ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

この愛の物語に名前をつけるとしたら・・・

2006/12/17 07:07 JST配信

 それぞれの故郷に帰ってからも、2人は悲しみを引きずり続けた。そして何カ月かが過ぎ、チンは家を出てフーンを探しに行くことを決心する。彼女の「さよなら」がどうしても信じられなくて、彼は来る日も来る日も彼女を探し続けた。

 2003年10月のある朝、フーンがベッドに横になっていると犬が鳴く声がするので振り返って見ると、そこにはチンがいた。彼女は起き上がって彼を抱きしめたかったが、体が動かない。チンはフーンをしっかりと抱きとめ、2人は子どものように泣いた。フーンの父母は突然の出来事にただあっけにとられるばかり。

 「私たちははじめ彼のことを疑いさえした。今の時代にこんな奇特な人がいるなんて誰が信じられるだろう。元気な娘ならともかく重い病気を患っている娘を追って、南部からわざわざこんな所まで来るなんて・・・」。フーンの父親がこう語ると、チンは目に涙を浮かべながら、「ベッドに横たわる姿を見た時、それが彼女だとはとても信じられなかった。離れていた4カ月の間に47キロあった彼女の体重は30キロにまで減っていて、その姿は変わり果てていた」と振り返る。

 フーンは明るく笑い、「何が起ころうと楽しんで生きていくわ。なによりも、愛する人がここにいるんだもの。私は世界一の幸せ者よ」と力強く言う。 チンが傍らでこんな歌を歌った。「もう泣かないで、僕がそばにいて涙をぬぐってあげよう。そしていつまでも一緒に生きていこう。僕の君への想いが、君を幸福の国へ導くように・・・」

 それ以後チンはフーンの家に住み、畑仕事や家畜の世話を手伝って過ごしている。そしてどんな時もつきっきりで彼女を看病し、独学で学んだマッサージをしてやったりしている。時には歌を歌ってあげたり、面白いことを言って笑わせたりもする。

 庭に咲く花を眺めながら、フーンが言う。「紫色は誠実の色よね?まるであなたみたい」。2人はほほ笑み合い、「私たちの気持ちをどんな言葉で表せばいいのかしら。考えてもらえません?」と私に言い、最後にこう付け加えた。「ただ、あまり先が長くないから、急いでね」

前へ   1   2   次へ
[2006年11月23日 Sai Gon Giai Phong紙 電子版].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
この記事に関連するおすすめの記事
新着ニュース一覧
「アジアのベストレストラン」、ベトナムから1店舗が97位に選出 (10:18)

 イタリアのサンペレグリノ(Sanpellegrino)とアクアパンナ(Acqua Panna)が冠スポンサーを務める「アジアのベスト50レストラン(Asia’s 50 Best Restaurants)」の2025年版と併せて発表された51~100位のレストラン...

訪日ベトナム人の犯罪検挙状況、検挙件数・人員ともに国籍別最多 (9:01)

 日本の警察庁組織犯罪対策部はこのほど、令和6年(2024年)における組織犯罪の情勢(確定値版)を発表した。訪日外国人犯罪情勢に関するデータによると、2024年の国籍等別の総検挙件数・人員ともにベトナムと中国の...

クアンチ省:故レ・ズアン書記長の記念館が完成 (2日)

 北中部地方クアンチ省チエウフォン郡チエウタイン村で4月28日、南部解放・南北統一50周年(1975年4月30日~2025年4月30日)を記念して、故レ・ズアン書記長記念館の竣工式が開催された。  同省の重要革命史跡...

1975年4月30日、統一会堂でベトコンの旗を振った兵士の記憶 (4/27)

 1975年4月30日、特殊部隊の兵士だったファム・ズイ・ドー上尉(男性・75歳)は、南ベトナム大統領官邸(現在のホーチミン市の「統一会堂」)の2階に駆け上がり、南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)の旗を何度も振っ...

ホーチミン:空港新ターミナル行き電気バス路線を運行開始 (2日)

 ホーチミン市交通公共事業局傘下の公共交通管理センターは4月28日、ホーチミン市1区サイゴンバスターミナル(ben xe buyt Sai Gon)とタンソンニャット国際空港を結ぶ「109番」の路線バスについて、このほど開業...

ベトジェットエア、5月5日限定で運賃55%割引キャンペーン (2日)

 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は、5月5日(月)の午前0時から23時までの1日限定で、ベトナム国内線と国際線のエコクラス運賃が55%割引(税など含まず)

4月のベトジョー記事10選:トランプ関税、石破首相訪越など (1日)

 4月は、ドナルド・トランプ米大統領が、世界各国からの輸入品に対し「相互関税」を課すと発表しました。180以上の国・地域に一律10%の関税を課した上で、国・地域ごとに異なる税率を上乗せし、ベトナムに対し...

4月のベトジョー記事アクセス数ランキング (1日)

 VIETJOベトナムニュースが4月に配信した記事のアクセス数ランキングをご紹介します。 1位:200年の歴史を有する毒ヘビ養殖村、高収入も危険と隣り合わせ

4月30日の南部解放記念日と5月1日のメーデーに読みたい記事8選 (4/30)

 今から50年前の1975年4月30日、サイゴンの南ベトナム大統領官邸(現在のホーチミン市の「統一会堂」)の正門に2台の戦車が突入し、サイゴンが陥落しました。これにより、長く続いたベトナム戦争が終結しました。 ...

ベトナム軍事歴史博物館、南部解放記念日に伴う5連休は入館無料 (4/30)

 ハノイ市ナムトゥーリエム区にあるベトナム軍事歴史博物館は、4月30日(南部解放記念日)と5月1日(メーデー)に伴う4月30日(水)から5月4日(日)までの5連休中の入館料を無料とすることを決めた。  今回の決定は...

世銀、ベトナムの25年GDP成長率予想を+5.8%に下方修正 (4/29)

 世界銀行(WB)は先般発表した最新レポートの中で、ベトナムの2025年における国内総生産(GDP)成長率予想を前回レポートの+6.8%から+5.8%へと▲1.0%pt下方修正した。理由として、世界的な貿易政策の不確実性や経...

ハイテク・GX・半導体分野の高付加価値化で日越協力フォーラム開催 (4/29)

 石破茂内閣総理大臣は28日午後、ファム・ミン・チン首相とともに、日越企業が会するハイテク・グリーントランスフォーメーション(GX)・半導体分野における高付加価値産業創出に向けた日越協力フォーラムに参加...

ラムドン省:国会民族評議会議長が党委書記に転任 (4/29)

 ベトナム共産党政治局は、国会民族評議会議長のイー・タイン・ハー・ニエ・クダム氏を、南中部高原地方ラムドン省共産党委員会書記(2020~2025年任期)に任命した。  同省で28日に開催された任命式には、政...

ホーチミン:ビンタン区にブックストリートが新たにオープン (4/29)

 「第4回ベトナム書籍・読書文化の日」開幕に合わせて25日、ホーチミン市ビンタン区にブックストリートが新たにオープンした。  ビンタン区ビンチドンB街区の高技術医療区内に設置され、広さ約2000m2に12の...

石破首相、クオン国家主席とマン国会議長と会談 (4/29)

 ベトナムを訪問している石破茂内閣総理大臣とルオン・クオン国家主席は現地時間28日午前11時20分から約45分間にわたり、国家主席府で会談を行った。その後、現地時間同日午後2時20分から約40分間にわたり、国会...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved