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金融市場:株式市場
ベトナムの証券市場では、ホーチミン証券取引所(HSX、2000年設立)とハノイ証券取引所(HNX、2005年設立)の2か所が政府の管理下で運営されている。証券市場開設当初の出来高は非常に少なく、2005年年初の時点で上場社数は25社程度だったが、その後上場企業数が大きく増加した。
ベトナムの証券市場の特徴として、国営企業や公社・公団系企業(およびその子会社・関連会社群)の民営化の実験場としての色彩が強いということが挙げられる。株式の上場と同時に政府持ち株を外部に売り出し、株の放出で得られた資金を国家財政に充当するというのが通例になっている。一方、規模は小さいものの純粋な民間企業が今後の更なる成長のために上場するという例も近年に大きく増加している。
2023年1月12日現在、両市場に計758社が上場しており、時価総額合計は約24.9兆円、日本の株式市場で言えば、時価総額2位のソニーグループの時価総額の1.8倍、時価総額1位のトヨタの時価総額より小さい規模となっている。2022年の大納会を迎えた12月30日のVNインデックスは前年末比▲32.78%下落の1007.09で一年を締めくくった。同時点のHSXの時価総額は前年末比▲31.2%減の4017兆VNDとなり、2011年以降で初めて減少に転じた。
この背景として、◇銀行の預金金利が同年に高水準に引き上げられ預金の魅力が上昇したことを受け、一部の投資家が株式市場から資金を回収したこと、◇株価急上昇後の調整、◇担保割れ株式の大きな売り圧力、◇世界経済がベトナムに与えるリスクと課題の増加、◇株価操作や架空増資など、FLCグループ[FLC](FLC Group)やFLCファロス建設[ROS](FLC Faros)をはじめとする複数の上場企業での違反が相次いで摘発され役員らが逮捕されたことが投資家の心理にマイナスに影響したこと、などが挙げられる。
◆ VN-index: ホーチミン証券取引所株価指数の推移
ソース:TradingView
◆ HNX-Index: ハノイ証券取引所株価指数の推移
ソース:TradingView
(本記事は、「ベトナム株・経済情報」に掲載している「ベトナムのマクロ経済と金融市場」を項目ごとに配信するものです。)