ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

映画「COME & GO カム・アンド・ゴー」日本公開、小野美由紀(作家)×リム・カーワイ(映画監督)対談

2021/11/21 10:30 JST配信

 アジア9か国・地域のキャストが出演するリム・カーワイ監督作「COME & GO カム・アンド・ゴー」が、11月19日に日本で公開された。この映画は、中国、香港、台湾、韓国、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ネパール、日本の9か国・地域の人たちが、様々な環境の中、大阪の地でサバイブする実像を描いた158分のノンストップ群像劇だ。

 ベトナムからは、2020年に日本でも公開されたベトナム映画「ソン・ランの響き(原題:Song Lang)」で主演を務めたリエン・ビン・ファット(Lien Binh Phat)が出演し、印刷会社で働く技能実習生を演じている。

【旅する作家&映画監督】小野美由紀(作家)×リム・カーワイ(映画監督)対談


 ジャパンプレミア上映となった2020年東京国際映画祭で本作を観た作家の小野美由紀さんが、Twitterで「もう一度見たい。」と呟いたのがきっかけだった。それを見たリム監督が会いたいと連絡を取り、対談が実現。そもそも就職活動から逃避し旅に出て作家になった小野美由紀さんと、東京でのサラリーマン生活から映画監督の道を志し北京電影に入学したリム監督。旅や人との距離感から物語を紡ぎ出すふたり。旅好きという共通点もあり、話は多国籍の人々が増える日本の未来についてまで広がった。



リム)よくベトナムに行くんですか?

小野)ベトナムは大好きで、もう5回ぐらい行っています。ダナンとか中部の街が好きで。リエン・ビン・ファットさんの大ファンです。今回「カム・アンド・ゴー」も彼が目当てで映画祭に観に行ったらすごく面白かった。

リム)ファットさんに感謝ですね。僕もバックパッカーで旅をしながら映画を撮っていますが、こういう生活を始めたのは中国に行ってからですね。北京電影で映画の勉強をしたんですけど、その前には東京でサラリーマンをしていたんです。更にその前は留学生でした。当時は日本とマレーシア以外には行ったことがなかった。会社を辞めて中国に行き、向こうでフリーランスで働くようになって、経済的に不安定ですけど、その代わり時間は余ってるわけで。北京にいた頃も国内をバックパッカーして回ったのですが、初めて中国以外のところに行ったのは実はベトナムなんですよね。

小野)そうなんですか!

リム)マレーシアと同じ東南アジアですけど、ベトナムには行ったことがなかった。その時は、北京からチベット、雲南省を経由してベトナムに入ったんですよ。北から南まで。その後、タイを経由してマレーシアに帰ったんですけど。陸路で初めてベトナムに行った時は、とても面白くて。

小野)マレーシアと全然文化が違いますよね。

リム)全然違いますね。二回目はマレーシアからベトナムに入って南から北へ。だからベトナム詳しかったけれど、10年ぐらい前の話で。一昨年、ファットさんを訪ねてベトナムに寄ったんですよ。彼とも会ったんですが、びっくりしましたよ。かなり都会に変わっていた。

小野)そう!10年でも全く変わりましたよね。ホーチミンですか?

リム)ファットさんを訪ねたのはホーチミンですが、その前はダラットとかダナンも行って。ホイアンも、とても好きでした。

小野)カーワイ監督はマレーシアのどちら出身なんですか?

リム)クアルランプールです。

小野)じゃあ、都会っ子ですね。それで都会を転々とされて。北京の生活はいかがでしたか?

リム)北京は大都会ですね。僕が行ったころは2004年頃ですけど、行ったことはありますか?

小野)ないです。上海は行きましたが。

リム)上海もすごいですよね。北京と上海の違いですけど、北京は道路が広くて、なんでも大きいですね。レストランだと100席以上あるのが当たり前で、道路だと8車線。たぶん上海も2車線ですよね。広くて大きくて、初めて北京に住んだ時にびっくりしましたね。あと北京は人が面白いですね。上海、よく行きましたか?

小野)二回行って、主に中心部のショッピング街にずっといたんですけど。

リム)上海は都会的で洗練されてて、外国人が多い。外国人に憧れて、街全体もそういう風になろうとしてる。北京の場合は、外の影響を頑固に拒否し続ける街というイメージがあります。北京が世界の中心と考えている人が多くて、面白いですよ。

小野)確かに文化とかアートの中心ですもんね、北京って。そういう意味でも選民意識みたいなものがあるのかしら。

リム)そうそう!でも上海の人もそうですよね?

小野)どこの都市の人も、自分の街にはプライドを持ってるのかも。カーワイさんはご自身が都会っ子だからなのか、都市を描くのがやっぱり好きなんですか?

リム)そうですね…ちょうどこの映画(「COME & GO カム・アンド・ゴー」)も大阪が舞台の都会の映画ですね。でも、田舎でも映画は作りたいと思ってます。一作目の映画は北京で撮ったんですが、郊外の話です。二作目は香港で作ったんですが、それもランタオ島のホテルを舞台にして作った映画です。言わなければ香港で撮ったというイメージがないと思います。

小野)日本人はあまり知らないですよね?

リム)はい。ランタオ島にもいろいろ村がありまして、漁村の映画ですよね。だから必ずしも都会の映画ばかり作っているわけではないですね。

小野)たまたま今回は都市の人間関係を撮りたかったわけですね。監督が映画で撮りたいと思ってるものって、何ですか?抽象的な質問ですが。

リム)自分の場合は、まず場所ありきと考えていて。今回大阪を舞台にしてますが、さっきの香港の島の映画も、たまたま旅行で行って、物語が起こったら面白いんじゃないかなという発想があって作っていったんですよ。僕にとって、その場所に生きる人々の話を作りたいという気持ちが強いですよね、自分が惹かれる場所。

小野)土地によってインスピレーションが湧いてくるという感じですかね?東ヨーロッパやロシアを旅したと聞いたんですけど、やっぱり魅力を感じますか?

前へ   1   2   次へ
[2021年11月20日 ベトジョーニュース A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
この記事に関連するおすすめの記事
新着ニュース一覧
社会体験アプリ開発のキッズスター、ベトナム子会社を設立へ (3:50)

 ファミリー向け社会体験アプリ「ごっこランド」の開発・運営やイベントの企画・運営などを手掛ける株式会社キッズスター(東京都渋谷区)は、ベトナムに同社100%出資子会社を設立する。  ベトナム子会社「キ...

「ベトナムテト祭りinさいたま2025」、1月25日・26日開催 (2:26)

 埼玉県の大宮駅前にある鐘塚公園(埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-7-8)で、1月25日(土)・26日(日)の両日、「ベトナムテト祭りinさいたま2025(Tet Viet Saitama 2025)」が開催される。主催は一般社団法人在さいた...

ホーチミン市メトロ1号線ベンタイン駅の「巨人警備員」 (19日)

 ホーチミン市都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~スオイティエン間)ベンタイン駅の警備員であるフイン・ファット・ダットさん(男性・26歳)は、その熱意と思いやりで乗客から愛されている。  「QRコードで改...

ハノイの別荘カフェ、恐竜骨格模型の展示で人気に (18日)

 ハノイ市バーディン区ランハ(Lang)通りの路地に最近オープンした別荘カフェ「30Days Cafe」は、店内に恐竜の骨格模型を展示するというユニークなアイデアが話題となり、連日多くの客で賑わっている。オープンし...

ハノイ東部オーシャンシティで過去最大の春祭り、1月18日から (18日)

 ハノイ市の東部に位置する新都市区「オーシャンシティ(Ocean City)」で、1月18日(土)から3月16日(日)まで、東部ライトアップフェスティバル2025が開催される。同フェスティバルでは、計580のイベントと1000か所...

ホーチミン:25年テトの花火打ち上げ、市内15か所で (18日)

 ホーチミン市は、2025年の旧暦元旦にあたる1月29日(水)の午前0時から15分間にわたり、市内15か所でテト(旧正月)を祝う打ち上げ花火を実施する。  15か所のうち2か所では上空の高い位置で、他の13か所では上...

ホーチミン:ジャパン・ポップアップショップ、1月21日まで開催 (17日)

 日本貿易振興機構(ジェトロ)のベトナム輸出支援プラットフォームは、1月9日(木)から1月21日(火)までの13日間にわたり、ホーチミン市1区のショッピングセンター「サイゴンセンター(Saigon Centre)」5階レストラ...

24時間営業カフェチェーン「Three O’Clock」、インドにFC展開 (17日)

 インドのフラングローバル(FranGlobal)は、◇インド、◇ネパール、◇スリランカ、◇バングラデシュの4か国における24時間営業の地場カフェチェーン「スリー・オクロック(Three O’Clock)」の独占フランチャイズ(FC)...

ダナン:第2ソフトウェアパークのICTオフィスビル落成 (17日)

 南中部沿岸地方ダナン市人民委員会は16日、同市ハイチャウ区トゥアンフオック街区(phuong Thuan Phuoc)にある第2ソフトウェアパーク内のICTオフィスビル「ICT1」を落成した。  今回開業した「ICT1」は8階建...

ビンG会長所有のレンタカー会社、ビンファスト製中古EV売買を開始 (17日)

 電気自動車(EV)のレンタカーサービスを提供するフォー・グリーン・フューチャー(For Green Future=FGF)は15日、中古EV売買サービスを開始した。  同社は地場系コングロマリット(複合企業)

タイビン省:フン省党委副書記が省人民委主席に就任 (17日)

 15日に開かれた北部紅河デルタ地方タイビン省人民評議会の会議で、同省共産党委員会のグエン・マイン・フン副書記が同省人民委員会の新主席(2021~2026年任期)に選出された。  フン新主席は、先日に同省共...

聖徳大学、ハノイの20-10幼稚園と連携協定を締結 幼児教育発展へ (17日)

 聖徳大学(千葉県松戸市)とハノイ市の20-10幼稚園はこのほど、ベトナムにおける幼児教育の発展に向けた連携協定を締結した。  20-10幼稚園は、1963年に設立された歴史のある公立の幼稚園で、300人を超える園...

ユニファースト、ホーチミンに駐在員オフィス開設 (17日)

 オリジナル販促品・ノベルティ製作やSPグッズ製作、OEM生産を手掛けるユニファースト株式会社(東京都台東区)は、東南アジアにおける生産拠点の拡充を目的として、ホーチミン市に駐在員オフィスを開設した。 ...

原子力発電所、30年までに稼働目指す 首相指導 (17日)

 ファム・ミン・チン首相は15日、原子力発電所建設指導委員会の初会合を主宰した。首相はこの席で関係者に対し、2030年までに原子力発電所を竣工・稼働するよう指導した。  目標を確実に達成すべく、関連機...

24年の訪日ベトナム人62.1万人、初の年間60万人超え (17日)

 日本政府観光局(JNTO)が発表した統計によると、2024年12月の訪日ベトナム人の数は前年同月比+8.0%増の4万人だった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行以前の2019年同月比では+30.7%増。12月としては過...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved