ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

縫合なく傷口を塞ぐ「生体接着剤」の動物実験に成功

2019/08/15 04:13 JST配信
(C) vnexpress.net
(C) vnexpress.net 写真の拡大.

 ホーチミン市国家大学傘下国際大学医用生体工学部長のグエン・ティ・ヒエップ博士(女性・38歳)が、2013年から6年にわたる研究を経て、縫合することなく皮膚の傷口を塞ぐことができる生体接着剤の動物実験に成功した。

 接着剤は傷口の止血や殺菌、治癒などに使われる家庭用救急医薬品として試験段階にあり、豚を使った実験に成功し、今後は人体実験に移る見込み。研究チームは接着剤の膝関節への注入やがん患者の組織再生などに用いる研究を続けている。

 接着剤はヒアルロン酸とキトサンの粉末からなり、水にさらされると接着剤になり傷口を塞ぐことができる。市場で販売されている創傷治療製品は一時的なもので除去する必要があるが、この生体接着剤は塗付したままでよく、失われた組織になり代わる効果がある。接着剤の特性はヒアルロン酸とキトサンに銀やクルクミンナノ粒子(ウコン)などの他の成分を追加して、用途に合わせた医薬品を作ることができる点だ。

 ヒエップ博士によれば、接着剤の使用方法はとても簡単で、農村や漁村、山岳地域など病院へ直ぐに行けない地域でも傷口に塗付することで止血や殺菌ができ、病院を受診するまでの応急処置として用いることができるという。また接着剤の原料であるキトサンはエビやカニの殻に豊富なことからベトナムでも入手が簡単で生産コストを抑えることができるため経済的だ。

 この画期的な研究には高額な研究費を要し、ヒエップ博士はこれまでに米国の団体から20億VND(約930万円)の支援を受けた。接着剤を商品化するには大規模な実験やライセンスの取得が必要になるため、ヒエップ博士は多くの人がこの研究に関心を示し、支援が得られることを期待している。

 ヒエップ博士はホーチミン市国家大学傘下自然大学で化学を学んだ後、韓国の順天郷大学校で博士課程を修了。2012年から国際大学で生体医工学を教えている。また、シンガポールの科学誌「アジアン・サイエンティスト(Asian Scientist)」がこのほど発表した「アジアの科学者トップ100人(2019年版)」のマテリアルサイエンス(材料科学)分野に選出されたほか、2017年にASEANと米国国際開発庁(USAID)、UL社の共催による第3回受賞者ASEAN-US女性科学賞、2018年に「ロレアル・ユネスコ女性科学賞」を受賞している。

[vnexpress.net 05:03 8/8/2019, T].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
国会、ザービン国際空港プロジェクトの実施を承認 (5:39)

 国会は11日、北部紅河デルタ地方バクニン省で計画されているザービン国際空港建設プロジェクトの投資方針を承認する決議を採択した。投資総額は約196兆3780億VND(約1兆1600億円)となる見通しだ。  同空港は...

日越の環境省、企業の温室効果ガス排出量の透明性向上へ (4:13)

 日本の環境省は、ベトナム農業環境省とコ・イノベーションのための透明性パートナーシップ(PaSTI)を通じた活動内容に関するオンライン会議を行った。  民間企業の透明性向上に向けて、ベトナムの温室効果ガ...

FPTとSCSK、新会社を設立 レガシーシステムの課題解決に貢献 (4:00)

 ベトナムIT最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)は、日本法人のFPTジャパンホールディングス株式会社(東京都港区)を通じて、ビジネスに必要なすべてのITサービスをフルラインア

車いすでピックルボールに打ち込む人々 (7日)

 グエン・バン・フアンさん(男性・40歳)は毎週、東北部地方クアンニン省からハノイ市まで100km以上の道のりを三輪バイクで走り、ピックルボールに打ち込んでいる。フアンさんにとって、ピックルボールは障がいへ...

スプリックス、ハノイ工科大学傘下研究所と教育協力で覚書締結 (3:10)

 学習塾および教育関連事業を手掛ける株式会社スプリックス(東京都渋谷区)は4日、ハノイ工科大学(HUST)傘下のデジタル技術経済研究所(BK Fintech)との間で、ベトナムでの展開において協業関係にあるカオピーズ(K...

ホーチミン:新暦正月に市内4か所で打ち上げ花火 (2:36)

 ホーチミン市は、2026年の新暦正月を祝う打ち上げ花火の実施を計画している。打ち上げ花火は2026年1月1日(木)の午前0時から15分間にわたり実施する予定だ。  計画によると、◇サイゴン川トンネル入り口(アン...

国会、テクノロジー関連の法律6本を可決 初のAI法など (11日)

 国会は10日と11日、テクノロジー分野に関する複数の法律を可決した。可決されたのは、◇人工知能(AI)法、◇知的財産法の一部を改正・補足する法律、◇技術移転法を改正・補足する法律、◇改正ハイテク法、◇電子商取...

国会、改正個人所得税法を可決 控除額拡大・金地金取引に課税など (11日)

 国会は10日、改正個人所得税法を賛成多数で可決した。同法は4章・30条から成り、2026年7月1日に施行する。  同法では、給与・賃金に係る個人所得に対する累進課税を、現行の5%刻みの7段階(5~35%)から5~...

バクニン省のドンホー版画、ユネスコ無形文化遺産に登録 (11日)

 インドの首都ニューデリーで9日に開かれた国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産保護条約政府間委員会で、ベトナムの北部紅河デルタ地方バクニン省のドンホー版画がユネスコ無形文化遺産リストに登録され...

国会、サイバー安全保障・国防関連の複数の法律を可決 (11日)

 国会は10日、サイバー安全保障および国防・治安分野に関する複数の法律を可決した。  可決されたのは、◇サイバーセキュリティ法、◇改正国家機密保護法、◇治安・秩序に関する10本の法律の一部を改正・補足す...

ホーチミン:グエンフエ通りに24時間営業の書店が誕生、市内初 (11日)

 ホーチミン市中心部のグエンフエ(Nguyen Hue)通りの歩行者天国に、市内初となる24時間営業の「眠らない書店」が誕生した。書店チェーン「フオンナム(Phuong Nam)」を展開するフオンナム

韓国ポスコフロー、ベトナム現地法人を設立 物流網強化 (11日)

 韓国ポスコ(POSCO)グループの物流会社であるポスコフロー・タイランド(POSCO FLOW(THAILAND))はこのほど、タイのバンコクとベトナムのホーチミン市に物流事業を行う現地法人を設立した。  ベトナム法人を設...

在越日系ブロックチェーンワーク、ホーチミン市経済金融大学と提携 (11日)

 ホーチミン市を拠点とする日系ブロックチェーン人材コミュニティプラットフォームのブロックチェーンワーク(BlockchainWork)は5日、ホーチミン市経済金融大学(UEF)との間で、戦略的協力に関する覚書(MOU)を締結...

国会、人口法を可決 第2子出産で産休延長・社会住宅優先 (11日)

 国会は10日、人口法を賛成多数で可決した。同法は8章・30条で構成され、2026年7月1日に施行される。  同法には、代替出生率(長期的に現在の人口規模を維持できる出生率)の維持を目的とした複数の措置が盛り...

ドンナイ省:メトロ1号線のロンタイン空港延伸、投資総額3600億円 (11日)

 東南部地方ドンナイ省人民評議会は10日、ホーチミン市都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~スオイティエン間)を同省の新行政センターおよび建設中のロンタイン国際空港まで延伸する計画を承認した。  ドンナ...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved