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北中部地方タインホア省在住の写真家であるレ・テー・タンさん(男性・1988年生まれ)はこの3年間、同省サオバン村の国道47C号線沿いにある小さな写真店で、約500枚もの戦没者の写真を無償で復元し、多くの遺族の思い出をよみがえらせてきた。
もともとタンさんは、約20年の経験を持つウェディングフォトグラファーだった。あるとき、父親や元兵士たちが北中部地方クアンチ省にあるクアンチ古城での壮絶な戦闘の日々について語るのを聞き、写真の復元という仕事に取り組むことを決めた。
兵士たちの英雄的な犠牲や、埋め合わせようのない喪失の物語を聞いたタンさんは、苦しみに胸を締め付けられ、感謝を込めて何か意味のあることをしなければという衝動に駆られた。そして、戦場で亡くなった人々への静かな追悼として、戦没者の写真を完全に無償で復元することにした。
タンさんにとって、1枚1枚の写真は単なる芸術作品ではなく、物語であり、思い出であり、大切によみがえらせるべき記憶のかけらでもある。「復元した写真を受け取った遺族が感動している様子を見ると、ものすごく幸せな気持ちになります」とタンさんは話す。
タンさんによれば、古い写真、特に戦没者の人物写真を復元するには、経験や技術だけでなく、綿密さと繊細さも求められるという。単に色や顔の輪郭を直すだけでなく、その写真に「魂」を吹き込むことで、生前の兵士の雰囲気や強さを再現する必要がある。