![]() (C) Dan tri, Hai Yen |
海外での暮らしから得るものは大きい。異文化や風習、その土地の人々と出会い、理解すること、そして言語の習得。ベトナム人女性ラン・アインも、そんな旅の魅力に取り憑かれた若者の1人だ。
彼女はある時期、南米チリにあるチロエ島の旅行会社で働きながら語学を学んでいた。チリは他の多くの南米の国と同様にスペイン語を公用語としている。旅行会社で1日12時間働きながら、帰宅すると自炊をして自習に励んだ。時には仕事の疲れで本を抱えたまま眠りこんでしまうこともあった。 スペイン語を習得したことは、その後数か月、南米で過ごす上で随分と助けになった。ブラジルを訪れた時も、ほとんどの人が話すの公用語であるポルトガル語だったが、 似ている言語のため、大体理解できたという。
南米を旅する者にとっては、一切れのサンドイッチでさえ貴重だ。それほど南米での生活は厳しく、いつもお腹を空かせていた。ベネズエラにいた時は、持っていたATMカードが使えず、お金を引き出すこともできなかった。そんな生活の中で、彼女は何度もアパートの簡易式コンロを使って食べるインスタントラーメンのお世話になった。大家に家賃を下げてもらうよう粘り強く交渉したりもした。ベネズエラを離れ、コロンビアとの国境を越えた時、心底ほっとしたという。
2010年の正月はチロエ島で迎えた。電話で家族の声を聞くと涙が止まらなくなったという。「国境超えの手続きで半日待たなければならなかったとき、ずっと家族のことや、何かに夢中になった時、回りが見えなくなってしまう自分自身のことについて考えていました。母のことを思い、家族のことを思いました。」