ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

【第22回】~子ども白書 「幼稚園の給食」

2024/02/24 10:00 JST配信

今回は給食についてお話ししたいと思います。

幼稚園は週5日間毎日給食を幼稚園で提供しています。子どもたちが喜ぶ献立としてキャラクターメニューやジャンクフード的内容ではなく、どんなメニューを成長期の子どもたちに提供したらいいか毎月配布する献立メニュー検討会議を行っています。会議のポイントは

・1週間のうち同じ食材や同じ調理法が重なっていないか

・盛り付けた時の色合い(お弁当を作る時の注意と同じです。赤・緑・黄色がバランスよく入っているかどうか。これで栄養も偏らないと考えています)

・月曜日から金曜日までのメニューの多様性を考える

・メニューがマンネリにならないように新しいメニューの検討

・行事に合わせたメニュー(こどもの日・七夕・お月見・クリスマス・ひな祭りなど)

・子ども達が参加できるクッキングメニュー

など話し合いながら、月の献立を決めていきます。

例 6月の献立

VN:ベトナム料理 JP 和食 IN:インターナショナルメニュー

<Ozora給食のこだわり点>

*食材の調達はダラットのThien Sinh Farmさんからの調達で、毎週1回、直送していただいています。

子どもたちの味覚は敏感です。本当に糖度がある野菜類にはそのままパクッと食べることができます。素材の味が美味しいということは基本中の基本です。

*質の良い調味料

 特に気をつけたいものは油です。すぐに使わないと酸化してしまうので保管方法にも工夫が必要です。橋谷氏によりますと油の中の糖質成分と脂質成分が脳の炎症を引き起こしやすいと言われているとの事です。サラダ油、キャノーラ油ではなく幼稚園はナタネ油を使用しています。ココナッツオイルも良いようですが子どもたちの給食には使用しておりません。

*子どもたちの調理参加ができるメニューの模索

 とうもろこしの皮剥き、レタスの葉っぱちぎりなど年少組でも手でちぎれる作業を入れています。もちろん野菜を切るなど年齢に応じて包丁を使って、作業ができるメニューを考えます。

子どもたちが自分たちの畑で栽培し収穫したものを使う経験、自分たちで調理したものを食べる経験ができるメニューを考えています。

<分子栄養学からの学び>

1月保護者会で「子どもが人生を生き抜くレシピの専門家」橋谷圭伊子氏による子ども達の集中力を引き出す食事改善のリモート講演会を行いました。認知症の老人や発達障害や不登校の子どもたちにどんな栄養素が足りないかを考え、メニューを変えて、数週間経つと元気になったり、普通に生活ができるようになったという事例を伺いました。

献立メニューは私たち教諭で考えていますが、橋谷先生の事例から今抱える子どもの課題に向き合い、意識を持ってレシピを作っていくことで子ども達の行動が変わることを保護者も、幼稚園も共に学ぶことができました。

このことを参考にそれまでは献立表はメニューのみを載せていましたが、日常の食事への振り返りができるようなメッセージも載せるようにしました。例えば

*朝食をとっていますか?

*タンパク質を意識しましょう。

*味噌汁は栄養の宝庫です。

*橋谷氏からのアドバイス(一部抜粋)

『味噌汁は栄養の宝庫と言えるほど、具材の工夫で多様な栄養が摂取できます。腸内環境を整えてあげることもできるのです。

元気になる朝食=お米+おかず(タンパク質類・野菜・海藻など)+味噌汁

学習能力に差が出ることがすでに立証されているそうです。朝ごはんをパンのみで済ませているご家庭は要注意です。水分量が圧倒的に少ない事で脳の発達へのリスクが高いそうです。

また腸内環境も大事です。私達の腸は栄養素を消化・吸収するだけでなく、腸内細菌によって合成されたビタミンなどを吸収して体内に運ぶ働きがあります。そのため、腸の状態が悪くなってしまうと、ミネラルやビタミンなどの必須栄養を吸収したり、他の栄養素を合成したりすることが出来なくなります。そうすると体全体が栄養不足となり、免疫力も低下してウイルスなどに感染しやすくなります。』

給食は家庭の食生活と共にあり、その子に合わせた栄養を考え、それによって子ども達の健全な身体と精神を成長させていくことを助ける[子育て支援]でもあるということを改めて感じています。

  • 栄養コンサルタント 橋谷圭伊子

    アメリカの分子矯正医学(分子栄養学)を基に、不妊で悩む女性の体質改善から子供のアレルギー、妊娠中の栄養指導、多忙なビジネスマンのための健康管理秘書業務など、日本の健康創りに貢献することを目的として活動している。

    NPOがんコントロール協会所属/不妊カウンセラー学会会員

著者紹介
多々内三恵子
おおぞら日本人幼稚園理事長・園長。

タオディエン日本人幼稚園園長。

静岡大学教育学部附属幼稚園・青山学院幼稚園教諭を経てホーチミンで日系幼稚園を開園。

日本の保育を真摯に、かつユニークに展開中。

子どもの世界の面白さを語ったら止まらない。

>> おおぞら日本人幼稚園ウェブサイト

>> タオディエン日本人幼稚園フェイスブックページ
子育て奮闘中のパパママにエール!
その他の記事はこちら>
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
ベトナムの25年EC市場規模、成長率で世界トップ10入り (24日)

 商工省によると、2025年の電子商取引(eコマース=EC)市場規模は前年比+25%増の約310億USD(約4兆9000億円)となる見通しだ。小売売上高に占める比率は約11%で、デジタル経済全体の約3分の2を占めるなど、ベトナ...

ベトナム企業、ピエール・カルダンのカナダ事業を買収 (24日)

 イーモール・ベトナム(Emall Vietnam)はこのほど、フランス発祥のファッションブランド「ピエール・カルダン」のシューズ部門「ピエール・カルダン・シューズ(Pierre Cardin Shoes)」のカナダ事業を買収した。 ...

ブラジル、ベトナムと特恵貿易協定(PTA)交渉開始 (24日)

 ブラジル政府は20日、同国のフォス・ド・イグアスで開催されたメルコスール(南米南部共同市場)首脳会合で、ベトナムとの間で特恵貿易協定(PTA)交渉を開始したと発表した。議長国を務めるブラジルのマウロ・ヴィ...

ホーチミンの路上のライター修理店、愛好家の駆け込み寺 (21日)

 ある日の午後、60代と思われる男性が、壊れたデュポン(Dupont)製のライターを手に、ホーチミン市チョロン街区グエンチーフオン通りを訪れた。男性は、ファム・バン・コーさん(男性・72歳)の店である、古びて傾...

ホーチミン:顔面の巨大腫瘍切除手術に成功、チョーライ病院 (24日)

 ホーチミン市チョーライ病院は18日、男性患者の顔面にできた重さ950gの腫瘍の切除手術に成功したと発表した。腫瘍は顔面と耳の外見に深刻な影響を与え、圧迫による難聴も引き起こしていた。術後の患者の健康状...

ハノイ:無人航空機で医薬品輸送、試験飛行を実施 国内初 (24日)

 ハノイ市のドゥックザン総合病院は20日、直線距離で約8km離れたザーラム総合病院まで無人航空機(UAV)を使って医薬品を輸送する試験飛行を実施した。  ドゥックザン病院は、ハノイ市人民委員会から医療目的...

ホーチミン:メトロ2号線、約200m延伸 メトロ1号線と接続 (24日)

 ホーチミン市人民委員会は、同市都市鉄道(メトロ)2号線(ベンタイン~タムルオン間)について、路線計画および関連施設の位置の調整方針を承認した。調整後のメトロ2号線は、ベンタイン駅側に約200m延伸し、メト...

商工省、トレーサビリティ管理システム運用開始 (24日)

 商工省は23日、製品情報の透明化や消費者保護、企業の持続的発展の支援を目的として、公式ウェブサイト<www.verigoods.vn>でトレーサビリティ管理システムの運用を開始した。  同システムは

ホーチミン:豚肉を化学薬品で「牛肉」に偽装、7人逮捕 (24日)

 ホーチミン市警察は、豚肉を化学薬品で加工し、「牛肉」として販売していた大規模な偽装食肉の製造・流通ルートを摘発したと発表した。  同ルートの7人が食品の偽装・販売容疑で逮捕された。このうち、レ・...

VIETJOベトナムニュース、2026年ベトナム祝祭日カレンダー公開 (24日)

 VIETJOベトナムニュースは、毎年ご好評をいただいております「ベトナム祝祭日カレンダー」の2026年版を公開いたしました。  このカレンダーは、ベトナム

ゲアン省:絶滅危惧種のアジアゴールデンキャットを初めて撮影 (24日)

 北中部地方ゲアン省のプーホアット自然保護区の責任者であるグエン・バン・シン氏は17日、生きた野生のアジアゴールデンキャット(ベトナム語名:ベオルア=Beo lua、学名:Catopuma temminckii)の姿をカメラト...

地場PC1グループ、日本ハイフォン工業団地の第2期を着工 (24日)

 北部紅河デルタ地方ハイフォン市で19日、日本ハイフォン工業団地(旧称:野村ハイフォン工業団地)の第2期の起工式が行われた。  同プロジェクトは、第1期の拡張事業にあたり、国内トップブランドの電力工事業者

進和、ベトナム現地法人をハノイに設立へ (24日)

 金属接合・産業機械関連商品・製品の販売などを手掛ける株式会社進和(愛知県名古屋市)は、ベトナム現地法人をハノイ市に設立する。  進和は、2000年に設立したタイ子会社の進和インテック(SHINWA-INTEC)と...

ハノイ:ホアンキエム湖周辺でカウントダウンイベントを開催 (24日)

 ハノイ市人民委員会はこのほど、2026年のカウントダウンイベント開催を承認した。カウントダウンイベントは、2025年12月31日(水)午後7時から2026年1月1日(木)午前0時まで、ホアンキエム街区ドンキンギアトゥッ...

25年GRDP成長率、ホーチミン+8.3% ハノイ+8.5% (23日)

 2025年におけるホーチミン市の域内総生産(GRDP)成長率は+8.3%と推定され、ベトナム経済の牽引役としての地位を引き続き示した。これは先般開かれた同市共産党委員会の会議で発表されたレポートの中で明らかに...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved