ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

ベトナム人労働者が日本への派遣に難色、新型コロナと円安で

2022/05/25 05:20 JST配信
(C) vnexpress
(C) vnexpress 写真の拡大.

 ベトナム人労働者の日本への送り出しを行う多くの企業で、人材を確保できない状況が発生している。

 ビエンドン労働輸出サービス商業(Estrala)では、日本でショベルカーの運転業務に従事する男性を8人募集している。基本給4000万VND(約22万1000円)、勤務1日8時間、週休2日、未経験可、最終学歴中卒以上、健康状態良好で18~35歳、身長160cm以上という条件で、派遣にかかる初期費用の80%は銀行から融資を受けられる。

 だが、この1週間でこの求人について問い合わせる電話は10本以上かかってきたが、「労働者が熱心に話を聞くので、私たちとしては採用できたと思うのですが、最終的には、『もう少しコロナの様子を見てから決めます』という回答ばかりです」とEstrala社のグエン・テー・ダイ副社長は言う。ほかにも食品、塗装、木工、機械、溶接など、基本給3000万~4000万VND(約16万6000~22万1000円)になる150あまりの職種で労働者が集まらない。

 ダイ氏によると、コロナ前はひとつの求人について2週間もあれば人が集まったが、今は日本から依頼があっても労働者を送り出せる日を確約できなくなっている。一部の顧客には、インドネシアやミャンマーからの人材確保に切り替える例も出てきているという。

 サイゴン国際サービス(Saigon Inserco)でも、日本で機械、型枠工事、水産物、5つ星ホテルなどで働く200人あまりを募集し、給料は概ね3000万VNDあまり、地域や職種によっては4000万VNDになり残業代や手当もつくが、各地の職業紹介センターと連携し、SNSをフル活用し、各地方に赴いて就職相談会を実施してもなお、人材を採用できない。

 Saigon Inserco社のズオン・ティ・トゥー・クック社長は、このような状態が発生している第一の原因に、コロナがまだ収束していないために労働者とその家族が不安を抱えていることを挙げる。労働者には、遠い国に働きに出るのではなく、感染症が広がればすぐに帰って来られる場所で働きたい心理がある。

 一方でSuleco Manpower社のレ・ミン・トゥイ社長は、外国に働きに出たい労働者の最大の目的は、家族を助けるお金を稼ぐことであり、日本円が下落する一方でベトナム国内では物価が急速に上がっており、得られるものが以前のように大きくないため、労働者が考え直し始めていると分析する。

 このほかトゥイ氏は、ベトナム国内企業が人材採用を強力に実施し始めたことも挙げる。各企業の人事部が各地方の家々を訪ねて、良好な福利厚生と給料を提示して採用を行っている。「病気に対する怖さもあって、家の近くで働くことができる国内での就職を優先する傾向が労働者に強まっています」とトゥイ氏は話した。

 なお、ベトナム大手ウェブメディア「VNエクスプレス(VnExpress)」のこの記事に対しては、日本で働いたことがあるという人などを含め、「4000万VNDは額面であって、ここから税や各種費用を差し引かれるため手取りは半分またはそれ以下になる」、「給料4000万VNDで日本で働くならベトナムで働いた方がまだマシ」といった読者からのコメントが投稿されている。

【関連記事】

労働省、在日ベトナム人実習生の住民税と所得税の免除要請 円安で収入3割減 (2022/09/26)
「不法就労に賛成」根底に貧困…当事者家族の心理 (2022/09/07)
JICA報告、ベトナムの労働生産性はASEAN最下位グループ (2022/09/07)
日本から帰国した技能実習生、就労割合は26.7% (2022/08/31)
不法滞在して海外で働く理由は「収入の内外格差」、7~10倍も (2022/08/26)
日本で働くベトナム人の収入、円安で大きく目減り (2022/07/13)
日本で働くベトナム人に「物価上昇」と「円安」のダブルパンチ (2022/06/23)
労働省がアイム・ジャパンと覚書、期日通り帰国の技能実習生に起業支援金 (2022/06/21)

[VnExpress 05:00 22/05/2022, F].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
ハノイ:大気汚染対策を強化、ドローン導入など 休校も検討 (6:02)

 ハノイ市人民委員会は、大気汚染の深刻化を受け、市内の農業残渣の野焼きやごみ焼却などの取り締まりを強化することを目的として、ドローンによる監視措置と、粉じんを抑制するための噴霧装置を導入する方針を...

11月のベトジョー記事10選:自然災害被害報告など (5:52)

 ベトナムでは自然災害が頻発しており、1~11月期の自然災害による死者・行方不明者は409人に上り、経済的な被害額は85兆VND(約5000億円)と推定されています。  また、11月には、観光不動産開発を手掛けるサ...

11月のベトジョー記事アクセス数ランキング (5:03)

 VIETJOベトナムニュースが11月に配信した記事のアクセス数ランキングをご紹介します。 1位:有名女優を逮捕、社長務めた不動産会社で資産横領の疑い

貧しい人々の「最期の眠り」を見届けて20年、無償で葬儀を行う男性 (11/30)

 ホーチミン市ニャーベー村には、貧しい人々や身寄りのない人々の最期を見送ることに人生のすべてを捧げてきた男性がいる。  地元の人々は、ニャーベー村74集落の長であるレ・バン・サンさんを、親しみを込...

第1回日越外務・防衛次官級協議、安全保障分野の協力具体化 (4:22)

 東京で4日、第1回日本・ベトナム外務・防衛次官級協議(次官級2+2)が開催された。この協議は、4月に行われた石破茂元内閣総理大臣とルオン・クオン国家主席による日越首脳会談において、両国間の戦略的意思疎通...

三菱自動車、ベトナムでミッドサイズSUV「デスティネーター」発売 (4:02)

 三菱自動車工業株式会社(東京都港区)は1日、ベトナムにおいて、新型ミッドサイズスポーツ用多目的車(SUV)「デスティネーター」の販売を開始した。  今後は、他のASEAN地域や南アジア、中南米、中東、アフリ...

ワイエムジー、フンイエン技術師範大学とエンジニア育成協定を締結 (3:06)

 オートローダーやロボットシステムなどの自動化装置の設計・製作・販売を手掛ける株式会社ワイエムジー(愛知県豊橋市)は11月19日、北部紅河デルタ地方フンイエン省のフンイエン技術師範大学との間で、ロボティ...

日豊建設、ベトナム現地法人をホーチミンに設立 (2:43)

 アスファルト舗装工事や各種舗装工事などを手掛ける日豊建設株式会社(大阪府豊中市)は、ベトナム現地法人「日豊ベトナム(Nippou Vietnam)」をホーチミン市に設立した。  同社は、現地での事業拡大を目指し...

ホーチミン:メトロ1号線、25年1~6月期は8.4億円の赤字 (4日)

 ホーチミン市都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~スオイティエン間)を運行する同市メトロ1号線有限会社(HURC1)は、2025年1~6月期の監査済み財務諸表を公表した。報告によると、同期の税引後利益は▲1420億VND(...

ホーチミン:1日型デイサービスモデルの発展を奨励 (4日)

 ホーチミン市保健局はこのほど、日帰り利用の1日型デイサービスモデルの発展を奨励すると発表した。サービスの多様化を図って高齢者の心身の支援ニーズに応えるとともに、家族の負担を軽減することを目的として...

韓国系コンビニ「GS25」、400店舗達成 韓国製品に特化した戦略 (4日)

 コンビニエンスストア「GS25」を運営する韓国のGSリテール(GS Retail)はこのほど、ベトナムで展開する店舗数が400店舗に達したと発表した。  GSリテールは、2018年にホーチミン市に1号店を出店し、ベトナム...

中国人観光客、ベトナムでQRコード決済が利用可能に (4日)

 中国人観光客は2日から、ベトナム国内で越境QRコード決済「ベトQRグローバル(VietQRGlobal)」を通じて、日常的に利用しているモバイル決済アプリでQRコード決済ができるようになった。  小売店、飲食店、商...

動画配信「Clip TV」がサービス終了へ、約20年の事業に幕 (4日)

 動画配信サービス「Clip TV」が、12月31日をもってサービスを終了する。  これは、公式ウェブサイトとアプリで発表されたもので、スマートフォンやスマートテレビ向けのオーバー・ザ・トップ(OTT)サービス...

ベトナム人がよく使うパスワード、「123456」が最多の190万件 (4日)

 パスワードマネージャーを提供するノードパス(NordPass)は、流出したログイン情報を基にパスワードの利用動向をまとめた。調査によると、ベトナムでは「123456」が約190万件と最も多く使われており、その数は2...

エネルギー分野の国家重点事業を承認、原発は30~35年稼働開始 (4日)

 ブイ・タイン・ソン副首相は、2035年までに実施するエネルギー分野の国家重点事業を承認する首相決定第2634号/QD-TTgに代行で署名した。  エネルギー分野の国家重点事業リストには、電源事業32件(火力発電2...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved