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ハロン湾観光船転覆事故、生存者が語る漂流中に交わした最後の言葉

2025/07/21 15:56 JST配信
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  • 35人死亡・4人行方不明の転覆事故
  • 犠牲者の最後の言葉「俺は先に逝く」
  • 38歳女性は夫と子供2人を亡くす

東北部地方クアンニン省沖のハロン湾で19日午後、観光船「ビンサイン58号(Vinh Xanh 58)」が転覆して、35人が死亡し、4人が行方不明(20日時点)となった事故で、生存者たちが事故当時の壮絶な状況を証言した。

 生存者の一人、N・H・Qさん(男性・40歳)は、船の沈没後、木製の椅子にしがみついて必死に命をつないだという。椅子には他に3人が掴まっていたが、約15分後には、40代と見られる男性が疲労で力尽き、「さよなら、俺は先に逝く」と言い残して手を離すと海に沈んでいった。Qさんは「彼が残した最後の言葉と絶望した眼差しが今も頭から離れない」と語った。

 Qさんたちは、約3時間も海上を漂い、近くを通った漁船に発見・救助された。Qさんは「あと1時間、救助が遅ければ、生きてはいなかったと思う」と振り返った。

 観光船の乗組員V・A・Tさん(男性・25歳)も九死に一生を得た一人。Tさんによれば、転覆は約10秒の間に起き、操縦室が真っ先に水没したという。ガラス窓の隙間からなんとか脱出して、泳ぎながら周囲を確認し、木製の椅子にしがみついた。他の2人とともに生存を願って漂っていたとき、漁船が現れて救助された。「あの時、『助かった、生きている』と感じた」と語った。

 別の乗客M・X・Hさん(男性・43歳)は、救命胴衣を着て脱出したものの、波に流され、3時間後に約1km離れた場所で漁船に救助された。

 D・T・T・Lさん(女性・38歳)は家族4人で乗船していたが、彼女だけが命を取り留めた。転覆する船から脱出したLさんは、水中に潜って船内に取り残された他の乗客を救おうとした。Lさんは、「酸素が足りず、潜るのは2回が限界でした。女性1人を助け出せましたが、もっと多くの人を助けたかった」と涙ながらに語った。今回の事故でLさんは夫と子ども2人を失った。

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