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午前5時。木魚の音が響くと、東北部地方タイグエン省タイグエン市ティンドゥック村の「タイハイ村」にある30軒の高床式住居に明かりが灯る。住民たちは身支度を済ませ、共同の台所に集まり朝食をとる。
「22年前から、200人以上の住民全員が1日3食を共にしているんです」と語るのは、タイハイ村に暮らすノン・ティ・ハオさん(女性・60歳)だ。
朝食後、住民たちはそれぞれの分担に従って作業に取り掛かる。ハオさんと夫のハー・バン・キウさん(男性・62歳)は、ダイトゥー郡ラーバン村に行き、お茶の葉を摘んで製茶する。婿は木工を、娘と嫁は村内でのサービスのサポートを担う。
このほかにも、酒造りや蜜蝋の採取、家畜の飼育や農作業に従事する人もいる。5歳未満の子どもは村内の幼稚園に通い、小中学生と高校生は誰かに送迎してもらうか自力で通学する。
午前11時、木魚の音が再び響くと、昼休みの合図だ。住民たちは昼食のためにまた共同の台所に集まる。
ハオさんによれば、以前は大皿を囲んでいたが、今ではそれぞれの仕事に合わせて個別の配膳スタイルに変わった。それでも、昔ながらの習慣を守って全員がそろうまで食べないという人も多いという。
午後7時以降には各家庭がそれぞれの住居に戻り、家族団らんの時間を過ごす。
「タイハイ村の特徴は、『同じ鍋から食べ、同じ財布からお金を使う』という原則です」とハオさんは話す。ここでは、自分に合った仕事を自由に選ぶことができる。例えば、ハオさん夫妻は茶摘みと製茶を担当し、他の人が販売して、得た収入は共同の財源に納められる。この仕組みにより、製茶に酒造り、漢方の調合、家畜の飼育、観光サービスといった各家庭の収入が、1つの共有財源に集約されるのだ。
この共有財源は村長とその他数人によって公開管理され、日々の食費から水道光熱費、仕事用資材、住宅の修繕、子どもの学費、医療費、冠婚葬祭費用まで、住民たちのすべての生活費を賄っている。
携帯電話やパソコンなど個人で使用する物品が必要な場合は、村長と評議会に申請し、許可を得る。住民の誰も、購入品の価格をうらやんだり、貢献度の差を比較したりすることはない。