ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

おしゃれに生まれ変わったタイヤサンダル、今に残る職人の技

2021/08/15 10:56 JST配信
(C) tuoitre
(C) tuoitre 写真の拡大
(C) tuoitre
(C) tuoitre 写真の拡大

 古タイヤを再利用してサンダルを作るという職業はこの数十年間でめっきり少なくなったが、ベトナムのタイヤサンダルブランド「ブアゼップロップ(Vua Dep Lop=「タイヤサンダル王」の意)」を展開するゼップカオスー・ドットコム・グループ(Depcaosu.com Group、ハノイ市)の最高経営責任者(CEO)であるグエン・ティエン・クオンさんは、タイヤサンダルを生まれ変わらせ、多くの人々に広めている。今やタイヤサンダルはベトナムが困窮していた時代の不格好で重い履物ではなく、用途が広く個性的なファッション商品になりつつある。

 ブアゼップロップの職人であるグエン・バン・チュオンさんが、大きくて鋭いノミのような特殊な刃物を石鹸水に浸してからゴムに切り込みを入れると、大きく固いゴムの塊が2つに分かれた。ブアゼップロップでは、大型トラックのタイヤのほかに航空機のタイヤも扱っている。長年にわたるタイヤサンダル製作の経験から、これらのタイヤは最も耐久性がある一方、最も扱いにくいものでもあるという。

 以前、ブアゼップロップでは材料を確保するため、東北部地方クアンニン省から廃棄タイヤを丸ごと購入していた。1つ1つのタイヤはとても重く、職人たちは協力してタイヤの解体作業を行っていた。しかし今は、タイヤの解体の工程は別の工場に依頼し、サンダル製作に使うゴムの部分だけを購入するようになった。

 チュオンさんは、北部で最後のタイヤサンダル職人とされていたファム・クアン・スアンさんの20人の弟子の1人だ。チュオンさんは以前、ハノイ市ハンボー通りにあったチュオンソン・タイヤサンダル生産会社で働いていたが、1985年に会社が解散し、ゴム製のサンダルは次第にプラスチックや革のサンダルに置き換わっていった。それに伴い、タイヤサンダル製作の仕事もほとんどなくなっていった。

 会社の解散後、チュオンさんは印刷工場で働いたがそれも辞め、生活費を稼ぐために職を転々とした。当時はタイヤサンダルと縁を持ち続けることになるとは予想もしていなかったという。

 後に師匠のスアンさんの義理の息子であるクオンさんがタイヤサンダル工場を復活させると、チュオンさんも誘われて再びタイヤ加工の技術を学ぶようになり、そしてホー・チ・ミン博物館の中庭にある小さな工場を任された。

 チュオンさんはそこで客の要望に沿ってサンダルの製作と修理を行いつつ、最も重要な仕事として博物館を訪れる観光客に向けてタイヤサンダルの製作過程を実演している。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により博物館を訪れる観光客はほとんどいなくなってしまったが、チュオンさんを含む20人の職人たちは今も勤勉に仕事を続けている。

前へ   1   2   3   次へ
[Tuoi Tre 12:00 02/07/2021, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
党員の2人っ子政策廃止、子供3人以上でも処分なし (6:21)

 ベトナム共産党中央監査委員会は20日、党組織・党員の違反処分に関する政治局の規定第69号-QD/TWを具体化するガイダンス第15号-HD/UBKTTWを発出した。ガイダンスは即日施行された。  これにより、3人以上の...

ビンファスト、フィリピンJIGAと提携 修理店100か所開設へ (5:59)

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電気自動車(EV)メーカーであるビンファスト(VinFast)は25日、フィリピンのMGA.414コーポレーション(MGA.414 Co

中国の吉利汽車、ベトナム市場参入で3モデル発表 (5:56)

 中国の自動車大手の吉利汽車(ジーリー=Geely Automobile)は、ベトナム市場に正式参入し、「クールレイ(Coolray)」、「モンジャロ(Monjaro)」、「EX5」の3車種を発表した。  「クールレイ」はBクラスのスポ...

チュオンサ諸島海戦で犠牲になった夫を37年間想い続ける妻 (23日)

 今から37年前の1988年3月14日、チュオンサ諸島(英名:スプラトリー諸島、中国名:南沙諸島)海戦でベトナムと中国の両海軍が衝突し、中国がベトナムからガックマー岩礁(英名:ジョンソン・サウス礁、中国名:赤...

ダナン:自転車専用レーンを備えた歩道の運用開始 (4:32)

 南中部沿岸地方ダナン市は24日、タンロン(Thang Long)通りで実施していた、ハイチャウ区のアジア公園(cong vien Chau A)からカムレ区境までの歩道改修工事を完了し、運用を開始した。  これは、ダナン市共...

25年の科目別世界大学ランク、ベトナムの9校が8科目でランクイン (4:05)

 英国のタイムズ紙(The Times)が発行する高等教育情報誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション(The Times Higher Education)」が先般発表した「2025年度版の科目別世界大学ランキング(World University Rankin...

老舗洋食レストランの三笠会館、ホーチミンに出店 初の海外店舗 (3:12)

 飲食店舗事業や惣菜弁当事業などを手掛ける株式会社三笠会館(東京都中央区)は25日、三笠会館として初となる海外店舗「三笠ジャパニーズ洋食レストラン(Mikasa Japanese Yoshoku Restaurant)」をホーチミン市に...

フェイガー、ゲアン省当局と水田プロジェクト推進で覚書 (2:06)

 農業由来のカーボンクレジット創出に取り組むスタートアップである株式会社フェイガー(東京都千代田区)は、北中部地方ゲアン省農業農村開発局との間で、水田でのカーボンクレジット創出を目指すプロジェクトを...

米国が無償援助の爆発物処理訓練場、ハノイで竣工 (26日)

 ハノイ市で24日、爆発物処理訓練場の竣工式が開催された。在ベトナム米国大使館がベトナム国家地雷対策センター(VNMAC)に無償援助した。建設費は70万USD(約1億0500万円)余り。  竣工式には、ベトナム側から...

ホーチミン:集合住宅での事業活動、試験的許可を提案 民泊など (26日)

 ホーチミン市1区経済部のズー・クアン・ギア副部長はこのほど、同市人民委員会のグエン・バン・ドゥオック主席との会合で、1区内の一等地に位置する集合住宅での事業活動を試験的に許可するよう提案した。 ...

音声アシスタント利用者の割合、ベトナムは世界8位 (26日)

 グローバルなクリエイティブ・エージェンシーである英国のウィーアーソーシャル(We Are Social)とソーシャルメディア分析ツールを提供する米国のメルトウォーター(Meltwater)が発表した報告書「デジタル2025グ...

財務問題で休校の国際学校、「詐欺・資産横領」で保護者が捜査要請 (26日)

 給与未払いを不服とした教員らによるストライキを受けて休校となったアメリカン・インターナショナルスクール・ベトナム(AISVN、ホーチミン市ニャーベー郡)の問題をめぐり、生徒約1400人の保護者を代表する責任...

イオンエンターテイメント、ベトナムで映画館開業へ 地場と協業 (26日)

 日本全国に「イオンシネマ」96劇場を運営するイオンエンターテイメント株式会社(東京都港区)は13日、ベトナムで安価なシネコンチェーン「ベータ・シネマズ(Beta Cinemas)」を運営するベータ・メディア(Beta Med...

大手自動車メーカーのタインコンG、クアンニン省で工場竣工 (26日)

 地場大手自動車メーカーであるタインコングループ(Thanh Cong Group)は26日、東北部地方クアンニン省ハロン市のベトフン工業団地内でタインコン・ベトフン自動車製造工場の竣工式を開催した。これは、省内初の...

日本の看護師国家試験でベトナム人30人が合格、EPA累計224人に (26日)

 日本の厚生労働省が発表した第114回看護師国家試験結果によると、経済連携協定(EPA)に基づき日本が受け入れた看護師候補生の中から、ベトナム人30人が新たに看護師国家試験に合格した。  これにより、初年...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved