ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

暗闇を抜け出し司会者に、視覚障がいを持つ9X世代の女性

2023/01/15 10:33 JST配信
(C) vnexpress
(C) vnexpress 写真の拡大
(C) vnexpress
(C) vnexpress 写真の拡大

 自信と幸せが暗闇に飲み込まれてしまわないよう、ザンさんは暗闇の中に喜びを見出す方法を学んだ。他の人の助けを待つ代わりに、自分から積極的に周りの人とのつながりを築こうとした。「暗闇は怖くありませんでした。なぜなら、暗闇のおかげで光が見えるから」とザンさん。

 ザンさんは今まで、視覚障がい者であることで後悔したり、劣等感を抱いたり、苦しんだりしたことはないという。「誰もが生まれながらに完全な人間であり、ただ自分が大多数とは違うだけ」という考えで、健常者と同じように生きようとあえて努力することもなく、皆と同じ環境で視覚障がい者として生きることを受け入れてきた。

 ザンさんが人生を受け入れようと心を開いたとき、自然と司会者の仕事がザンさんに巡ってきた。ベトナムの声放送局(VOV)でルポルタージュの手伝いを経験した後、編集委員たちはザンさんの訴える力に才能を見出し、番組を任せることにした。ザンさんの初めてのラジオレポートは、彼女が日々の生活をどのように感じ、見ているのかをリスナーに説明する内容だった。「小さな頃から音を通じて人生を視覚化してきたので、ラジオ番組の仕事はそこまで難しくありませんでした」とザンさんは語る。

 2017年になると、ベトナム国営テレビ局(VTV)3チャンネル(VTV3)などでの番組を通して、ザンさんがVTVの司会者になる機会が徐々に開かれていった。「ラジオからテレビの仕事に変わることで必要になるスキルも増え、最初の頃はとても大変でした」とザンさんは当時を思い出す。

 最初、ザンさんがどのカメラを見ればよいのかわからず困っていたところ、カメラマンたちは手を叩くことでザンさんが見るべきカメラを教える方法を考えついた。このほか、ザンさんはボディランゲージを使うことも困難だった。

 課題に直面したザンさんは、スタッフとうまく連携するのと同時に、自分が自立して仕事をする能力があるということを再び証明しなければならなかった。ザンさんはスタジオでうまく立ち回れるよう、ハイヒールを履いて歩く練習、カメラのレンズを見てアイコンタクトを取る練習、聞きやすい発声の練習をしたほか、正しい姿勢が取れるようモデルのスキルを習得するなど、できることから始めていった。

 「視覚障がいのない人たちにとってハイヒールを履くことはそれほど大変なことではないと思いますが、私はつま先の小さな部分が地面に触れるだけということに不安を感じていたんです」とザンさん。恐怖を克服するため、ザンさんは「3か月間、毎日2時間」という練習スケジュールを立て、粛々とこなした。徐々にハイヒールを履いて立ったり歩いたりできるようになり、同時に他のスキルも習得していった。

前へ   1   2   3   次へ
[VnExpress 10:00 10/10/2022, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
ベトナムのリゾート市場、既存資産への再投資が成長主導 (15:59)

 英系総合不動産サービス会社のサヴィルズ(Savills)傘下のサヴィルズ・ホテルズ(Savills Hotels)によると、ベトナムのリゾート市場は転換期に入っている。観光需要が堅調に推移する一方、ホテルの新規供給は減速...

カインホア省:第1ニントゥアン原発、住民移転計画承認 (15:06)

 南中部地方カインホア省人民委員会は、同省(旧ニントゥアン省)で計画されている第1ニントゥアン原子力発電所プロジェクトのサブプロジェクト1「土地収用・住民移転計画」を承認した。  サブプロジェクト1は...

ソニー・ミュージック、地場イエーワン傘下企業の株49%取得へ (14:30)

 地場系大手総合メディア会社イエーワングループ[YEG](YeaH1 Group)は、ソニー・ミュージックエンタテインメント香港(ソニー・ミュージック香港=Sony Music Entertainment Hong Kon

湖の上の「越僑集落」、カンボジアから帰国した人々の暮らし (14日)

 東南部地方ドンナイ省ディンクアン村のスオイコー地区に面するチアン湖では、カンボジアから帰国した越僑(在外ベトナム人)150世帯以上が、電気も上水道もない水上家屋で暮らし、網漁で日々の生計を立てている。...

カラオケの騒音に最大1.2万円の罰金、昼夜問わず適用 (14:06)

 家庭内暴力の防止や社会秩序の維持に関する行政罰を定めた政令第282号/2025/ND-CP(12月15日施行)によると、騒音を伴い、他人の生活に影響を与えるカラオケ行為は、最大200万VND(約1万1770円)の罰金を科される可...

SEA Gamesサッカー、ベトナムが劇的逆転勝ちで金メダル (13:56)

 タイで開催中の第33回東南アジア競技大会(SEA Games 33)は12月18日に、男子サッカー競技の決勝が行われ、U-22ベトナム代表が開催国U-22タイ代表を3-2で下して2大会ぶり4度目の金メダルに輝いた。ベトナムは前半...

ベトジェット会長、「25年の影響力のある人物」に2年連続選出 (13:10)

 英ライフスタイル誌「タトラー(Tatler)」が発表した「2025年の影響力のある人物」に、格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)のグエン・ティ・フオン・タオ会

リックソフト、地場ビープラス・ソフトウェアと資本業務提携 (13:01)

 テクノロジーソリューション事業などを手掛けるリックソフト株式会社(東京都千代田区)は、エンタープライズソフトウェア開発およびアトラシアンベースのソリューション統合を専門とする地場ビープラス・ベトナ...

ホーチミン:メトロ1号線、運行開始1年で1895万人利用 (6:26)

 ホーチミン市都市鉄道(メトロ)管理委員会(MAUR)によると、2024年12月22日に運行を開始した同市メトロ1号線(ベンタイン~スオイティエン間)は、運行開始から約1年が経過した12月15日時点で、累計7万8194本を運行...

ハノイ:旧市街に初の地下駐車場を建設へ (6:02)

 ハノイ市人民委員会は、旧市街における初の地下駐車場計画として、ホアンキエム街区のフンフン・バットダン公園に建設予定の地下駐車場について、縮尺500分の1の計画を承認した。  予定地は、北西がフンフ...

ガバメント効率性指数25年版、ベトナムは120か国中48位 (5:18)

 シンガポールのチャンドラー・ガバナンス研究所(Chandler Institute of Governance=CIG)は、120か国の政府の能力と成果を測定した「チャンドラー・グッド・ガバメント・インデックス(Chandler Good Government...

丸紅と浜松市、アマタシティ工業団地の優遇措置で協定 (5:04)

 丸紅株式会社(東京都千代田区)と静岡県浜松市は、浜松市内企業の海外における事業展開を支援することに合意した。  同協定は、丸紅がアジア地域で展開する工業団地に浜松市内の企業が入居する際に優遇措置...

中部の豪雨被災地、年内に住宅修繕完了 「クアンチュン作戦」実行 (4:25)

 ファム・ミン・チン首相は17日、ベトナム中部で発生した記録的な豪雨・洪水により住宅が倒壊・損壊・流失した住民に向けて、住宅の再建・修繕を行う「クアンチュン作戦」の実施を促した。  「クアンチュン...

25年11月の新設外資企業322件、前年同月比+20% (4:20)

 各省・市の計画投資局のデータによると、2025年11月に全国で新規設立された外資企業および支店、営業所、駐在員事務所の数は前月比▲22.0%減、前年同月比+20.2%増の322件で、うち会社が309件、営業所が12件、...

セルプロジャパンとSMC、ベトナム向け再生医療事業展開で提携 (3:12)

 D2C×サブスクリプション事業やメディカルサポート事業を手掛ける株式会社Waqoo(東京都世田谷区)のグループ会社で、再生医療関連事業を行うセルプロジャパン株式会社(神奈川県藤沢市)は、日本の医療技術の...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved