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夫に火をつけられ生死をさまよった女性、復活までの2年間

2021/04/18 05:25 JST配信
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 「数か月ぶりに息子たちがそれほどまで喜ぶ姿を見て、私はやっぱり生きたいと思いました。また健康な身体になって、2人の息子たちの世話をしたいと強く感じたんです」とガンさんは当時を回想した。

 ガンさんが夫に面会するために拘置所へ行った日、夫もまた火傷を負ったことに気付いた。うつむいて泣いていた夫は、ガンさんの目を見ようともしなかった。その時ふと、長い間抱えていた夫への恨みが消えていった。

 「もしこの痛みをずっと両手に抱え続ければ、やがて疲れ果ててしまう。子供たちの手を取り、別の喜びをつかむために、この痛みを手放そうと思いました」とガンさん。ガンさんの家族は夫に極刑を望んでいたものの、ガンさんは後日こっそりと夫の減刑を嘆願した。

 裁判の日、ガンさんの提出した減刑嘆願書のおかげで、夫には禁固16年の判決が下された。それからガンさんの気持ちは軽くなり、火の海の夢を見ることもなく、よく眠れるようになった。

 2人の子供たちへの心理的な影響を懸念し、また自分自身もより穏やかな生活を望み、ガンさんは子供たちを連れて新しい生活を始めることに決めた。そして2020年のテト(旧正月)間近の旧暦12月27日の夜遅く、家族3人でホーチミン市に向かうバスに乗り込んだ。

 「雨の中で街灯が灯り、スーツケースの横で2人の息子たちが眠りにつく姿を見て、私自身も11歳の時に同じような状況でホーチミン市に向かった日のことを突然思い出しました。小さい頃から働き、仕立て屋になり、洋服屋の店主になり、2か所のインターネットカフェを経営し、土地を購入して家を建てることができました。健康である限り、失ったものは必ず取り戻すことができるのだと信じています」とガンさんは語る。

 テトが明けると、ガンさんは2人の子供を学校に通わせ、自身は自宅近くの縫製工場で働き始めた。初夏の暑い日差しの中、トタン屋根の工場の中はとても暑く、まだ傷跡が完全に治癒していなかったガンさんは皮膚に痒みを生じたため、自宅で仕事をさせてもらえるよう頼んだ。

 しかし火傷を負った腕では以前のようにミシンを操作することができず、最初の1か月間はすっかり動かなくなった手でミシンを操作することに時間を費やし、生活を賄うだけの賃金を稼ぐことができなかった。それでも子供たちがお腹を空かせることのないよう、ガンさんは深夜まで働き、さらに航空券や商品のオンライン販売も始めた。

 7回の手術の後、懸命なリハビリの甲斐もあり、ガンさんの身体の収縮は徐々に治り、柔軟さを取り戻していった。ちょうどその頃、多くの人がフェイスブック(Facebook)で歌いながら商品を宣伝しているのを見て、ガンさんも歌が上手な障害を持つ友人を何人か誘って、ライブ配信で歌いながら商品の宣伝と販売を始めた。

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