ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

武装グループによる省庁舎襲撃事件、逮捕者47人に 反政府組織がSNSでデマ流布も

2023/06/15 17:43 JST配信
(C) vnexpress
(C) vnexpress 写真の拡大.

 南中部高原地方ダクラク省クークイン郡(huyen Cu Kuin)で11日早朝、小銃などで武装した2つのグループが、エアティエウ村(xa Ea Tieu)とエアクトゥル村(xa Ea Ktur)にある共産党委員会や人民評議会、人民委員会の庁舎を併設した施設を同時に襲撃した事件を背景に、在外ベトナム人が率いる在外反政府組織「ベトナム更新革命党(ベトタン=Viet Tan=越新)」をはじめとする反政府組織がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などを通じてデマを流布して国民を不安に陥れたり、国の政策や当局の対応を歪曲したりするなどして心理戦を展開している。

 同事件をめぐり、反政府組織らは「事件の原因は地元当局が住民の土地を違法に収用したことにある」などと偽りの理論を作り出し、ダクラク省の地元当局を批判する方向に世論を誘導しているようだ。SNS上には合成の動画や画像、事実無根の情報が大量に投稿され、憶測などのコメントが続出している。

 当局は国民に対し、インターネットなどでニュースや記事、写真、動画を閲覧したり、共有したりする前に、そのウェブサイトやアカウントの信頼性や合法性をよく確認するよう勧告している。同事件をめぐり、事実でない情報を投稿した複数人が特定され、罰金処分を受けている。

 同事件では、複数の警察官や公務員、住民らが襲われ、このうちエアティエウ村とエアクトゥル村の警察官4人、エアティエウ村のグエン・バン・ズン共産党委員会副書記 兼 人民委員会主席、エアクトゥル村のグエン・バン・キエン共産党委員会書記 兼 人民評議会主席の計6人(いずれも男性)が殉職した。さらに地元住民3人が殺害され、警察官2人が重傷を負った。人質にされた住民3人のうち、2人は警察によって救出され、1人は自力で脱出した。

 これまでの捜査によると、ダクラク省と南中部高原地方ザライ省在住の50人以上の容疑者らは海外移住と金銭の支給を交換条件として、クークイン郡の畑にある小屋に集合した。容疑者らは小銃や刃物、火炎瓶、手榴弾などを渡され、11日午前1時ごろに2つのグループに分かれてエアティエウ村とエアクトゥル村の庁舎を同時に襲撃した。庁舎内に押し入ると、銃や手榴弾で攻撃し、火炎瓶で施設を放火した。容疑者らはその後、外に移動し、路上で通行人を小銃や刃物、火炎瓶で殺害した。

 14日午後までに逮捕者は47人に増えた。容疑者の大半は当局者によって逮捕され、残りは自首した、または地元住民によって身柄を拘束されて当局に移された。

 当局は引き続き逃走した残りの容疑者の行方を追っている。

 なお、南中部高原地方は、少数民族による反政府組織「フルロ(FULRO=Front Unifie pour la Lutte des Races Opprimes=被制圧民族闘争統一戦線)」の活動地域だったことで知られる。フルロは、少数民族が多い同地方で、独立運動を起こすべく1964年に結成された。

 フルロは、ベトナム共和国(1955年~1975年に軍事境界線(北緯17度線:現在の北中部地方クアンチ省に位置)以南に存在した国家=南ベトナム)時代から独立を企てていたが、南北統一後も運動を続け、1992年に解散。組織のメンバーらは、難民として米国に移住したとされる。

 その後、反政府組織「正義主張山岳地帯人民(Montagnards Stand For Justice=MSFJ)」が、フルロの元メンバーやその関係者とコネクションがある者らによって2019年に新たに結成され、現在も独立運動を続けているが、今回の事件との関連性は不明だ。

[Cong An Nhan Dan 07:21 15/06/2023 / Tuoi Tre 17:11 14/06/2023, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
4月のベトジョー記事10選:トランプ関税、石破首相訪越など (6:43)

 4月は、ドナルド・トランプ米大統領が、世界各国からの輸入品に対し「相互関税」を課すと発表しました。180以上の国・地域に一律10%の関税を課した上で、国・地域ごとに異なる税率を上乗せし、ベトナムに対し...

4月のベトジョー記事アクセス数ランキング (5:01)

 VIETJOベトナムニュースが4月に配信した記事のアクセス数ランキングをご紹介します。 1位:200年の歴史を有する毒ヘビ養殖村、高収入も危険と隣り合わせ

4月30日の南部解放記念日と5月1日のメーデーに読みたい記事8選 (4/30)

 今から50年前の1975年4月30日、サイゴンの南ベトナム大統領官邸(現在のホーチミン市の「統一会堂」)の正門に2台の戦車が突入し、サイゴンが陥落しました。これにより、長く続いたベトナム戦争が終結しました。 ...

1975年4月30日、統一会堂でベトコンの旗を振った兵士の記憶 (4/27)

 1975年4月30日、特殊部隊の兵士だったファム・ズイ・ドー上尉(男性・75歳)は、南ベトナム大統領官邸(現在のホーチミン市の「統一会堂」)の2階に駆け上がり、南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)の旗を何度も振っ...

ベトナム軍事歴史博物館、南部解放記念日に伴う5連休は入館無料 (4/30)

 ハノイ市ナムトゥーリエム区にあるベトナム軍事歴史博物館は、4月30日(南部解放記念日)と5月1日(メーデー)に伴う4月30日(水)から5月4日(日)までの5連休中の入館料を無料とすることを決めた。  今回の決定は...

世銀、ベトナムの25年GDP成長率予想を+5.8%に下方修正 (4/29)

 世界銀行(WB)は先般発表した最新レポートの中で、ベトナムの2025年における国内総生産(GDP)成長率予想を前回レポートの+6.8%から+5.8%へと▲1.0%pt下方修正した。理由として、世界的な貿易政策の不確実性や経...

ハイテク・GX・半導体分野の高付加価値化で日越協力フォーラム開催 (4/29)

 石破茂内閣総理大臣は28日午後、ファム・ミン・チン首相とともに、日越企業が会するハイテク・グリーントランスフォーメーション(GX)・半導体分野における高付加価値産業創出に向けた日越協力フォーラムに参加...

ラムドン省:国会民族評議会議長が党委書記に転任 (4/29)

 ベトナム共産党政治局は、国会民族評議会議長のイー・タイン・ハー・ニエ・クダム氏を、南中部高原地方ラムドン省共産党委員会書記(2020~2025年任期)に任命した。  同省で28日に開催された任命式には、政...

ホーチミン:ビンタン区にブックストリートが新たにオープン (4/29)

 「第4回ベトナム書籍・読書文化の日」開幕に合わせて25日、ホーチミン市ビンタン区にブックストリートが新たにオープンした。  ビンタン区ビンチドンB街区の高技術医療区内に設置され、広さ約2000m2に12の...

石破首相、クオン国家主席とマン国会議長と会談 (4/29)

 ベトナムを訪問している石破茂内閣総理大臣とルオン・クオン国家主席は現地時間28日午前11時20分から約45分間にわたり、国家主席府で会談を行った。その後、現地時間同日午後2時20分から約40分間にわたり、国会...

THグループ、ビンズオン省に新工場建設へ 投資総額334億円 (4/29)

 THミルク(TH Milk)などを展開する乳業大手THグループ(TH Group)は、東南部地方ビンズオン省の第3ソンタン工業団地内に牛乳・乳製品加工工場「THビンズオン(TH Binh Duong)」を建設する計画だ。  同工場は敷...

統計局、戸籍登録・統計に関する国家レポートを初公表 (4/29)

 財政省傘下の統計局は25日、「2021~2024年度の戸籍登録・統計に関する国家レポート」を発表した。同レポートが発表されるのは今回が初めて。  同レポートでは、出生・死亡・婚姻の登録データに加え、出生...

ホーチミン:南部解放記念日の4月30日は全路線バス無料運行 (4/29)

 ホーチミン市公共交通管理センターは、南部解放・南北統一50周年(1975年4月30日~2025年4月30日)を記念して、南部解放記念日の4月30日(水)に、市内を走る路線バスと近隣省から同市までを結ぶ路線バスを無料運行...

寝室のエアコンからヘビ7匹発見、住民が恐怖の瞬間を語る (4/29)

 南中部沿岸地方クアンナム省タンビン郡在住の女性N・T・Hさん宅の寝室のエアコンがヘビの巣と化しているのが発見された。エアコンと壁の隙間から尻尾のようなものがニョロニョロと動いているのを見て、最初はネ...

ホーチミン:10区ショッピングモールで自殺相次ぐ、1か月半で3件 (4/29)

 ホーチミン市10区スーバンハイン(Su Van Hanh)通りにある「バンハインモール(Van Hanh Mall)」では、わずか1か月半の間に連続して投身自殺や自殺未遂が発生しており、ネット上で自殺の名所扱いされるようになっ...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved