ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
RSS
Login
 ようこそ ゲスト様 
VietJo ID

自閉症の人々が働く「幸せの店」

2025/07/27 10:26 JST配信
(C) VnExpress
(C) VnExpress

 「自閉症の人の脳はまっすぐに物事をとらえるので、嘘や比喩、社交辞令は通じません」とチュンさんは話す。しかし、そのフラットな世界観は、しばしば健常者の複雑な現実と衝突する。チュンさん自身も何度もこの問題に直面してきた。

 2018年のテト(旧正月)間近のころ、チュンさんが1階で仕事をしていると、上の階から物音が聞こえた。3階に駆け上がると、目の前の光景に震撼した。床にはプラスチックの破片やコード、割れたモニターが散乱し、10台のノートパソコンが粉々になっていた。

 「色々な感情が渦巻きましたが、私を包んでいたのは恐怖でした。あんなふうに財産が破壊された光景を目撃したのは初めてでしたし、しかもその当事者の姿がどこにもなかったんですから」とチュンさんは当時を回想する。

 事件を起こしたのは、母親の出張中に一時的にチュンさんのもとで暮らしていた、ホーチミン市在住の自閉症児のビン君だった。事件の後、チュンさんは2階のバルコニーの手すりの外側に立っているビン君を見つけた。ビン君の目に生気はなく、足元には壊れた鉢植えと机と椅子が転がっていた。

 チュンさんはすぐに店を閉め、食事を注文して、何事もなかったかのようにビン君と座って食べた。ビン君は一言も説明することなく、黙ったままだった。その夜、チュンさんは眠れず、必死で原因を探った。

 直感で、恐らくビン君は疲れてしまったのに、休みたいと言葉で伝えることができなかったのではないかと感じた。「大きな代償を払うことになった初めての過ちは、私が自閉症の人たちの健康状態と許容範囲を見誤ったことでした」とチュンさんは語る。

 こうしたいくつかのつまずきを経て、チュンさんの会社は従業員に対して心理的により配慮するようになった。例えば、従業員の1人で、自宅から職場まで自転車で通勤しているラムさんには、職場に到着して仕事を始める前に10分間の休憩を与えている。また、唯一の女性であるチャムさんには、他の男性の同僚よりも優しく接している。

 自閉症の人は、1人ひとりまったく異なる。家庭環境や生活習慣、さらには天候さえも影響を与え、問題を引き起こす可能性がある。

 クアン・アインさんは、4年前に入社した日、精神的なストレスから髪の毛の半分以上が白髪になっていた。入社したばかりのころは悪態をつき、物を壊し、人前で失禁していた。

 その理由を尋ねると、「悪いことが好きだから。悪いことなら傷付かないでしょ」と答えた。その答えに、チュンさんは胸が張り裂ける思いだった。傷ついたことがある子供が、憎しみを学び、棘のある殻で自分を守っていたのだ。この新入社員をトレーニングするため、チュンさんは自ら役を演じることを選んだ。

前へ   1   2   3   次へ
[VnExpress 06:00 03/06/2025, A].  © Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースと自社過去記事を参考に記事を編集・制作しています   利用規約   免責事項
新着ニュース一覧
訪越の高市首相、ベトナム首脳と会談 経済安保の優先協力を確認 (2日)

 ベトナムを訪問中の高市早苗内閣総理大臣は2日、ハノイ市でレ・ミン・フン首相およびトー・ラム書記長 兼 国家主席とそれぞれ会談した。  両会談では、日越間の「包括的戦略的パートナーシップ」を一層強化...

TikTokで大流行、往年の名曲に乗せてベトナムのバインミー絶賛 (2日)

 動画投稿プラットフォーム「ティックトック(TikTok)」で、欧米などの外国人観光客を中心に、ベトナムの国民食であるバインミーへの愛を表現する「Stand Banh My(スタンド・バインミー)」というトレンドが広がっ...

エアバスA320を操縦体験、ホーチミンの体験型カフェが人気 (2日)

 ホーチミン市フーニュアン街区(旧フーニュアン区)にあるカフェ「ザ・フライトデッキ(The Flight Deck)」には、エアバス(Airbus)A320型のフライトシミュレーターが設置されており、飛行機の操縦体験ができるとし...

国旗掲揚台にはためく巨大な旗を20年縫い続ける職人、誇りと継承 (4/26)

 過去20年近くにわたり、北中部地方クアンチ省のヒエンルオン・ベンハイ国旗掲揚台にはためく国旗はすべて、省内に暮らす平凡な職人の丁寧な手作業によって縫い上げられてきた。国旗の大きさは約80m2と巨大だ。 ...

ホーチミン市博物館の秘密の地下通路、見学エリア拡大し再公開 (1日)

 ホーチミン市サイゴン街区のホーチミン市博物館にある広さ1400m2の秘密の地下通路が、半年の改修を経て再オープンした。今回、見学可能な部屋や展示物が追加された。 約150mに拡張された見学ルート  か...

中国コンビニの美宜佳、ベトナム進出 新ブランド「オーミー」展開 (1日)

 シンガポール系調査会社モメンタム・ワークス(Momentum Works)によると、中国のコンビニ最大手である美宜佳(メイイージアー=Meiyijia)が東南アジア市場に進出し、ベトナムとマレーシアに新ブランド「オーミー(...

4月30日の南部解放記念日と5月1日のメーデーに読みたい記事9選 (4/30)

 今から51年前の1975年4月30日、サイゴンの南ベトナム大統領官邸(現在のホーチミン市の「統一会堂」)の正門に2台の戦車が突入し、サイゴンが陥落しました。これにより、長く続いたベトナム戦争が終結しました。 ...

ホーチミン:メトロ2号線延伸や新行政センターなど一斉起工 (4/30)

 ホーチミン市で29日、南部解放・南北統一51周年(1975年4月30日~2026年4月30日)を記念し、重点4事業の一斉起工式や、カンゾー国際積み替え港プロジェクトの投資家承認決定の交付式が開催された。  これらの...

ベトジェットエア、ハノイ~静岡線を運航開始 週3往復 (4/29)

 国内最大手の格安航空会社(LCC)ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は28日、ハノイ市と静岡県を結ぶ初の直行便を就航した。  同日に静岡空港で開かれた記念式典に

ホーチミン:南部解放記念日の花火で4月30日夜に交通規制 (4/29)

 ホーチミン市警察交通警察部(PC08)は、51周年を迎える南部解放記念日(1975年4月30日~2026年4月30日)を祝う花火の打ち上げに伴い、4月30日(木)の夜に市内の複数の道路で交通規制を実施すると発表した。 中心...

世界最大の水族館が誕生へ、ハロンの巨大海洋都市に建設 (4/29)

 不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)の子会社で住宅開発最大手ビンホ

電気料金の計算時間帯を変更、夜間が「ピーク時」に移行 (4/29)

 商工省は、国家電力システムのピーク時間帯、オフピーク時間帯、通常時間帯を調整する決定を公布した。  注目すべきは、ピーク時間帯を全て夜間に移行したことで、新規定によれば、ピーク時間帯は毎日17時3...

ビンG、時価総額で東南アジア4位に急浮上 ベトナム企業初 (4/29)

 不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)の株価が急騰し、時価総額が東南アジア第4位に浮上した。ベトナム企業が同地域のトップグループに入るのは初だ。

THACOと韓国現代ロテムが提携、メトロ向け無人運転車両を提供へ (4/29)

 鉄道車両や軍用兵器などを生産している韓国の現代ロテム(ヒョンデロテム=Hyundai Rotem)はこのほど、地場系コングロマリット(複合企業)チュオンハイグループ(Truong Hai Group=THACO)と、ホーチミン市都市鉄...

ラム書記長と豪首相が電話会談、包括的・戦略的関係を深化 (4/29)

 トー・ラム書記長 兼 国家主席は24日、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相と電話会談を行った。両首脳は、両国関係が実質的に発展していることを歓迎し、あらゆる分野における協力を一層強化して...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2026 All Rights Reserved