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「家にいてどうするの?市場に来れば、少ししか売れなくたって誰かしらと会えるでしょう。自分はまだ取り残されてないと思えるんです」とナムさんは話す。
半世紀以上にわたって存在するニティエンドゥオン市場は、粗末な屋台が並んでいたころから、改修を経て今に至るまで、このエリアの変遷を目の当たりにしながら、昔ながらの「サイゴンの市場」の雰囲気を保っている。
ナムさんいわく、かつては毎朝数百食のおこわを売っていた時期もあるが、今では数十食しか売れない。それでも、「おこわを売らなかったら、誰も私を『おこわのナムさん』と呼んでくれなくなるでしょう?この呼び名こそが、私の人生なんです」とナムさんは話す。
ホアさんも同じだ。市場はホアさんが商売を始めた場所であり、子供を育てた場所でもある。「辞めたとしたら、どうやって生きていけばいいのやら。だから、売れなくても市場に来るしかないんです」。
夕方になると、だんだんと行き交う人もまばらになり、商人たちは片付けを始める。ナムさんは残ったおこわを担いで狭い借家に帰り、翌朝2時からの仕込みに備える。ホアさんは靴を整理して、店を閉める。
都会の慌ただしい時の流れの中で、こうした人々の人生は続いていく。豊かさを求めるわけではない。ただ生きるのに足りるお金が稼げればいい。翌日も早起きする理由があればいい。そして、市場で自分の人生を生きていければいいのだ。
ニティエンドゥオン市場
ニティエンドゥオン市場は、ホーチミン市ビンドン街区(旧8区)ホアンミンダオ(Hoang Minh Dao)通りの、ニティエンドゥオン橋のそばに位置する。1960年代に誕生し、タウフー・ベンゲー運河沿いのにぎやかなエリアとともに発展してきた。当初は近隣に暮らす労働者が利用する小さな市場だったが、徐々に拡大し、旧8区の主要な商売の地となった。
現在、市場では数百の店が軒を連ね、生鮮食品に加えて安価な日用品、衣料品などが並んでいる。また、麺料理やチェー(ベトナム風ぜんざい)など、南部メコンデルタ地方の庶民料理も人気だ。朝から晩まで営業しており、観光客は少なく、主に地元民が利用している。
スーパーマーケットや卸売市場が増えたことで、以前ほどのにぎわいはないが、今もなお多くの商人が生計を立てている。この市場は、ホーチミン市の川沿いの生活と素朴な伝統的な市場と結びついた、人々の記憶の一部として生き続けている。

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