運用開始 (6:56)

 ハノイ市ノイバイ国際空港の第2旅客ターミナル(T2)拡張エリアは18か月の工期を経て、12月19日に運用が開始される予定だ。T2では、3D手荷物スキャナー「920CT」や米国運輸保安局(TSA)基準を満たしたボディスキャ...

ホーチミン:都市鉄道人材の育成急ぐ、外国人専門家への依存軽減 (6:28)

 ホーチミン市人民委員会は、都市鉄道(メトロ)網の拡大に向け、2025〜2030年の人材育成計画を公表した。同市は2035年までに7路線、2045年までに10路線の運行を予定しており、運行と保守に必要な人材を計画...

ホーチミンに自由貿易区を設立、政府が提案 (5:54)

 政府はこのほど、ホーチミン市の開発にかかる特別制度の試行に関する国会決議第98号/2023/QH15の一部を改正・補足する決議案を国会に提出し、同市に自由貿易区(FTZ)を設立することを提案した。改正は、投資を呼...

サン・フーコック航空、26年3月に国際線運航開始 (5:28)

 観光不動産開発を手掛けるサングループ(Sun Group)傘下のサン・フーコック・エアウェイズ(Sun PhuQuoc Airways=SPA)は、ベトナム民間航空局(CAAV)から国際線対応の航空運送事業許可(Air Operator Certificate...

EV配車サインSM、ラオスで法人向け電気タクシーサービスを展開 (4:37)

 不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)傘下のビンファスト(VinFast)製電気自動車(EV)・電動バイクのレンタカー・タクシー会社で、配車サービス「サインSM

行政区を点数方式で分類、社会経済政策策定の根拠に (3:38)

 行政区分類に関する政令第307号/2025/ND-CP(11月27日施行)では、行政区の分類基準を定めており、社会経済政策や地方行政の運営体制を整備するための基礎とした。  新政令が公布された背景には、今年7月の行...

テックフェスト2025、ハノイで12月12日から開催 (2:03)

 ハノイ市のホアンキエム湖歩行者天国で12月12日(金)から14日(日)まで、スタートアップとイノベーションに関する体験型イベント「テックフェスト・ベトナム2025(TechFest Vietnam 2025)」が開催される。  同...

聖母マリア教会がXmasライトアップ、LED装飾は昨年の2倍 (6日)

 ホーチミン市サイゴン街区(旧1区)中心部に位置するドゥックバー(聖母マリア)教会は、今年もクリスマスシーズンに合わせて装飾され、クリスマスの雰囲気を楽しむ大勢の家族連れや若者で賑わっている。  同教...

第21回ホイアン日本祭り2025、12月26日から開催 (6日)

 南中部地方ダナン市(旧クアンナム省)のホイアン文化遺産保存管理センターは4日、ホイアン旧市街で12月26日(金)から28日(日)にかけて、第21回ホイアン日本祭り2025が開催されると発表した。  同イベントはダ...

コンダオ国立公園、IUCNグリーンリストに認定 (6日)

 ホーチミン市コンダオ特区のコンダオ国立公園(Vuon Quoc gia Con Dao)はこのほど、国際自然保護連合(IUCN)が認定・授与する「グリーンリスト(Green List)」の認定証を受領した。  「グリーンリスト」は、コ...

ラムドン省:洪水で1750世帯が孤立、自治体が緊急対応を指示 (5日)

 南中部地方ラムドン省で豪雨に伴う洪水被害が発生している。旧ビントゥアン省のエリアを中心に大規模な洪水が発生し、約1750世帯が孤立する事態となり、同省人民委員会が4日に緊急対応を指示した。  省全体...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved