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ホーチミンのバックパッカー街、華やかさの裏で貧しく暮らす人々

2022/11/06 10:23 JST配信
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 最近は物価が高騰し、生活費もさらにかかるようになった。毎月皆で節約して過ごさなければならず、4~5人が寝るところでも扇風機は1台しかつけない。電気代と水道代は30万VND(約1760円)程度だが、食費や浸水で壊れたものの修繕費などに多くのお金がかかる。

 「家族の皆で少しずつ毎月の生活費を出し合っています。その月にお金がない人の分は別の人が払うというように、お互いに補填し合いながら長年やってきました。私たち一家は貧困世帯なので、慈善団体がお米や食糧を提供してくれるときには、当局から連絡をもらって受け取りに行くんです。支援がない月は、お米を買うために他のものを節約しなければなりません」とタムさん。

 2021年7月に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で亡くなった兄の遺影を見上げて、タムさんはこう語る。「家も狭いので、家庭内感染は避けようがなく、全員感染しました。不運にも兄は病院で亡くなりました」。

 夢について尋ねられると、タムさんもクックさんも黙り込んだ。なぜなら、他の家族のように温かく平穏な生活を送るということしか今まで考えたことがなかったからだ。

 「明日何を食べるか考えるだけで精いっぱいなのに、遠い夢のことを考える暇なんてありません。家があって、日差しや雨を避けられるだけでも幸せなことです。今はただ、安心して生活できるように、雨漏りするところを修繕するためのお金があればそれで充分です。他の人たちには帰ることのできる故郷がありますが、私たちにはありません。ここが故郷だから。皆、大変ならどこかへ移ったらいいのにと言いますが、そんなに簡単なことだったら私たち11人はこうして苦労していませんよ」とタムさんは話した。

 ブイビエン通りの地元の人々の中には、あまりの貧しさからこの場所を離れることを選んだ人もいれば、クックさんやタムさんたちのように、貧しい生活を送りながらも60年以上もこの場所にしがみついているという人もいる。

 この場所に残っている人々にとって、苦労しつつもここで生きて行くということが身体に深く染み込んでおり、この場所を離れたところで、「水を離れた魚」のようにどうやって生きていけばよいのかわからなくなってしまうのだ。

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