ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

片腕で理髪店の経営と2人の子育てに奮闘するシングルマザー

2021/01/10 05:58 JST配信
(C) vnexpress
(C) vnexpress

 チャムさんは心を打たれ、バリカンを手にして試行錯誤し、1時間近く格闘した末にようやくカットが仕上がった。以来、その男性客は友人たちにもチャムさんの店を紹介し、応援してくれている。

 「その時は自分で納得のいくカットができず、お客さんにも申し訳ない気持ちになりました。でも、何よりも私に片腕でカットするという機会をくれたそのお客さんに心から感謝しています。実際に片腕でカットするのは、入院中に想像していたよりもずっと難しいことでした」とチャムさんは打ち明けた。

 しかしながら、全ての客が片腕でのカットを受け入れられるほど「勇敢」ではなく、店まで来て帰ってしまう客もいた。また、片腕でのカットを試した後に、二度と来店しなかった客もいる。

 事故に遭ってから半年が経ち、チャムさんの店を訪れる客は減り、1日に1人しか来店しない日もあった。チャムさんは自分が十分に仕事をこなせていないこともわかっていたため、カット代もあえて少なく受け取っていた。

 チャムさんは理容師を辞めて自宅でベビーシッターの仕事を始めようとしたが、ある時、息子が自分の真似をして片腕だけで学校の準備やあらゆる作業をしていることに気づいた。「息子は歩く時、片腕だけ振って、もう片方の腕は身体に沿わせていたんです。家事を教えても片腕しか使いません。なぜかと聞くと、『お母さんと同じようにやっているだけだよ』と答えたんです」とチャムさん。ベビーシッターをしても、世話をする子供たちが息子のようになってしまうことを恐れ、チャムさんはベビーシッターに転職することを諦めた。

 店では、ヘアカットの仕事は少なくなったものの洗髪の頻度が増え、右腕1本で以前の両腕の役割をこなした。毎回仕事が終わるとあまりの疲労で腕に力が入らなくなり、手は震えた。口と歯を使って水道の蛇口をひねるため、口元も痺れた。

 それでも客が増えることはなく、チャムさんはアシスタントを解雇しなければならなくなった。店を辞める前にアシスタントたちは皆で集まって、髭剃り用のカミソリを小さく切り分けてチャムさんが少しずつ使えるようにした。片腕ではカミソリを切り分けられないことを知っていたからだ。チャムさんは、その小さなカミソリを使い切ったら髭剃りのサービスを辞めるつもりでいた。

前へ   1   2   3   次へ
[VnExpress 05:05 11/30/2020, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
越韓の国会議長が会談、30年までに貿易額1500億USD目指す (13:12)

 チャン・タイン・マン国会議長は20日、ベトナムを公式訪問した韓国のウ・ウォンシク(禹元植)国会議長と会談した。  両議長はこの席で、1992年の国交樹立以来、両国関係が良好に発展していることに満足の意...

高層マンションのロビーに放置された荷物から腐乱死体発見 (13:06)

 ホーチミン市警察は、同市タインミータイ街区(旧ビンタイン区)にある高層マンションのロビーに放置された荷物から男性の腐乱死体が見つかった事件について、死体遺棄事件とみて捜査を進めており、荷物を放置し...

メルセデス・ベンツ、ベトナムで初のPHEVモデルを発売 (13:01)

 メルセデス・ベンツ・ベトナム(Mercedes-Benz Vietnam=MBV)は、同社として国内初となるプラグインハイブリッド車(PHEV)「GLE 400e 4MATIC」を正式発表した。競合モデルは、レクサス(Lexus)の「RX 500h」やボル...

ホーチミンの市場とともに生きる:バンコー市場 (23日)

 ホーチミン市のめまぐるしく変わりゆく街並みの中で、バンコー市場(cho Ban Co)は、記憶の断片のようにひっそりと存在している。商人たちは日々、市場で商売を続けている。まるで、1束の野菜が、1kgの玉ネギが...

ベトナムの7~9月GDP成長率でASEAN主要国トップ、タイの7倍 (6:02)

 ベトナムの国内総生産(GDP)成長率は、東南アジア主要6か国=ASEAN6(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)で最も高く、タイの約7倍となった。  ベトナムの2025年7~9月のGD...

ベトジェットエア、ハノイ~広島線を増便 12月20日から (6:01)

 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は12月20日より、ハノイ市と広島県を結ぶ直行便を現在の週3往復(火・木・日)から週4往復(火・木・土・日)に増便する。

2大都市の公共交通機関、30年までにすべてクリーンエネルギー化 (5:35)

 政府は、2030年までにハノイ市とホーチミン市の公共交通機関をすべてクリーンエネルギー車に転換する方針を示した。これは、2026~2030年の大気汚染対策・大気質管理に関する国家行動計画を承認する首相決定第2...

ベトナムの英語力は世界64位で「標準的」、日本は96位で過去最低 (5:27)

 スイスに本部を置くグローバル教育機関イー・エフ・エデュケーション・ファースト(EF Education First)は19日、「EF英語能力指数2025(EF EPI 2025)」を発表した。ベトナムは800ポイント中500ポイントで世界123...

海上保安庁、ベトナム海上警察と年次会合 連携・協力深化へ (4:35)

 ベトナム海上警察の巡視船が、17日から21日にかけて福岡県福岡市の博多港に初めて入港した。これに合わせて、海上保安庁とベトナム海上警察は19日、2015年9月に締結した協力覚書に基づく第12回目の年次会合を福...

Hmcomm、地場AI企業と業務提携契約を締結 (4:05)

 人工知能(AI)音声処理技術を基盤とした要素技術の研究・開発およびソリューション・サービスの提供を手掛けるHmcomm株式会社(東京都港区)は、AI開発企業であり、日本企業向けにシステム受託開発およびラボ型開...

BeeXグループのスカイ365、ニャチャンに海外MSP拠点を開設 (3:43)

 株式会社BeeX(東京都中央区)グループで、クラウド関連の運用・監視・保守(MSP)事業を手掛ける株式会社スカイ365(北海道札幌市)は、グループとして初となる海外マネージドサービスプロバイダー(MSP)拠点「スカイ...

三景、フンイエン省に環境対応包材の生産拠点を設立 海外初進出 (2:23)

 包装資材メーカーの株式会社三景(愛知県名古屋市)は11日、北部紅河デルタ地方フンイエン省のミンドゥック工業団地で、環境対応型包材の新たな生産拠点の稼働を開始した。  ベトナム現地法人「三景マニュフ...

ゲアン省:自殺志願者を救出する貧しい夫婦、20年で50人以上 (22日)

 北中部地方ゲアン省チュオンビン街区で暮らす貧しい夫婦は、同省を流れるラム川の中流で、橋から飛び降りて自殺を図った大勢の人たちの命を救ってきた。その数は20年で50人を超える。  ホアン・バン・マイ...

クアンニン省:島から持ち出した「石」14kgを観光客が返却 (22日)

 東北部地方クアンニン省コートー島(特区)で、観光客が数年前に島から持ち帰った石14kgを謝罪文とともに自治体に郵送で返却する出来事があった。  返送主は同省ハロン街区に住むNさんで、2015年から2018年に...

東南アジアで最も素晴らしい島、カットバー島が3位にランクイン (22日)

 米国の雑誌「ナショナルジオグラフィック(National Geographic)」はこのほど、「2025年の東南アジアで最も素晴らしい島トップ8」を発表した。ベトナムからは、北部紅河デルタ地方ハイフォン市のカットバー島が...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved